日本語のシンタクスと意味Ⅰ

日本語のシンタクスと意味Ⅰ

寺村秀夫[著]

定価
4,180円(3,800円+税)
ISBN
978-4-87424-002-1 C3081
発売日
1982/11/10
判型
A5
ページ数
330頁
ジャンル
日本語学 ― <日本語のシンタクスと意味>
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日本語学・日本語教育に大きな影響を与えた不朽の名著。述語と補語、格助詞の結びつきかたによって日本語の「コトの類型」を詳しく考える。またヴォイスを文法的態と語彙的態に分け紹介。


<日本語のシンタクスと意味>
■寺村秀夫
日本語の文法研究とその教育実践に大きな功績を残した寺村秀夫の代表的著作。日本語教育の現場にいた著者が、伝統・・・(全文を読む)的な国語学説ではなく、日本語自体がもっている理屈を客観的に説明することを試みた成果がまとめられている。全3巻(完結・Ⅲは関係者により補訂)。

関連情報

目次
まえがき

■序章

0. はじめ
1. なぜ「おかしい」のか―ことばのきまりの種類について
2. 「分かる」とはどういうことか―意味の種類について

◇第一部 単文

■第1章 文の基本的構成

1. はじめに
2. 発話,形態,形態素
3. 文と単語
4. 文の構成要素―構文要素と品詞
5. 品詞間の連続性

■第2章 コトの類型

0. はじめに
 0.1 本章の課題
 0.2 分類の方法
 0.3 対照研究について
1. 動的事象の描写
 1.1 二者の関係の表現
  1.1.0 二者の関係の表現一般とその三つの小類型
  1.1.1 働きかけ
  1.1.2 対面,あるいは対象に対する態度
  1.1.3 相互動作
  1.1.4 二者の関係の表現のまとめ
 1.2 移動・変化の表現
  1.2.0 移動の表現一般とその三つの小類型
  1.2.1 「出ル」動き
  1.2.2 「通ル」動き
  1.2.3 「入ル,着ク;泊マル」類
  1.2.4 「行ク」「来ル」「帰ル」「戻ル」―境遇性の介入
  1.2.5 変化
  1.2.6 移動・変化の表現のまとめ
 1.3 「入レル,出ス」表現―働きかけと移動の複合
 1.4 「変エル」表現―働きかけと変化の複合
 1.5 授受の表現―働きかけと対面と移動の複合
  1.5.0 授受の表現一般とその四つの小類型
  1.5.1 「与エル」表現
  1.5.2 「受ケル」表現
  1.5.3 「ヤル,モラウ,クレル」類
  1.5.4 「命ジル」表現
  1.5.5 授受の表現のまとめ
2. 感情表現―動的事象の描写と性状規定の境界域
 2.0 感情表現一般とその四つの小類型
 2.1 一時的な気の動き,受身的感情の表現
 2.2 能動的感情の動き―感情の発動を表わす動詞
 2.3 感情の直接的表出―感情形容詞による表現
 2.4 感情的品定めの表現
 2.5 感情表現のまとめ
3. 存在の表現
4. 性状規定
 4.0 品定め文の一般的性格と性状規定の内分け
 4.1 何かに対する性状,態度
 4.2 相対的性状規定
 4.3 絶対的性状規定
 4.4 性状規定のまとめ
5. 判断措定
6. コトを含むコト
7. 一項述語とゼロ項述語
8. 副次補語
9. 複合述語の問題―述語の中への格の埋没
10. 表層における助詞の再調整
11. 残る問題

■第3章 態―格の移動と述語の形態との相関

0. ヴォイス一般と日本語の態(ヴォイス)の体系―文法的態と動詞の自他
1. 受動態
 1.1 受動態(受身)一般の形態・統語・意味的特徴
 1.2 受動態の二つの種類
 1.3 直接受身
  1.3.1 直接受身の成立する文法的条件―対応する能動表現の型
   1.3.1.1 二者の関係を表わす動詞の場合
   1.3.1.2 移動の動詞の場合
   1.3.1.3 変化の動詞の場合
   1.3.1.4 授受動詞の場合
   1.3.1.5 「入レル,出ス」類の動詞の場合
   1.3.1.6 「変エル」類の動詞の場合
   1.3.1.7 コトを補語としてとる動詞の場合
  1.3.2 直接受身の語用的条件
 1.4 間接受身(迷惑受身)
  1.4.1 間接受身の成立する文法的条件
  1.4.2 間接受身の語用的条件
2. 可能態
 2.1 可能態の形態・統語・意味的特徴
 2.2 可能態の成立する文法的条件
 2.3 可能態の語用的条件
3. 自発態
 3.1 自発態の形態・統語・意味的特徴
 3.2 自発態の成立する文法的条件
 3.3 自発態の語用的条件
4. 使役態
 4.1 使役態の形態・統語・意味的特徴
 4.2 使役態の成立する文法的条件,および被使役者のとる助詞の使い分け
 4.3 使役態の語用的条件
5. 動詞の自他―語彙的態の類型
 5.0 動詞の自他の対立と態
 5.1 husagr-u―husag-u
 5.2 atar-u―ate-ru
 5.3 ak-u―ake-ru
 5.4 mawar-u―mawas-u
 5.5 taore-ru―taos-u
 5.6 same-ru―samas-u
 5.7 iki-ru―ikas-u
 5.8 oti-ru―otos-u
 5.9 mi-ru―mise-ru
 5.10 tob-u―tobas-u
6. まとめ

参考文献
著者紹介
寺村秀夫(てらむら ひでお)

1928年、兵庫県生まれ。神戸三中、大阪外語を経て1953年京都大学卒業。

大阪市立高等学校教諭時代の1961~63年、米国イーストウエストセンター奨学生として、ハワイ大学、ワシントン大学、ペンシルバニア大学に留学。

1965年から大阪外国語大学留学生別科で国費研究留学生に日本語を教える。

1968~70年、米国カンサス大学客員助教授。1976年から大阪外国語大学大学院日本語学専攻教授。1979~1987年筑波大学文芸・言語学系教授。

1987年から大阪大学文学部教授。

1990年2月3日、心不全のため逝去。