コミュニケーションのための日本語教育文法

コミュニケーションのための日本語教育文法

野田尚史[編]

定価
2,640円(2,400円+税)
ISBN
978-4-87424-334-3 C3081
発売日
2005/10/11
判型
A5
ページ数
232頁
ジャンル
日本語教育 ― 日本語教育専門書
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文法が変わらなければ、日本語教育は変わらない! コミュニケーション重視の新しい「日本語教育文法」のための10章からなる提言。日本語教育関係者必読の一冊。

関連情報
【誤植・修正】
第6刷、p. 218(索引)が白ページとなっておりました。
掲載内容のPDFをご用意しましたので、下記リンクからダウンロードしてください。
https://www.9640.jp/MATERIALS/334/p.218_sakuin.pdf

ご迷惑をおかけし、お詫び申し上げます。
目次
コミュニケーションのための日本語教育文法の設計図 野田尚史
 1.この論文の内容
 2.学習者の多様化に対応する日本語教育文法
 3.日本語学に依存しない日本語教育文法
 4.無目的な文法から聞く・話す・読む・書くそれぞれの文法へ
 5.正確さ重視の文法から目的を達成できる文法へ
 6.一律の文法から学習者ごとの文法へ
 7.骨格部分重視の文法から伝達部分重視の文法へ
 8.形式を基盤とする文法から機能を基盤とする文法へ
 9.まとめ


■第1部 コミュニケーションのための日本語教育文法の方針

 コミュニケーションに役立つ日本語教育文法 小林ミナ
  1.この論文の内容
  2.これまでの文法教育
  3.教科書にみられる話しことば表現
  4.「教える内容」の抜本的な見直しを
  5.「命令形」は初級では不要
  6.「イ形容詞の否定形」は初級では不要
  7.「~つもり(だ)」は使われやすい形式を反映していない
  8.「~ないです」こそ初級で必要
  9.まとめ

 日本語学的文法から独立した日本語教育文法 白川博之
  1.この論文の内容
  2.「学習者の視点」から考えることの必要性
  3.学習者の視点と正反対の日本語学的文法
  4.学習者の視点に無関心な日本語学的文法
  5.それでも日本語学的文法をありがたがる思い込み
  6.コミュニケーションの必要性から出発した文法に
  7.文法項目の立て方は,形式単位ではなく用法単位に
  8.必要度に基づいて段階的に提示する文法に
  9.学習者の勘違いを先回りして防ぐ文法に
  10.まとめ

 学習者の習得を考慮した日本語教育文法 田中真理
  1.この論文の内容
  2.初級シラバスと習得能力とのギャップ
  3.「やりもらい表現」の解体
  4.聞き手に対する配慮
  5.「受身表現」の解体
  6.初級で必要なヴォイス
  7.挑戦的ストラテジー
  8.「て」ストラテジー
  9.「たら」ストラテジー
  10.まとめ

 学習者の母語を考慮した日本語教育文法 井上優
  1.この論文の内容
  2.一律の文法は肝心なことが書かれない
  3.一律の文法は学習者にわかりにくい
  4.不要な文法説明をなくし,重要な情報を提供する
  5.表現の使用の動機や使用の可否がわかる説明にする
  6.文法説明を学習者の母語の感覚に合わせる
  7.導入順序を学習者の母語の感覚に合わせる
  8.学習目的あっての母語別日本語教育文法
  9.まとめ

■第2部 コミュニケーションのための日本語教育文法の実際
 
 コミュニケーション能力を高める日本語教育文法 フォード丹羽順子
  1.この論文の内容
  2.これまでの「まず文法項目ありき」の日本語教育文法
  3.これまでの無目的な日本語教育文法
  4.「ほうがいいです」の教える単位を考える
  5.比較疑問文の教える単位を考える
  6.「でしょう」の使用と理解を分ける
  7.「ましょう」の使用と理解を分ける
  8.まとめ

 聞くための日本語教育文法 松崎寛
  1.この論文の内容
  2.「盗み聞き」は会話を「聞く」活動ではない
  3.「とにかく理解する」ためには
  4.理解のための文法とは
  5.明示されない情報の推測
  6.聞けなかった情報の推測
  7.1文単位の予測
  8.談話単位の展開予測
  9.理解能力をどうやって身につけるか
  10.まとめ

 話すための日本語教育文法 山内博之
  1.この論文の内容
  2.初級文法シラバスの検証
  3.習得段階別の発話の特徴
  4.「出たとこ勝負」的な能力をつけるために
  5.タスク先行型の教え方による文法の導入
  6.タスク先行型の教え方による文法の定着
  7.コミュニケーション上の挫折を避けるために
  8.まとめ

 読むための日本語教育文法 宮谷敦美
  1.この論文の内容
  2.読解教材は文型確認用の素材ではない
  3.背景知識を活性化させることは必要か
  4.音読は「読む」力を高めない
  5.精読中心の教育の弊害
  6.省略された情報を推測する文法
  7.書き手の意図を捉える文法
  8.展開を予測する文法
  9.ひらがな,カタカナ,漢字の優先順位
  10.まとめ

 書くための日本語教育文法 由井紀久子
  1.この論文の内容
  2.これまでの作文教育の問題点
  3.言語中心の教育から場面中心の教育へ
  4.コミュニケーションにおける「書く」と「話す」の違い
  5.情報伝達技術に関する教育も必要
  6.先生に会ってもらうための伝言を書く
  7.「カチン」と来ない依頼メールを書く
  8.メールの件名,ポスターやチラシの見出し
  9.奨学金申請書類の中の「作文」
  10.まとめ

あとがき
索引
著者紹介
著者紹介
◆編者

野田 尚史(のだ・ひさし)

【生まれ】1956年,金沢市

【学 歴】大阪外国語大学イスパニア語学科卒業,大阪外国語大学修士課程

     日本語学専攻修了,大阪大学博士課程日本学専攻中退

【職 歴】大阪外国語大学助手,筑波大学講師,大阪府立大学助教授,教授

【著 書】『日本語学習者の文法習得』(共著,大修館書店,2001),

     『日本語を話すトレーニング』(共著,ひつじ書房,2004)など