話し言葉における引用表現

日本語研究叢書(フロンティアシリーズ) 25
話し言葉における引用表現

引用標識に注目して

加藤陽子[著]

定価
4,180円(3,800円+税)
ISBN
978-4-87424-477-7 C3081
発売日
2010/6/1
判型
A5
ページ数
280頁
ジャンル
日本語学 ― <日本語研究叢書(フロンティアシリーズ)>
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日本語の話し言葉に現れる、「ト」「ッテ」等の引用標識で発話が終了する形式を対象に、その機能、使用の意義等について主に統語・意味・語用論的観点から分析。また、引用標識の多機能化の観点から、機能の広がりについても考察。


<日本語研究叢書(フロンティアシリーズ)>
■編集委員会:仁田義雄/田窪行則/野田尚史/益岡隆志/森山卓郎
・・・(全文を読む)現代日本語についての開拓的研究を、同学の士の共同財産とするために、できるだけ発表後すみやかに、廉価な形で刊行することを目的としたシリーズ。主に国内外で出された博士論文またはそれに準じる論文を刊行。品切あり。

関連情報

目次
■第1章 序論
1.1 研究目的・研究対象
1.2 研究の意義
1.3 研究の観点
1.4 本書の構成

■第2章 話し言葉と引用
2.1 本研究における「話し言葉」の捉え方
2.2 本研究における「引用」の捉え方
2.3 第2章結語

■第3章 先行研究と本研究の枠組み
3.1 先行研究概観:談話研究
3.2 先行研究概観:引用の研究
3.3 先行研究の課題と本研究の立場

■第4章 引用標識の機能分類
4.1 話し言葉における引用表現の機能:そのまとまり
4.2 第4章結語

■第5章 引用の基本型を表示する機能を果たすもの
5.1 休止系
5.2 後続部省略系
5.3 引用部並列系
5.4 「引用の基本型を表示する機能を果たすもの」の使用意義
5.5 第5章結語

■第6章 先行文脈の関連情報を談話内で追加する用法
6.1 先行文脈を基に話者が導いた帰結を引用部に持つ用法
6.2 談話の精緻化情報を引用部に持つ用法:精緻化情報確認用法
6.3 「先行文脈の関連情報を談話内で追加する用法」の使用意義
6.4 三用法の共通点:統語的背景
6.5 第6章結語

■第7章 情報伝達・受容に当たっての心的態度を表す用法
7.1 言明用法
7.2 「トハ文」を基にした用法
7.3 「情報伝達・受容に当たっての心的態度を表す用法」の使用意義
7.4 第7章結語

■第8章 情報の種類を明示しつつ情報の伝達に関わる用法
8.1 伝言取次ぎ用法
8.2 伝聞情報表示用法
8.3 伝聞と「ダッテ・ダト」「ンダッテ」という形式
8.4 伝聞情報を表示する「ッテ」の使用意義
8.5 第8章結語

■第9章 発話意識の表明により発話境界を表示する用法
9.1 発語の力軽減用法
9.2 自己演出用法
9.3 自己確認納得用法
9.4 認知境界表示用法
9.5 「発話意識の表明により発話境界を表示する用法」の使用意義
9.6 第9章結語

■第10章 引用標識の機能の広がり:引用標識の多機能化
10.1 引用標識の多機能化:共時的観点からの文法化
10.2 引用構文の多機能化に関する先行研究
10.3 機能拡張の程度を測る基準
10.4 基となる引用の基本型の認定
10.5 四つの基準による機能拡張の程度の判断
10.6 機能拡張のスケールにおける各用法の位置
10.7 引用標識が独自機能を持つ独立した成分になる動機
10.8 第10章結語

■第11章 結論と展望
11.1 話し言葉における引用標識の機能:そのまとまりと広がり
11.2 話し言葉における引用標識の共通機能
11.3 話し言葉と引用
11.4 引用標識の形態と機能
11.5 課題と展望:課題と関連する研究への発展
著者紹介
加藤 陽子(かとう ようこ)



1967年山形県長井市生まれ



筑波大学第二学群日本語・日本文化学類卒業

筑波大学大学院修士課程地域研究研究科日本研究コース修了

東京大学大学院総合文化研究科言語情報科学専攻博士後期課程修了

(2008年博士「学術」取得)



国際大学大学院国際関係学研究科日本語プログラム助手・専任講師、防衛大学校教務部非常勤講師、アメリカ・カナダ大学連合日本研究センター非常勤講師を経て、現在東京外国語大学留学生日本語教育センター准教授。



専門は日本語学・日本語教育。談話・文章における文法の研究、中・上級の読解及び口頭発表・会話の教育に関心を持っている。