言語の主観性

言語の主観性

認知とポライトネスの接点

小野正樹/李奇楠[編]

価格
3,400円+税
ISBN
978-4-87424-699-3 C3080
発売日
2016/5/25
判型
A5
ページ数
224頁
ジャンル
言語学 ― 言語学専門
オンライン書店
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『言語の主観性─認知とポライトネスの接点─』という本書名には、語用論研究の大きな流れ、「主観性」「認知」「ポライトネス」といった3つのキーワードを含めています。言語化において主観とは認知そのものでもあり、対話において主観的な表現にコミュニケーションの摩擦が起きることもあります。認知の記述にあたっては、個人レベルだけではなく、あ・・・(全文を読む)る言語集団の中で共通した仕組みがあるとも思われます。それを伝える場合にもある慣習的な用法が存在し、それが言語集団の中で求められるポライトネスです。
英語との対照で、“I come soon.”が日本語では「すぐ来るよ」とは表現されず、「すぐ行くよ」とされますが、これは客観的事実としては同じでも、言語表現では異なります。時間に遅れて現れた聴者に、「前から来てたよ」と言うと話者の苛立ちを伝えますが、「来たところだよ」と、アスペクトを変えることで、聴者を慮った表現となります。
記述文法研究で扱われて来た文法現象をよりプラグマティクに分析したものが本書です。本書のコンセプトは、主観性とは何かといった理論的な内容、特定言語の発想とその理解を記述するための対照研究、そして、外国語として日本語を学ぶ、あるいは使用する場合の問題点からなっています。
(「まえがき」より)

関連情報

目次
第1章
中国語・日本語の構文から見る主観性
李奇楠

第2章
日英語における時間のメタファーと主観性
―言語使用の三層モデルからの視点―
廣瀬幸生

第3章
日中両語のヴォイスに見られる視点のあり方
彭広陸

第4章
主観性の相違による言語使用への影響について
―中国語人日本語学習者が使う日本語を例に―
趙華敏

第5章
日本語文学作品の中国語翻訳における主観的干渉
于栄勝

第6章
「行為の方向づけ」の「てくる」の対照言語学的・歴史的研究
―移動動詞から受影マーカーへ―
澤田淳

第7章
主観性の観点から見た日韓語の親族呼称
―人称接尾辞「~さん」と「~님(nim)」を中心に―
蔡盛植

第8章
「カモシレナイ」における可能性判断と対人配慮
山岡政紀

第9章
事態の把握と表出
―自他動詞の用法との関わりから―
牧原功

第10章
《不満表明》における「よ」とポライトネス
金玉任

第11章
引用表現における事態把握と伝達
―構造と機能―
小野正樹

索引
執筆者紹介
著者紹介
小野正樹(おの まさき)
筑波大学大学院博士課程単位取得退学。博士(言語学)。現在、筑波大学人文社会系教授。著書・論文に『コミュニケーションと配慮表現:日本語語用論入門』(共著、明治書院、2010)、『日本語教育研究への招待』(共編、くろしお出版、2010)、『日本語態度動詞文の情報構造』(ひつじ書房、2005)、「日本語思考動詞の主観性」(『ひつじ意味論講座第5巻 主観性と主体性』ひつじ書房、2011)などがある。

李奇楠(り きなん)
中国・北京大学大学院博士後期課程修了。博士(文学)。現在、北京大学外国語学院副教授。著書・論文に『現代日語間接言語行為詳解』(共著、北京大学出版社、2001)、「語用学与語用教学」(『日語語言学与日語教育』共著、高等教育出版社、2014)、「关于“识解”」(『日本語言文化研究』7、学苑出版社、2007)などがある。