日本語条件文の諸相

日本語条件文の諸相

地理的変異と歴史的変遷

有田節子[編]

価格
3,700円+税
ISBN
978-4-87424-746-4 C3081
発売日
2017/11/22
判型
A5
ページ数
256頁
ジャンル
日本語学 ― 日本語学専門
オンライン書店
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本書は「認識的条件文」という条件文の下位カテゴリーから日本語条件表現の諸相をその歴史的変遷、地理的変異も含めて捉え直すことを目的に編まれたものである。
(中略)
現代日本語条件表現の記述的研究では、複数ある基本的な条件節形式(タラ、バ、ト、ナラ)の形式間の用法上の差異を記述することに主眼がおかれてきた。
このような類義表現形式・・・(全文を読む)の用法記述は、日本語教育の現場からの要請もあり、発展した。最も用法の広いのがタラ形式、そして他の3形式はタラ形式よりも使用できる範囲が狭く、ただし、ナラ形式にはタラ形式にない用法がある、というのが「定説」として確立した。
しかし、目を地域語に転じると、その状況はかなり異なる。タラ形式の用法の広さは近畿地方では著しいが、それ以外では、述語のバ形式、しかも、いわゆる已然形だけでなく未然形に接続するものも含めそれが広く使用される地域もあれば、ナラ形式の用法が広い地域もある。さらに方言特有の条件形式が広く分布するところもあり、「定説」は必ずしも当てはまらない。
特に、上述した断定辞の条件形(ナラ、ダッタラ、ダラなど)や、それらにしばしば付随する準体形式の分布的特徴は、「定説」にあるような「タラが使えない場合」というだけでは決して捉えられない。
地域語も含めた現代日本語におけるこのような複雑な分布状況は歴史的変化の産物でもある。中央語(京阪方言)における変化が地方に伝播したと捉えられる面とそうでない面がある。
本書は認識的条件文から日本語の条件表現を捉え直す一方で、断定辞の条件形・準体形式の分布的特徴や歴史的変遷から日本語における認識的条件文の発達過程を考察する。この二つの方向はオーバーラップするが、決して同一ではない。現代日本語(共通語)、歴史的変遷、そして地理的変異のそれぞれの立場から論を展開する。(「序」より)

関連情報

目次
序―本書が目指すこと―

第1部 現代日本語共通語・理論篇

第1章
日本語の条件文分類と認識的条件文の位置づけ
有田節子

第2章
準体形式・断定辞の機能と条件文
江口 正

第3章
条件接続形式「くらいなら」と認識的条件文
前田直子

第2部 中央語の歴史篇

第4章
古典日本語における認識的条件文
鈴木 泰

第5章
中央語におけるナラバ節の用法変化
矢島正浩

第6章
「のなら」の成立―条件節における準体助詞―
青木博史

第3部 地理的変異篇

第7章
認識的条件文の地理的変異の類型
日高水穂

第8章
九州・四国方言の認識的条件文―認識的条件文の分化の背景に関する一考察―
三井はるみ

第9章
東北方言の認識的条件文
竹田晃子

事項索引
形式索引
執筆者紹介
著者紹介
有田節子(ありた せつこ)
京都大学大学院文学研究科博士後期課程修了。博士(文学)。九州大学文学部助手、愛知教育大学教育学部助教授、大阪樟蔭女子大学学芸学部教授を経て、現在、立命館大学大学院言語教育情報研究科教授。著書・論文に『日本語条件文と時制節性』(くろしお出版、2007)、「複文研究の一視点―時制とモダリティの接点としての既定性―」(『日本語文法』12巻2号、2012)などがある。