認知言語学とは何かサンプルページを見る

認知言語学とは何か

あの先生に聞いてみよう

高橋英光/野村益寛/森雄一[編]

定価
2,640円(2,400円+税)
ISBN
978-4-87424-769-3 C1081
発売日
2018/5/23
判型
A5
ページ数
252頁
ジャンル
言語学・英語学 ― 認知言語学入門
オンライン書店
amazon.co.jp 楽天ブックス
リアル書店在庫
紀伊國屋書店 丸善・ジュンク堂書店・文教堂

 これまでの入門概説書・教科書は、道具立てや事例研究の紹介にとどまりがちであり、「認知言語学とは何か」「なぜこんなことを問題にするのか」といった問いに答えようとするものはあまりないように思われる。そのため、認知言語学が全体として何をどのように目指しているのかという問題意識が、学部学生はもちろんのこと、認知言語学を専攻する大学院・・・(全文を読む)生にも十分あるとは言いがたいのが現状である。その結果、プロトタイプ、メタファー、イメージ・スキーマといった用語を振り回せば認知言語学になると思われたり、しばしば論文に図が多く含まれることから「お絵描き」言語学のように揶揄されたりすることもある。さらには、「認知言語学者たちは、(中略)自分たちは認知の知られざる部分について何の発見をするつもりのないことを告白すべきであろう」(今井邦彦『言語理論としての語用論』2015年、開拓社、p.180)といった批判も招いている。
 こうした現状は、認知言語学の裾野を広げるだけでなく、全体のレベルを上げていく上でも改善、打開する必要がある。このような観点から、認知言語学の基本をひと通り勉強した人なら誰もが抱くような11の疑問について「そうだ、あの先生にきいてみよう!」というわけで適任の認知言語学者に執筆を依頼して出来上がったのが本書である。(まえがきより)

関連情報
【書評・紹介】
『英語教育』2018年10月号(大修館書店)に書評が掲載されました。
評者は大谷直輝氏(東京外国語大学)「前半の章では認知言語学の意義を問い直し、後半の章では認知言語学の広がりを示すことで、学問としての体系的な知識を様々な文脈と結びつける有益な1冊である」
https://www.taishukan.co.jp/book/b376580.html

【誤植・修正】
第1刷(2018年6月1日発行)に次のとおり誤りがありました。お詫びし、訂正いたします。

・p95 2行目 
(誤)「メトミニー」
(正)「メトニミー」
・p97 10行目
(誤)「学校」
(正)「会社」
目次
第1章 認知言語学のどこが「認知的」なのだろうか?(西村義樹・長谷川明香)
第2章 認知言語学の文法観はどこが独自なのだろうか?(野村益寛)
第3章 認知言語学の意味観はどこが独自なのだろうか?(松本曜)
第4章 認知言語学は語用論についてどのように考えているのだろうか?(早瀬尚子)
第5章 レトリックはなぜ認知言語学の問題になるのだろうか?(森雄一)
第6章 文法化はなぜ認知言語学の問題になるのだろうか?(大橋浩)
第7章 コーパスを利用することで認知言語学にとって何がわかるだろうか?(長谷部陽一郎)
第8章 認知言語学は言語普遍性、個別言語の特殊性についてどのように考えているのだろうか?(岡田禎之)
第9章 認知言語学は言語習得・言語進化についてどのように考えているのだろうか?(大堀壽夫)
第10章 認知言語学はヒトの認知について何かを明らかにしたのだろうか?(本多啓)
第11章 認知言語学はどこへ向かうのだろうか?(高橋英光)
著者紹介
西村義樹(にしむら よしき)東京大学文学部・大学院人文社会系研究科 教授
長谷川明香(はせがわ さやか)成蹊大学 アジア太平洋研究センター 客員研究員
野村益寛(のむら ますひろ)北海道大学大学院 文学研究科・文学部 教授
松本 曜(まつもと よう)国立国語研究所 理論・対照研究領域 教授
早瀬尚子(はやせ なおこ)大阪大学大学院 言語文化研究科 准教授
森 雄一(もり ゆういち)成蹊大学 文学部 教授
大橋 浩(おおはし ひろし)九州大学 基幹教育院・大学院人文科学府 教授
長谷部陽一郎(はせべ よういちろう)同志社大学グローバル・コミュニケーション学部 准教授
岡田禎之(おかだ さだゆき)大阪大学大学院 文学研究科 教授
大堀壽夫(おおほり としお)慶應義塾大学 環境情報学部 教授
本多 啓(ほんだ あきら)神戸市外国語大学 外国語学部 教授
高橋英光(たかはし ひでみつ)北海道大学大学院 文学研究科 名誉教授
(所属は第一刷刊行時のもの)