日本語統語論研究の広がり

近刊

日本語統語論研究の広がり

記述と理論の往還

竹沢幸一/本間伸輔/田川拓海/石田尊/松岡幹就/島田雅晴[編]

価格
4,500円+税
ISBN
978-4-87424-811-9 C3081
発売日
2019/11/5
判型
A5
ページ数
304頁
ジャンル
日本語学 ― 日本語学専門
オンライン書店
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2017年3月27日、編者の一人である竹沢の還暦を機に、筑波大学東京キャンパスにおいて、言語学ワークショップ『日本語統語論研究の広がり―理論と記述の相互関係―』が開催された。このワークショップでは、竹沢による生成統語論の理論的展開と日本語の格現象に関する講演が行われた後、日本語統語論における4件の研究発表が行われた。このワーク・・・(全文を読む)ショップは、その題名の通り日本語統語論をテーマとしたものであるが、それと合わせて副題にあるように、言語研究における事実観察すなわち記述と理論構築との往還に焦点を当てることもねらいとしていた。
本書は、このワークショップの発展形として企画されたものである。ワークショップのテーマでもある、日本語統語論研究および記述と理論の往還を柱とし、竹沢が長きに渡って研究してきた日本語の述語および述語周辺部の事象に関する論集を作るべく構想を練った。述語周辺部の事象とは、述語に関係の深いテンス・アスペクトをはじめ、格、否定、定形性、節構造など広く述語周辺部にあると考えられる形式およびその意味を念頭に置いている。
執筆陣は、竹沢の研究フィールドである生成統語論および日本語学の研究に携わる国内外の若手・中堅研究者を中心に計15名から構成されている。生成統語論に依拠した論考が半数程度を占めるが、いずれの論考も記述面を重視したものであるため、生成統語論の背景的知識がない読者も、あまり大きな困難を伴うことなく読むことができるものと思う。(「はしがき」より)

関連情報

目次
第Ⅰ部 基調論文

第1章
形容詞連用形を伴う日本語認識動詞構文
竹沢幸一

第II部 アスペクトと統語・意味

第2章
「ている」進行文の統語構造と数量副詞の解釈について
松岡幹就

第3章
「てある」文にみられる方言間差異
島田雅晴・長野明子

第4章
経験相を表すテイル文と属性叙述
―叙述類型論における記述と理論の融合に向けて―
鈴木彩香

第III部 テンスと統語・意味

第5章
素性継承システムのパラメータ化と日本語における定形節のフェイズ性
三上 傑

第6章
叙想的テンスの意味と統語
三好伸芳

第IV部 コントロール構文と統語・意味

第7章
いわゆる定形コントロール構文の節構造とその成立要因
阿久澤弘陽

第8章
日本語における後方コントロール現象
王 丹丹

第V部 格と統語・意味

第9章
ナガラ節内における主格の認可について
石田 尊

第10章
対格目的語数量詞句の作用域、特定性、格の認可について
本間伸輔

第VI部 述語形態と統語・意味

第11章
否定辞から語性を考える
― 3つの「なくなる」と「足りない」―
田川拓海

第12章
通言語的観点からみた日韓両言語における否定命令文
朴 江訓

第13章
「[名詞句]なんて〜ない」におけるモダリティとしての否定述部
井戸美里

第14章
事象類型の選択と状況把握
―テンス・アスペクトおよび自他動詞―
佐藤琢三
著者紹介
竹沢 幸一(たけざわ こういち)
1956年生まれ。筑波大学人文社会系教授。専門は、統語論、理論言語学、対照言語学
主要業績:“Perfective have and the bar notation (Linguistic Inquiry 15, 1984)、『格と語順と統語構造』(研究社出版、1998、共著)、など

本間 伸輔(ほんま しんすけ)
1964年生まれ。新潟大学教育学部准教授。専門は、統語論、意味論
主要業績:“Quantifier scope in syntax”(English Linguistics 21, 2004)、Syntactic determinants of quantifier scope(筑波大学博士論文、2015)、など

田川 拓海(たがわ たくみ)
1979年生まれ。筑波大学人文社会系助教。専門は、形態論、統語論
主要業績:「分散形態論を用いた動詞活用の研究に向けて:連用形の分析における形態統語論的問題」(三原健一・仁田義雄編『活用論の前線』くろしお出版、2012)、「動名詞の構造と「する」「させる」の分布:漢語と外来語の比較」(庵功雄・佐藤琢三・中俣尚己編『日本語文法研究のフロンティア』くろしお出版、2016)、など

石田 尊(いしだ たける)
1971年生まれ。筑波大学人文社会系准教授。専門は、日本語学(文法論)
主要業績:「日本語の所有者上昇に見られる有生性制限について」(『文藝言語研究 言語篇』67、2015)、「付帯状況ナガラ節における主格要素の出現制限に関する事象関連電位を用いた研究」(『実験音声学・言語学研究』10、2018、共著)、など

松岡 幹就(まつおか みきなり)
1968年生まれ。山梨大学教育学部教授。専門は、統語論
主要業績:“Two types of ditransitive constructions in Japanese” (Journal of East Asian Linguistics 12, 2003)、“On the notion of subject for subject-oriented adverbs” (Language 89, 2013)、“On the locative structure of -te iru progressives in Japanese” (『言語研究』155、2019) 、など

島田 雅晴(しまだ まさはる)
1966年生まれ。筑波大学人文社会系准教授。専門は、理論言語学
主要業績:“Morphological theory and orthography: Kanji as a representation of lexemes” (Journal of Linguistics 50, 2014, 共著)、“Miratives in Japanese: The rise of mirative markers via grammaticalization” (Journal of Historical Linguistics 7, 2017, 共著)、など