複数の言語で生きて死ぬ 人生物語編サンプルページを見る

新刊

複数の言語で生きて死ぬ 人生物語編

山本冴里[編]

定価
2,420円(2,200円+税)
ISBN
978-4-8011-1017-5 C1030
発売日
2025/9/25
判型
四六
ページ数
252頁
ジャンル
言語政策 ― 言語政策入門
オンライン書店
amazon 楽天ブックス 紀伊國屋書店 丸善ジュンク堂書店  e-hon 

複数の言語で長く生きてきた8人の、多様に混淆した語りを活かす形でまとめたインタビュー集。権力の引く境界の暴力性に対抗し、「国民」に回収されない「あいだ」を生きる人々の声が、「日本」「日本語」のイメージの変容を迫る。

■「まえがき」より
2022年に『複数の言語で生きて死ぬ』という本を出し、複数の言語と絡みあう人間の生と死につ・・・(全文を読む)いて、著者らを触発してやまない、記憶に残る人、資料、物語のことを語っていきました。
<中略>
語り手が生きた場所は、語りのなかで挙がった名称でいえば、日本、ブラジル、朝鮮、米国、ビルマ、ペルー、中国、英国、台湾、ソ連、満州など多岐にわたり、そのなかには、いまはすでに国家としては存在しない名称もふくまれています。けれどもその地は人間がどのような名をつけ区切るかに関わらずそこにあって、その地で暮らし、慈しまれた記憶は、語り手のなかに残っています。同時に、そうした暖かい思い出と引きはがせない形で、辛い記憶もまた、口にされることがあります。戦争や紛争をはじめとする過酷な対立のなかで引きしぼられる線としての境界と、分断のなかで互いを痛めつける言葉もまた、その時期を生きた語り手は記憶しているからです。
本書で語られる「人生物語」は、権力の引く線としての境界の暴力性に対抗し、「あいだ」を生きる物語だ―と、私は、考えています。

関連情報

目次
まえがき

第一章 罪があるとしたら朝鮮の男を愛したことだけです
―二〇歳で海峡を渡った母さん【朴英愛(伊藤美咲)】

第二章 We have allegiance of both countries よね
―アメリカのために戦った日系二世【Takeshi Hidaka(日高 武)】

第三章 今の暮らしが、なんというか心配がないね
―満州からブラジルへ【Sugino Takashi(杉野孝)】

第四章 鳥はいいね、どこでも行けるし
―サハリン残留日本人の家族の言葉【淡中詔子(소자ソジャ、Соняソーニャ)】

第五章 私たちは、外国人かもしれないが、ウチナーンチュである
―ペルーからやってきた沖縄人【我那覇宗孝】

第六章 全部少しずつで、積み重ねでここまで来たんだ
―中国の農村から都会へ、そして日本へ【何暁毅】

第七章 言語は自由だ
―ルーツはアイルランド、いろいろな言葉とめぐりあう【ジョン マーハ】

第八章 イベタンイベチカリ、あれは母親の願いがこもってたんだろうなあ
―アイヌに生まれて、見失ったもの、見直せたもの【丸子美記子(ウタンヌヌケ)】

あとがき
著者紹介
【執筆者(聞き手)紹介】
鄭京姫(ちょん きょんひ)(第一章)
韓国・ソウル生まれ。早稲田大学日本語教育研究センターを経て,現在, 
J-Life 日本語教育研究所所長。専門は日本語教育・ライフストーリー研究。
著書に『私はどのような教育実践をめざすのか』(春風社)などがある。

遠藤ゆう子(えんどう ゆうこ)(第二章)
東京生まれ。大学在学中・卒業後の旅と放浪生活を経て,日本語教師と  
なる。現在,早稲田大学,一橋大学非常勤講師。専門は日本語教育で,特
にライフストーリー研究,日本語教育実践研究に関心がある。

福村真紀子(ふくむら まきこ)(第二章)
茨城大学助教。地域日本語教育の一環として,地域サークル「多文化ひろ
ば あいあい」と「多文化ひろば★うみ」を設立。著書に『結婚移住女性
のエスノグラフィー』(早稲田大学出版部)がある。

松田真希子(まつだ まきこ)(第三章)
1973 年広島生まれ。東京都立大学人文社会学部教員。専門は日本語教育,
応用言語学。特に南米日系社会の日本語・日本文化継承教育について研究
を行う。共編著に『日系をめぐることばと文化』(くろしお出版)など。

佐藤正則(さとう まさのり)(第四章)
1963 年神奈川県生まれ。日本語学校や大学で日本語教育に従事。現在,
山野美容芸術短期大学特任准教授,JALAS 横浜校教務主任。共編著『日
本語学校物語―開拓者たちのライフストーリー』(ココ出版)。

三代純平(みよ じゅんぺい)(第四章)
1977 年生まれ。仁川外国語高等学校,徳山大学等を経て,現在,武蔵野
美術大学造形学部教授。同グローバルセンター長。共編著に『日本語学校
物語―開拓者たちのライフストーリー』(ココ出版)など。

半嶺まどか(はんみね まどか)(第五章)
沖縄県生まれ。欧州の大学院(修士課程・博士課程)を修了し,名桜大
学を経たのち,2024 年からアメリカ合衆国のデンバー大学で教鞭を執る。
専門は言語再活性化やインディジナス・スタディーズ。

山本冴里(やまもと さえり)(第六章,第八章)
編者紹介参照。

尾辻恵美(おつじ えみ)(第七章)
シドニー工科大学教授。専門は社会言語学および批判的応用言語学。特に,
街における人やことばの移動とそれに付随する多様なプラクティスに関す
る研究(メトロリンガリズム)で知られる。

木原仁美(きはら ひとみ)(第八章)
1974 年生まれ。(公財)アイヌ民族文化財団アイヌ文化交流センター所長,
知里幸恵銀のしずく記念館館長。1980 年から「関東ウタリ会」にて舞踊,
トンコリ,アイヌ語などのアイヌ文化を学ぶ。

【編者紹介】
山本冴里(やまもと さえり)
山口大学教員。専門は日本語教育・複言語教育で,特に興味のある
概念は「境界」と「周縁」。著書に『戦後の国家と日本語教育』(く
ろしお出版),『世界中で言葉のかけらを―日本語教師の旅と記憶』
(筑摩書房),『8 週間語学の旅―水先案内人はずれっちと様々な言
語の海へ』(KADOKAWA),編著書に『複数の言語で生きて死ぬ』
(くろしお出版),訳書に『言語の多様性から複言語教育へ―ヨーロッ
パ言語教育政策策定ガイド』(くろしお出版)がある。