意味の探究

意味の探究

山田進[著]

定価
5,060円(4,600円+税)
ISBN
978-4-87424-730-3 C3080
発売日
2017/5/23
判型
A5
ページ数
396頁
ジャンル
日本語学 ― 日本語学専門
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「ことばの意味」特に「語の意味」について長年考察を深めてきた著者がこれまで様々な誌上で発表してきた論文をまとめた著作集。「意味の本質」「同義・類義・多義」「意味記述の方法」「辞書と意味記述」の4部に渡り、興味深い論考を多数収録。これからの意味論研究に大きく資する1冊。

関連情報

目次
序章 ことばの意味とその研究
1. ことば・ものごと・世界
2. ことばのかたちと意味
3. ことばの意味・ものごと・概念
4. とらえ方と意義素
5. 意義素による記述
6. 語の意味論
7. 本書の構成

第I部 意味の本質

第1章 固有名詞と意味

第2章 見せかけの意味要素
1. 「意味」の範囲
2. 「大多数の人に共有されている」意味
3. 「大多数の用法に共通する」意味
4. ハシルの意味
5. 結論

第3章 意味と概念とをめぐって

第4章 「丸い三角形」はどこがおかしいのか

第5章 語の意味特徴の性格
1. はじめに
2. 意味と概念
3. 概念の定義
4. 意味の定義
5. 語の意味の表現
6. 意味特徴は概念表現である
7. 語彙の要素としての語の意味
8. おわりに

第6章 語の形式と意味
1. 語の統合形式
2. 統合形式の意味
3. 形式と意味の関係
4. 語の内在的特徴の分析的表現
5. 形態格の意味
6. 語の意味の存在様式

第7章 事物・概念・意味
1. はじめに
2. 外界の事物の認めかた
3. 概念
4. 概念と言語表現
5. 概念を一定の観点からとらえる様式としての意味
6. 異なる概念を関係づける様式としての意味
7. おわりに

第II部 同義・類義・多義

第8章 同義に関する二三の問題
1. 双方向含意と言語表現の同一性
2. 同一なのは何か
3. 概念の同一と意味の同一
4. 特定の文脈における同義
5. トドクとツクの意義素
6. 文脈から補われる意味特徴
7. 対比による特徴
8. 結語

第9章 類義語とはどのような語か
1. 「類義」「類義語」という用語の使い方
2. 類義語の基準についての主な考え
2.1 松尾拾・西尾寅弥・田中章夫(1965)『類義語の研究』
2.2 長嶋善郎(1982)「類義語とは何か」
2.3 大鹿薫久(1989)「類義語・反義語」
2.4 3研究のまとめ
3. 類義判定基準の問題点
3.1 指示対象の重なり合いと類義性
3.2 対象のさし方の共通性と類義性
3.3 類義語の範囲
3.4 文脈の共有と類義性
3.4.1 同じ文脈の共有と意味の違い
3.4.2 同じ文脈での入れ替え可能性
4. まとめと問題点

第10章 類義語の存在理由
1. はじめに
2. 言い換えとそのパターン
3. 言い換えをするわけ
4. 潜在的な言い換え
5. 類義語の必要性
6. 類義語がなくならないわけ
7. 結論

第11章 多義の処理―格助詞「で」の場合―
1. 意味と文脈
2. 多義と意義素
3. 意義素と文脈
4. 「で」の用法
5. 「で」の意味に関する従来の分析
6. 「で」の意味分析試案
7. むすび

第12章 多義語の意味記述についての覚え書き
1. 多義語の意味の結びつき
2. 意味の関連性のタイプは規則的に適用されるか
3. 語の意味記述の2つの方向
4. 多義と同音異義
5. 多義語の意味記述の相反する方向

第III部 意味記述の方法

第13章 言語普遍的意味特徴による語彙記述
1. 意味を記述する言語
2. 対象言語,記述言語,高次言語
3. 記述言語としての自然言語の性格
4. 言語普遍的な意味特徴
5. 結論

第14章 語の意味はどのようなことばで記述できるのか
1. 意味記述のメタ言語
2. 普通のことば以外のメタ言語による意味記述の性質
3. 普通のことばによる記述のあいまいさ
4. 記号を用いる記述
5. 普通のことばを限定して用いる記述
6. 普通のことばを正確に規定して限定的に用いる記述

第15章 感情の言語表現―予備的考察―
1. 感情の言語表現に関するいくつかの問題
2. 「感情」という言葉
3. 感情の言語表現のこれまでの研究
4. 心理学の感情研究

第16章 感情語の意味をどう記述するか
1. 感覚・感情は他者に分かるか
2. 感覚のもとと感覚そのもの
3. 感情そのもの
4. メタ言語の問題
5. 感情語の体系的記述

第17章 意義素分析の歴史と現状
1. 本章の目的と構成
2. 意義素の定義
3. 意義素による記述および意義素概念の変遷
3.1 文法的形式の分析
3.2 より実質的な語の分析
3.3 名詞の意味分析
3.4 意義素分析と辞書
3.5 意義素記述の分析対象および記述形式の変遷
4. 意義素論とその批判
5. 意義素論的記述から見えること

第IV部 辞書と意味記述

第18章 辞書の意味記述
1. 辞書が対象とする語彙の種類
2. 辞書の対象者と記述のタイプ
3. 意味記述の難問題
3.1 語義の区分
3.2 類型的事象と個別的事象
4. 意味の性質と記述のスタイル
4.1 意味の性質
4.2 メタ言語
4.2.1 図示による意味記述
4.2.2 言語による意味記述
5. 「完全な意味記述」は可能か?

第19章 意味分類辞書
1. はじめに
2. 語彙における語の関連性
3. 一般辞書とシソーラス
4. シソーラスでの語の意味記述
5. シンタグマティックな語の関連性
6. 意味分類辞書
7. 語をどのように分類し,配列するか
8. 語の新しい分類方式
9. 語の空間的な配列は絶対に必要か
10. 残された問題点のいくつか
11. おわりに

第20章 意味から引く辞書
1. 一般辞書を逆に引く
2. 語の意味と外界の事物
3. 語義説明句と語の意義,あるいは事物との関係
4. 事物から言語表現へ
5. 語義説明句から語を引けるか
6. 近似的な意味引き辞書

第21章 「いい」の意味論―意味と文脈―
1. はじめに
2. 「イイ+名詞」の意味解釈の多様性
3. イイの基本的な意味特徴
4. 何がイイのか
5. 暗黙の了解
6. イイのその他の用法
7. 「受け入れる」という特徴
8. むすび


参照文献
本書各章と既発表論文との関係
あとがき
索 引
著者紹介
山田 進(やまだ すすむ)
1948年東京に生まれ,26歳まで同地。
39歳まで名古屋。以後,東京。
東京大学文学部言語学専修課程卒業。
同大学院言語学専門課程修士課程修了。
名古屋工業大学を経て聖心女子大学に勤務。
現在、聖心女子大学名誉教授。
専門は意味論。
おもな編著書に,
『ことばの意味―辞書に書いてないこと』(共著,平凡社,1976)
『日本語 意味と文法の風景』(共編著,ひつじ書房,2000)
『類語大辞典』(共編著,講談社,2002)
などがある。