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新刊

認知日本語学講座 3
認知統語論

町田章/木原恵美子/小熊猛/井筒勝信[著]

定価
4,950円(4,500円+税)
ISBN
978-4-87424-888-1 C3080
発売日
2022/1/24
判型
A5
ページ数
384頁
ジャンル
言語学・英語学 ― <認知日本語学講座>
オンライン書店
amazon.co.jp 楽天ブックス
リアル書店在庫
紀伊國屋書店 丸善・ジュンク堂書店・文教堂

認知言語学における構文の概念と分析手法から,文を超え談話も含めた上で構文をどのように分析記述できるのか。Ronald W. Langackerの提唱する認知文法の枠組みを用いて日本語および他言語の文法現象の分析を試みる。

(本書まえがきより)
本書では,領域固有な言語能力を前提とせず,人間の一般的な認知能力とそれを用いる認知・・・(全文を読む)主体の概念化(conceptualization)の観点から統語現象の記述と説明を試みる。本書でこれから詳述する認知言語学のパラダイムは,言語を自律した閉じた系とはみなさず,人間の脳と身体の進化の結果として創発した認知能力の発現としてとらえている。そのため,一般的な学習のメカニズム,環境と相互作用しつつ認知主体が作り上げる身体感覚と世界に関する知識,他者との協働やコミュニケーションを通して作り上げる共同体や社会制度など,地球という環境に適応しつつ進化を積み重ねてきた生物としてのヒトの持つ特性を注意深く検討しながら研究を進める。そのため,常に他の研究領域と行き来しつつ言語の本質に迫るアプローチをとる。認知言語学のアプローチは,他の領域の研究と密接にコミュニケーションをとりつつ行われる開かれた研究なのである。



<認知日本語学講座>
■山梨正明/吉村公宏/堀江薫/籾山洋介 編
従来の認知言語学の入門・研究書は、英語の分析が中心となっており、日本語の分析を中心とするものは数少ない。この点を考慮し、認知言語学の方法論と研究法を、主に日本語の分析に適用した研究書として企画。全7巻。

関連情報

目次
第1章 認知文法の基本概念
1.1 はじめに
1.2 形式と意味
1.2.1 記号的文法観
1.2.2 捉え方
1.2.3 詳述性
1.2.4 焦点化
1.2.5 認知的際立ち
1.2.6 視点
1.3 用法基盤モデル
1.3.1 レキシコンと文法の連続性
1.3.2 言語使用イベント
1.3.3 ネットワークモデル
1.4 概念原型と認知能力
1.4.1 概念原型
1.4.2 認知能力
1.4.3 参照点能力
1.5 理論内基準
1.5.1 内容要件
1.5.2 収束的証拠
1.5.3 内容要件と収束的証拠の意義
1.5.4 記述と厳格さ
1.6 まとめ

第2章 構文分析における主要モデル
2.1 はじめに
2.2 Goldbergの構文文法
2.2.1 構文の定義
2.2.2 動詞の意味と構文の意味
2.2.3 構文ネットワーク
2.3 Langackerの認知文法
2.3.1 構文の概念
2.3.2 語の意味と構文の意味
2.3.3 構文ネットワーク
2.3.4 LangackerとGoldberg(1995)のモデルの相違点
2.4 レキシコンから談話への連続性
2.4.1 語の意味記述の精緻化
2.4.2 文から談話への連続性
2.5 談話の記述にむけて
2.6 まとめ

第3章 日本語らしさと認知文法
3.1 認知文法と日本語研究
3.2 非明示的主語の問題
3.2.1 言語化されないトラジェクター
3.2.2 表現されない自己
3.3 主観性と主体性
3.3.1 自己把握の様式
3.3.2 Langackerの主体性
3.3.3 客体化と事態外視点
3.3.4 主観性と事態内視点
3.4 主観的状況
3.4.1 自己中心的視点配置
3.4.2 主観的状況と客体化
3.4.3 事態内視点の認知主体
3.5 間主観性
3.5.1 二つの間主観性
3.5.2 日本語らしさと同化型間主観性
3.6 まとめ

第4章 概念の構築と格助詞スキーマ
4.1 文法構造の明示的な記述
4.1.1 言語の構造依存性
4.1.2 認知文法の構造記述
4.1.3 身体特性と多次元的認識
4.2 格助詞と事態把握
4.2.1 認知文法における主語・目的語の規定
4.2.2 他動詞構文
4.2.3 二種類の節レベルのランドマーク
4.2.4 格助詞スキーマ
4.3 双方向事態把握
4.3.1 知覚の双方向性
4.3.2 到達点と起点のニ格
4.3.3 事態内視点とプロファイル
4.4 認知主体の客体化
4.4.1 内的状態述語
4.4.2 認知主体の明示化と格助詞のゆれ
4.5 まとめ

第5章 構文拡張の認知メカニズム
5.1 受身構文と他動性
5.1.1 日本語受身文の特徴
5.1.2 他動性による説明
5.1.3 他動性に基づく拡張の問題点
5.1.4 英語の受身文
5.2 ラレル構文の多義性
5.2.1 自発
5.2.2 可能
5.2.3 受身
5.2.4 ラレル構文の捉え方
5.3 受身と制御領域
5.3.1 被害性の出所
5.3.2 コントロールサイクル
5.3.3 制御領域と局面
5.3.4 無情物の受身
5.3.5 関連性
5.4 ラレル構文のネットワーク
5.4.1 意図成就
5.4.2 ラレル構文のネットワーク
5.5 まとめ

第6章 非主節性の認知統語論:非主節的統語要素の意味と機能
6.1 はじめに
6.2 多様な従属節(非主節的統語要素)
6.2.1 不分明な統語的機能
6.2.2 従属節を支える概念化様式
6.2.2.1 概念的埋め込み
6.2.2.2 包含,接近性,補完,詳述,投影
6.2.2.3 物象化と非時間化
6.3. 主格・属格交替と名詞主題:日本語・韓国語・アイヌ語の関係節と関連従属節
6.3.1 日本語の連体修飾節構
6.3.2 いわゆるガ・ノ交替
6.3.3 認知基盤:参照点
6.3.4 プロトタイプ:『が』関係節,『の』関係節
6.3.5 プロトタイプからの拡張
6.3.5.1 形容詞を述部する関係節
6.3.5.2 主要部を欠く従属節環境:比較従属節,副詞的従属節
6.3.5.3 いわゆる主要部内在節
6.3.6 韓国語の主格・属格交替類似現象
6.3.7 アイヌ語の主格・属格交替類似現象
6.4 特異な格標示と発話事象指向性
6.4.1 テ形/連用形従属節の特異な格標示
6.4.2 動詞補部従属節の格標示
6.4.3 テ形従属節の発話時事象的分岐
6.4.4 テ形従属節と話者関与性
6.5. 発話事象概念への埋め込み:日本語・英語・チベット語・韓国語の人称標示と『のだ』相当形式
6.5.1 発話事象概念の中心主体:只今の話者と次の話者
6.5.2 話題となる参与者の人称標示
6.5.3 発話・思考内容の力学的概念化
6.6. おわりに
あとがき—認知文法の展開—
著者紹介
町田 章(まちだ あきら)
広島大学大学院人間社会科学研究科准教授

木原恵美子(きはら えみこ)
神戸大学大学教育推進機構准教授

小熊 猛(こぐま たけし)
現在,金沢大学国際基幹教育院教授

井筒勝信(いづつ かつのぶ)
現在,北海道教育大学教育学部准教授,国際交流・協力センター兼務