近刊
中国語音声学概論
林焘/王理嘉/王韫佳[著] 梁辰[訳]
- 定価
- 5,940円(5,400円+税)
- ISBN
- 978-4-87424-969-7 C3087
- 発売日
- 2024/10/25
- 判型
- A5
- ページ数
- 418頁
- ジャンル
- 言語学・英語学 ― 言語学専門
中国語音声の単音から韻律に至る各領域のすべての重要課題を取り上げて専門的視点からきわめて詳細な説明を行い、中国語普通話(標準中国語)からだけでなく、中国語諸方言や少数民族言語からの例も多数取り入れるなどにより、他にぬきんでて優れた中国語音声学の参考書。
まえがきから
本書の原著は林焘・王理嘉(著)、王韫佳・王理嘉(增订)『・・・(全文を読む)语音学教程』北京:北京大学出版社2013年8月発行第1刷である。ただし、次の理由で原著と異なる点があることをお断りしておく。1. 原著では本文中にかっこでくくられている出典や補足説明などを、この日本語訳では日本の学術書の慣習に合わせて脚注に移し、「(原注)」と記して示している。2. 研究の進展などによって翻訳の時点で修正する必要があると思われた約120箇所の記述を、原著者である北京大学王韫佳教授の了解を得て、「△……▽」のように始点と終点を明示して修正している。また図1-9や図2-10など、訳者が新たに作図したものもある。これらの図は中国語版が再び改訂される場合にも使用される予定である。3. 原著をすべて翻訳し終え、王韫佳教授と修正箇所について相談した際に教授から、原著が刷を重ねるたびに修正を行ったという話があった。現時点での最新版は2022年8月発行第9刷である。その後、北京大学出版社に尋ねたところ、紙媒体の本を送ってくださったが、日本語版の出版の締め切りに間に合わせるためにこれを第1刷と逐一比較することはできなかった。その代わり、王韫佳教授から過去の修正箇所をまとめた一覧をいただき、同じく 「△……▽」で明示して第1刷の日本語訳を修正している。
関連情報
- 目次
- 第1章 音声の形成
1.1 音波について
1.2 発声の仕組み
1.3 音声の知覚
1.4 音声の分節と分類
第2章 母音
2.1 母音の性質
2.2 母音の分類
2.3 中国語普通話の単母音
2.4 母音の音響的特徴
第3章 子音
3.1 子音の調音位置
3.2 調音方法
3.3 その他の性質
3.4 中国語普通話の子音
3.5 子音の音響的特徴
第4章 音節と音節構造
4.1 音節の区切り方
4.2 音節構造
4.3 中国語の音節構造
4.4 中国語普通話の音節構造
第5章 声調
5.1 声調の性質
5.2 中国語の声調
5.3 声調の知覚と測定
第6章 音連続における音の変異
6.1 変異の性質
6.2 連続変調
6.3 中国語のr化
第7章 韻律
7.1 語強勢と文強勢
7.2 文強勢
7.3 リズム
7.4 イントネーション
第8章 音声学と音韻論
8.1 音素と音素帰納
8.2 音素帰納の作業原則
8.3 音素と異音
8.4 音素の集合と配列
8.5 音素帰納の多様性
8.6 音韻論と弁別的素性理論
第9章 中国語普通話の音素帰納
9.1 中国語普通話の韻母の精密表記
9.2 中国語普通話の高位母音音素
9.3 中国語普通話の中位母音音素
9.4 中国語普通話の低位母音音素
9.5 中国語普通話の子音音素と調素
9.6 異なる体系による2つの音素帰納
第10章 中国語ピンイン方案と中国語普通話音素の関係
10.1 字母と音
10.2 中国語ピンイン字母と中国語普通話音素の対応
10.3 声母表における字母と音声の対応関係
10.4 韻母表における字母と音声の対応関係
10.5 中国語ピンイン方案と中国語普通話の簡略表記、精密表記との対照
- 著者紹介
- 林 焘(りん・たう)
1944年、成都燕京大学中国語言語学系卒業。1946年より燕京大学などを経て、1952年より北京大学で中国語音声学・音韻論を教授。漢字現代化研究会副会長、中国語言語学会理事、世界中国語教育学会理事。1981年より北京大学教授。2006年死去。
王理嘉(おう・りか)
1954年、北京大学中国語言語学系卒業。1958年より北京大学において中国語音声学・音韻論を教授。1989年から92年まで北京大学中国語科副主任。2019年死去。
王韫佳(おう・いんか)
1988年、南京大学中国語言語学系卒業。1990年、南京大学中国語言語学系修士課程修了、その後北京大学へ入学、1993年北京大学中国語言語学系博士課程修了。2008年より北京大学教授。
梁辰(りょう・しん)
2011年、江南大学日本語系卒業。2016年名古屋大学大学院国際開発研究科・国際コミュニケーション専攻博士課程修了。2022年より早稲田大学・人間科学学術院・加齢人間工学研究室・助教。著書に『日语语音学研究』(苏州大学出版社、2018年)など。
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