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新刊

日本語の構造分析

畠山雄二/本田謙介/田中江扶[著]

定価
4,950円(4,500円+税)
ISBN
978-4-87424-987-1 C3081
発売日
2024/8/30
判型
A5
ページ数
344頁
ジャンル
日本語学 ― 日本語学専門
オンライン書店
amazon 楽天ブックス 紀伊國屋書店 丸善ジュンク堂書店  e-hon 

言語学界、日本語文法学界に一石を投じ続けてきた著者らが、日本語の内面をえぐり、日本語の本質を探る。23年にわたる共同研究の集大成。先行研究のバイアスを極力避けながら、自分たちの脳を使って真剣に考えた研究の軌跡。

■「まえがき」より
自分の内面をえぐり、自分の本性を探る作業はとても苦しい。これと同じように、母語の内面をえぐり、・・・(全文を読む)母語の本性を探る作業もまた苦しい。それでも、逃げることなく立ち向かわなければ人間の言語の本質を垣間見ることすらできない。本書は私たち3人の母語である日本語の内面をえぐり、日本語の本質を探ろうとしたドキュメンタリーである。膨大な先行研究を読み込んでから執筆したことはいうまでもないが、先行研究のバイアスを極力避けながら、自分たちの脳を使って真剣に考えた軌跡でもある。

関連情報

目次
第I部 日本語文法の統語分析
第1章 日本語の動詞重複構文
1.1 はじめに
1.2 動詞重複構文の特徴と統語構造
1.3 本分析の理論上の意義
1.4 おわりに

第2章 日本語の代名詞「本人」
2.1 はじめに
2.2 「本人」の統語条件
2.3 英語の(再帰)代名詞との比較
2.4 おわりに
補遺 使役構文について

第3章 「放題」構文の統語構造
3.1 はじめに
3.2 「放題」構文の特徴と統語構造
3.3 「放題」構文の統語構造の帰結
3.4 おわりに

第4章 日本語の様態副詞と結果述語の統語論
4.1 はじめに
4.2 様態副詞と結果述語の統語構造および反構成素統御条件
4.3 おわりに
補遺 線形順序に基づく依存関係の制約

第5章 日本語の「と」節と「ら」節の統語論
5.1 はじめに
5.2 基本データと3つの特徴
5.3 3つの特徴に対する統語的分析
5.4 3つの特徴と英語
5.5 おわりに

第6章 名詞句の義務的削除:「先読み」規則の必要性
6.1 はじめに
6.2 統語構造と束縛理論
6.3 おわりに

第7章 逆接詞「るも」
7.1 はじめに
7.2 逆接詞「るも」
7.3 おわりに

第8章 日本語の複数表現と不適正移動
8.1 はじめに
8.2 日本語の複数表現
8.3 不適正移動の禁止
8.4 おわりに

第II部 伝統文法と生成文法の架け橋
第9章 橋本文法とミニマリスト・プログラム
9.1 はじめに
9.2 句構造理論に関する橋本文法とミニマリストの類似性
9.3 「係り受け」とc統御
9.4 おわりに

第10章 動詞語幹をつくる接辞rについて
10.1 はじめに
10.2 動詞語幹をつくる接辞r
10.3 おわりに
補遺 雨と雨戸

第11章 形容詞語幹をつくる接辞kについて
11.1 はじめに
11.2 形容詞語幹をつくる接辞k
11.3 動詞の語幹をつくる接辞rとの関連性
11.4 おわりに
補遺1 「寒っ」の「っ」について
補遺2 なぜ促音が語頭に現れないのか

第12章 「イ脱落現象」再考
12.1 はじめに
12.2 「飲んでく」の形態統語論
12.3 理論的意義
12.4 おわりに
補遺 「ておく」と「とく」

第13章 日本語の指示詞「こ」「そ」「あ」再考
13.1 はじめに
13.2 「こ」「そ」「あ」の形態論的分析
13.3 おわりに

第14章 連体詞「ある」と日本語の単数形
14.1 はじめに
14.2 「ある」と単数形
14.3 「ある」と特定性
14.4 おわりに
補遺1 3種類のar
補遺2 「ある」と「いる」の選択について

第15章 金田一(1950)再考
15.1 はじめに
15.2 動詞の分類
15.3 第四種の動詞に現れる「ている」
15.4 おわりに

第III部 日本語の構文
第16章 使役を表す「受動文」
16.1 はじめに
16.2 受動形態素「られ」
16.3 受動-使役交替のメカニズム
16.4 英語の受動文と日本語のラレル文
16.5 理論的帰結と今後の課題
16.6 おわりに

第17章 「のなんの」構文の認可条件について
17.1 はじめに
17.2 「のなんの」構文に課せられる諸条件
17.3 「のなんの」構文の認可条件
17.4 おわりに

第18章 「何がXだ」構文
18.1 はじめに
18.2 「何がXだ」構文の特性
18.3  おわりに

第19章 「方をする」構文と身体属性構文
19.1 はじめに
19.2 「方をする」構文と身体属性構文の共通の特性
19.3 「方をする」構文と疑似身体属性構文
19.4 おわりに

第20章 英語のto think that構文と日本語の「とは/なんて」構文
20.1 はじめに
20.2 to think that構文の特徴
20.3 「とは/なんて」構文の特徴
20.4 おわりに

第21章 「この本は売れない」の曖昧性をめぐって
21.1 はじめに
21.2 「売れ」の構造
21.3 「ラ抜きことば」再考
21.4 おわりに

第22章 「酒を飲んで運転した」の曖昧性をめぐって
22.1 はじめに
22.2 「酒を飲んで運転した」のアスペクト的曖昧性
22.3 「酒を飲んで運転した」の統語的曖昧性
22.4 おわりに
補遺 「笑うように言った」の曖昧性

第IV部 日本語文法研究の継承
第23章 日本語の文法現象と第二言語習得
―母語の文法を実感すること―
23.1 はじめに
23.2 知らないうちに頭の中に入っている文法
23.3 変化する文法
23.4 おわりに
著者紹介
畠山雄二(はたけやま・ゆうじ)
1966年 静岡県生まれ。東北大学大学院情報科学研究科博士課程修了。博士(情報科学)。現在、東京農工大学 准教授。著書(単著)に『情報科学のための自然言語学入門』(丸善出版)、『ことばを科学する』(鳳書房)、『情報科学のための理論言語学入門』(丸善出版)、『理工系のための英文記事の読み方』(東京図書)、『英語の構造と移動現象』(鳳書房)、『科学英語読本』(丸善出版)、『言語学の専門家が教える新しい英文法』(ベレ出版)、『科学英語の読み方』(丸善出版)、『科学英語を読みこなす』(丸善出版)、『理系の人はなぜ英語の上達が早いのか』(草思社)、『ことばの分析から学ぶ科学的思考法』(大修館書店)、『科学英語を読みとくテクニック』(丸善出版)、『大人のためのビジネス英文法』(くろしお出版)、『英文徹底解読 スティーブ・ジョブズのスタンフォード大学卒業式講演』(ベレ出版)、『英語で学ぶ近現代史 外国人は歴代総理の談話をどう読んだのか』(開拓社)、『英文徹底解読 ボブ・ディランのノーベル文学賞受賞スピーチ』(ベレ出版)、『エマ・ワトソンの国連スピーチを英語で読む』(開拓社)、『音楽理論と文法理論』(開拓社)がある。

本田謙介(ほんだ・けんすけ)
1969年 埼玉県生まれ。獨協大学大学院外国語学研究科博士後期課程満期退学。博士(英語学)。現在、茨城工業高等専門学校 教授。著書(共著)に『日本語の教科書』(ベレ出版)、『数理言語学事典』(産業図書)、『日英語の構文研究から探る理論言語学の可能性』(開拓社)、『ことばの本質に迫る理論言語学』(くろしお出版)、『ことばの仕組みから学ぶ和文英訳のコツ』(開拓社)、『言語科学の百科事典』(丸善出版)、『くらべてわかる英文法』(くろしお出版)、『書評から学ぶ理論言語学の最先端(上)(下)』(開拓社)、『徹底比較 日本語文法と英文法』(くろしお出版)、『理論言語学史』(開拓社)、『英文法大事典 第0巻 英文法と統語論の概観』(開拓社)など他多数。

田中江扶(たなか・こうすけ)
1971年 愛媛県生まれ。東京都立大学大学院人文科学研究科博士課程満期退学。修士(英語学)。現在、信州大学 准教授。著書(共著)に『日英比較構文研究』(開拓社)、『最新理論言語学用語事典』(朝倉書店)、『大学で教える英文法』(くろしお出版)、『正しく書いて読むための英文法用語事典』(朝倉書店)、『ネイティブ英文法 第1巻 時制と相』(朝倉書店)、『英文法大事典 第4巻 形容詞と副詞』(開拓社)、『英語上達40レッスン 言語学から見た4技能の伸ばし方』(朝倉書店)、『英文法が身につく教養としての英語ことわざ100選』(明日香出版社)、『正しく書いて読むための英語前置詞事典』(朝倉書店)、『ネイティブ英文法 第4巻 英文の基本構造』(朝倉書店)、『言語学で解明する 英語の疑問』(大修館書店)など他多数。