イベント(第二言語習得)

オンラインセミナー:「目からうろこ」のSLA入門 -『超基礎・第二言語習得研究』を使って

講師: 奥野由紀子 先生(東京都立大学人文科学研究科教授)、岩﨑典子 先生(南山大学人文学部日本文化学科・人間文化研究科教授)、櫻井千穂 先生(大阪大学人文学研究科准教授)
日時: 2022年10月1日(土) 15:00 - 17:00
場所: オンライン

イベント一覧 >


【2022/10/14 講師からのコメントを掲載】
講師の先生方からの、開催後のコメントを掲載しました。

●講師からのコメント

■奥野由紀子 先生

この度は沢山の方にご参加いただきありがとうございました。この本のウリのひとつでもある、ワークを体験していただきながら、多様な経験をされてきた皆様と一緒に、これまでの第二言語習得研究(SLA)での当たり前を少し見直してみることができて、嬉しく思っています。身近なL2使用者やCLD児に思いを馳せたり、昨今の多言語・多文化社会について考えたり、これまでの自分自身の教え方や、目標言語の学び方について改めて考えたくなる、そんなひとときになったのであれば嬉しいです。社会とつながるSLAをこれからも一緒に考えてまいりましょう。

■岩﨑典子 先生

この度は、お忙しい中ご参加くださり、ありがとうございました。私は、約60年間のSLA研究の中でその見方や位置付けが大きく変化してきた二つの点(いわゆる「言語」の境界とerror(誤用、エラー、目標言語の規範とは異なる“non-target-like”な言語使用))を取り上げました。まずは、L2使用者の言語知識は、X語とY語の境界のない融合・複合的な知識体系であることや、「正しい」言語体系を想定することの問題点を挙げ、そして、マイナスイメージの多いerrorこそがL2習得の鍵となることを、個人ワークを交えてご紹介しました。熱心な参加者の方から個人ワーク中にご質問もいただき、ありがたく思いました。(現在、ペルシア語とアラビア語の違いについて調べているところです)。SLA研究は、どんどん進展していて私も勉強中ですが、とても興味深く、そして社会貢献にもつながる分野であることは間違いありません。皆さんもぜひSLA研究をお進めください!

■櫻井千穂 先生

この度は多くの方々にご参加いただき、感謝申し上げます。私はCLD児教育の立場からこの企画に参加させていただきました。日本語が圧倒的に強い日本社会において、CLD児は、複数の文化とことばという本来ならとても豊かな環境の中にいるはずであるにもかかわらず、「日本語ができない」子どもとしてみなされ、マイノリティの立場に立たされてしまうことがしばしばあります。日本語「を」教えるという行為によって、その立場を固定化・助長させるのではなく、複数のことば「で」育てることができればと、本書の執筆に参加させていただきました。今日の「目からうろこ」が明日の「あたりまえ」になるように、これからもみなさんと考えていきたいと思います。貴重な機会をありがとうございました。

●開催情報

■会場 オンライン(Zoomミーティング)
■日時 2022年10月1日(土)15:00-17:00

■参加費 無料

■参加資格
どなたでもご参加いただけますが、おもにSLA(第二言語習得)研究に関心のある方、特にSLAの授業を担当したり、SLA研究の指導を行う方などに向けた内容となります。

■定員 100名(先着)
※このセミナーでは、グループワーク(ブレークアウト・セッション)を予定しています。申し訳ございませんが、閲覧のみのご参加はご遠慮ください。
※ご参加可能な人数が限られていますので、お申し込みの際は、極力キャンセルにならないようご協力ください。

■講師
奥野由紀子 先生(東京都立大学人文科学研究科 教授)
広島大学大学院修了 博士(教育学)
著書に『第二言語習得過程における言語転移の研究−日本語学習者による「の」の過剰使用を対象に−』(風間書房、2005)、『日本語教師のためのCLIL入門』(編著、凡人社、2018)、『日本語でPEACE −Poverty 中上級』(編著、凡人社、2021)など

岩﨑典子 先生(南山大学人文学部日本文化学科・人間文化研究科 教授)
アリゾナ大学大学院修了 博士(応用言語学:第二言語習得と教育)
著書に『移動とことば』(共編著、くろしお出版、2018)、The Grammar of Japanese Mimetics: Perspectives from Structure, Acquisition, and Translation(共編著、Routledge、2017)、The Routledge Intermediate to Advanced Japanese Reader: A Genre-Based Approach to Reading as a Social Practice(共著、Routledge、2015)など

櫻井千穂 先生(大阪大学人文学研究科 准教授)
大阪大学大学院修了 博士(言語文化学)
著書に『外国にルーツをもつ子どものバイリンガル読書力』(大阪大学出版会、2018)、『母語をなくさない日本語教育は可能か-定住二世児の二言語能力』(共著、大阪大学出版会、2019)など

講師から
急速なオンライン化や人の移動により、多言語・多文化が前提の社会となっています。そのような中、SLA観の変化と共に、用語も捉え直されてきており、SLA研究もこれまでの「当たり前」をクリティカル に捉え直しながら、転回(ターン)を遂げてきています。多様な言語文化背景を持っている人たちとよりよい社会を作るためにSLA研究の知見をどのように生かしていけるのか『超基礎SLA』を使って「目から鱗」を経験しながら考えていきたいと思います。

■このセミナーの参考書
※本を持っていない方でもご参加可能です。

目次を見る >

■お申し込み
受付を終了しました。