学会・研究会情報

『決定木分析による言語研究』出版記念講演シリーズ3:行為要求表現における丁寧度の変化

日程: 2023年9月21日(木)
場所: オンライン

『決定木分析による言語研究』出版記念講演シリーズ3
行為要求表現における丁寧度の変化 ―否定や疑問などの言語特性は日本語の行為要求表現の丁寧度を上げる要因なのか―

▼日時詳細 2023年9月21日(木)20:00-21:00(日本時間)

▼講師 林 炫情(山口県立大学・教授)
 司会 玉岡賀津雄(名古屋大学・名誉教授)

▼要旨
〈第3章は、日本語の行為要求表現における丁寧度の変化に関する研究を紹介しています。日本語において相手になんらかの行動を起こさせることを目的とする行動要求表現は、授受の補助動詞(「くれる/くださる」や「もらう/いただく」)を含んだ表現が頻繁に用いられます。これらの表現形式の丁寧度は、「くれる<もらう<くださる<いただく」の順に高くなることが予想されますが、これに加えて、ストレートに要求するのではなく、「~てもらえますか」と相手に可能かどうかと尋ねることで、より丁寧さが増すとされています。そして、「~ていただけますか」の肯定の疑問形よりも、「~ていただけませんか」の否定の疑問形のほうが丁寧であるといわれています。その理由として、依頼の相手に対して選択の余地を与えることで心理的負担を軽減し、より丁寧な印象を与えるからだという指摘があります。林他(2011)では、4種類の動詞と「~くれる(平叙形)」、「~もらえる(平叙形・可能)」、「~てもらえますか(丁寧・可能)」、「~てくださいますか(尊敬)」、「~ていただけますか(謙譲・可能)」の5種類の行為要求表現とその否定表現を用いて、肯定形か否定形か、平叙形か疑問形か、という言語特性によって丁寧度がどう変わるのかを実証的に検証しました。この講演では、林他(2011)のデータをもとに、複数の説明変数(5種類の表現、肯定・否定、動詞の種類)で量的尺度の目的変数(丁寧度)を予測する回帰木分析を紹介します。〉

参加登録フォーム >
「言語実証プロジェクト」ウェブサイト >
『決定木分析による言語研究』書誌情報 >