日本語教育・日本語学の「次の一手」

  • 日本語教育事情

日本語教育・日本語学の「次の一手」

庵功雄[著]
定価
1,760円(1,600円+税)
ISBN
978-4-87424-607-8 C3081
発売日
2013/10/23
判型
四六
ページ数
208頁
重量
252g
ジャンル
日本語教育 ― 日本語教師参考書
オンライン書店
amazon.co.jp 楽天ブックス

日本語教育、日本語学がともに深刻な「危機」にあるという現状認識のもと、それに対する筆者の考えを綴ったエッセー集。日本語教育をめぐって/「やさしい日本語」をめぐって/日本語研究の可能性/研究の担い手としての大学院生

追加情報

目次
プロローグ 今そこにある危機

§1 日本語教育をめぐって
 1 「What なきHow 論」の危うさ 文法教育の必要性を問い直す
 2 「文法」でできること 自動詞・他動詞を例に
 3 たかが「の」、されど「の」 受難の「んです」を救い出すために
 4 Native-like ということ 日本語教育の多様性を求めて
 5 日本語教育奨励賞受賞記念スピーチ原稿 5 分間バージョン
 6 日本語とニホン語 日本語教育文法の担い手としての非母語話者
 7 とらわれを捨てることの重要性 日本語話者に対する韓国語教育を例に

§2 「やさしい日本語」をめぐって
 8 「やさしい日本語」の本質とその可能性
 9 地域社会における共通言語としての「やさしい日本語」 「教える」から「学び合う」へ
 10 地域型日本語教育における活用の扱い方について
 11 「いつか来た道」を繰り返さないために 方言と「やさしい日本語」
 12 「聞き手の国際化」と「やさしい日本語」 土岐先生の思い出

§3 日本語研究の可能性
 13 「世界」との対話をなくした日本語学 寺村文法の継承性をめぐって
 14 「世界」とつながるためのささやかな試み 「見えない冠詞」をめぐって
 15 新しい対照研究の可能性 「漢語サ変動詞の自他の習得」から見えてくること
 16 車内放送から始まる文法研究
 17 日本語は非論理的な言語か

§4 研究の担い手としての大学院生
 18 院生よ書を取れ
 19 3年先の稽古
 20 「根・鈍・運」 研究者に求められるもの
 21 私案査読論文執筆法 「仮想敵」を持つことの重要性
 22 査読とは何か 「育てる査読」の重要性
 23 末路哀れは覚悟の前やで
 24 10 億円の使い方 日中の恒久的平和構築の礎として

余白 枝雀さん の名刺入れ 幻の高座を夢見ながら

エピローグ 日本語教育、日本語学が生き残るために今なすべきこと
著者紹介
庵 功雄(いおり いさお)
1967年大阪府出身。大阪大学文学研究科博士課程修了。博士(文学)。大阪大学助手、一橋大学講師、准教授を経て、現在一橋大学国際教育センター教授。専門は日本語教育文法、日本語学、テキスト言語学。主な論文に、「「は」と「が」の使い分けに関わる一要因」(『国語学』188)、「推量の「でしょう」に関する一考察」(『日本語教育』142)、主著に、『新しい日本語学入門(第2版)』(スリーエーネットワーク)、『日本語のテキストの結束性の研究』『『象は鼻が長い』入門』(くろしお出版)、『「やさしい日本語」は何を目指すか』(共編著、ココ出版)、『日本語教育文法のための多様なアプローチ』(共編著、ひつじ書房)がある。