コミュニケーションデザイン

コミュニケーションデザイン

西條美紀[著]

定価
1,980円(1,800円+税)
ISBN
978-4-87424-613-9 C1036
発売日
2014/2/27
判型
A5
ページ数
224頁
ジャンル
コミュニケーション ― コミュニケーション
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紀伊國屋書店 丸善・ジュンク堂書店・文教堂

複雑な問題について漠然と話をはじめたのでは解決は図れない。著者が実際に解決を試みようとした実例を中心に、コミュニケーションデザイン、つまり話し合いの設計により、どのように問題解決を図るかを読者と共に考える。

関連情報

目次
序論 コミュニケーションデザインとは
 本書で扱う問題
 コミュニケーションデザインとは?
 反対派がいる会議の傍聴のデザイン
 公共的な問題とコミュニケーションデザイン
 本書のガイダンス

第1章 意味はともに作り出すもの―コミュニケーションの共同構築モデル
 記号・対象・意味
 コミュニケーションモデル1 導管メタファー
 会話の協調の原理
 あるディスコミュニケーション
 コミュニケーションモデル2 共同構築モデル
 「コミュニケーションデザインを行う」とは
 問診のコミュニケーション:部分的な失敗を超えて
 広告のコミュニケーションデザイン
 世界観の違いを架橋するコミュニケーションデザイン

第2章 神話から対話へ―原子力のコミュニケーションデザイン
 原子力のディスコミュニケーション
 類推
 仮説形成的推論
 九州電力やらせメール事件
 九州電力の不透明な行動とその文脈
 説明番組のコミュニケーションデザイン上の問題
 仮説形成的推論を誘発するコミュニケーションデザイン案

第3章 ゼロレベルのコミュニケーションデザイン―市民による太陽光発電を目指して
 電気のない暮らしと空気のような電気
 地域分散型電源としての太陽光発電への期待と懸念
 ケーススタディ 掛川市における太陽光発電普及の社会実験
 掛川市での100世帯調査
 イノベーターとそれ以外の人々の違い
 違いを踏まえたコミュニケーションデザイン

第4章 目的のデザイン―多職種連携の疑心暗鬼を解消したい
 地域の困りごとの複雑さ
 地域健康医療支援センターという考え方
 相互行為としてのコミュニケーションの意味
 疑心暗鬼を解消するコミュニケーションデザイン
 ケーススタディ 掛川市地域健康医療支援センター意見交換会
 グループワークの方法
 グループワーク1:6事業の課題
 グループワーク2:新センターに関する疑問と課題・期待
 グループワークの分析結果
 「6事業の課題」の集計結果
 事業ごとの指摘関係
 課題の指摘関係の対応分析
 課題解決への展望とさらなるコミュニケーションデザイン

第5章 計画のデザイン―裁判員裁判における理想の評議
 評議における計画のデザインとは
 判決の正統性について
 正統性の三分類と判決
 判決をめぐる三つの主体にとっての正統性のあてはめ
 正統性のある判決を導くために
 計画のデザインとしての理想の評議が目指すもの
 量刑判断に市民が関わることの意味
 「私」が関わって刑罰を科すことの報酬

第6章 実践のデザイン1―十全参加を促す評議デザイン
 ハーバーライト事件における殺意の認定スキーマ
 スキーマの違う参加者間の話し合いと素朴交渉
 評議デザインの構成
 手順
 道具
 言葉
 わかるだけでいいのか

第7章 実践のデザイン2―ハラスメントとジレンマからの脱却
 ハラスメントとジレンマの過程
 あるセクシュアルハラスメント
 ハラスメントの解決のための修正のサイクル
 技術者のジレンマ:「ギルベインゴールドケース」

第8章 実践のデザイン3―言語トラップから身を守るためのメタコミュニケーション
 オレオレ詐欺の談話の構造
 始め(開始部)
 なか(主要部)
 終結部(おわり)
 言語トラップから身を守るために
 メタコミュニケーションのすすめ
 Aはどう言えばよかったのか
 全体を俯瞰し、調整する言語技術をもつ

第9章 考察のデザイン―疑心暗鬼の後で
 1年後の「ふくしあ」(地域健康医療支援センター)
 考察のデザインの目的
 参加者
 分析の材料と方法
 結果
 地域包括ケアシステムの新たな目標設定のために

第10章 わたしのコミュニケーションデザイン―問題解決のためのデザインタスク
 タスクの構成と実施方法
 問題解決の道筋を見出す実践のデザイン:7ステップスで可視化
 1コメントマップ作成
 2問題概要の記述
 3問題から課題を抽出し目的を設定
 4GPIOサイクルを作成
 5実践のデザインとしての参加のフォーマットを作成
 6デザインの結果について考察
 7他者のコメントを統合した問題解決の道筋
 コミュニケーションデザインの限界
著者紹介
東京工業大学 留学生センター/イノベーションマネジメント研究科教授
人文科学博士

1998年お茶の水女子大学大学院人間文化研究科比較文化学専攻修了。早稲田大学日本語研究教育センター客員講師、東京工業大学留学生センター助教授などを経て、2010年より現職。
専門は、社会言語学(談話分析)、日本語教育、科学技術コミュニケーション。

著書に『談話におけるメタ言語の役割』風間書房。共編著に『科学技術コミュニケーション入門―科学・技術の現場と社会をつなぐ』培風館、梶雅範・野原佳代子と共編。分担執筆に、Meta-informative Centering in Utterances: Between Semantics and Pragmatics. Edited by Andr? W?odarczyk and H?l?ne W?odarczyk, pp. 183-192. Amsterdam/Philadelphia: John Benjamins.