実践方言学講座 第1巻 社会の活性化と方言

近刊

実践方言学講座 第1巻 社会の活性化と方言

半沢康/新井小枝子[編]

価格
4,300円+税
ISBN
978-4-87424-845-4 C3381
発売日
2020/12/10
判型
A5
ページ数
298頁
ジャンル
言語学・英語学 ― <実践方言学講座>
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紀伊國屋書店 丸善・ジュンク堂書店・文教堂

経済と方言との関わりや芸術・放送における方言使用、また地方自治体などによる方言活用の取り組みといった、社会における方言のあり方を紹介し、今後の展望を示す。

■「豊かな社会生活のために―第1巻への招待―」より
 かつて方言は恥ずかしいもの、忌避すべきもの、隠すべきものであった。親しい家族や友人との間で話すことは許されても、人・・・(全文を読む)前で口にすれば、密やかな嘲笑の洗礼を受けるものであった。しかしながら、いまや方言は社会のいたるところでおおっぴらにその姿をひとめにさらす。井上史雄『日本語の値段』(2000年、大修館書店)が指摘するように、平成期以降、方言は日本人の娯楽の対象となり、社会のさまざまな場面で用いられるコンテンツのひとつとなった。もちろん、残念ながらそれは方言自体の生命力を反映するものではない。一部の有力な方言を除き、依然として方言は衰退の途にある。しかし、一方で、消滅の危機に瀕する方言は、日常の言語生活における活躍の場を狭めることと引き換えに、社会のさまざまな場面へと進出した。私たちが豊かな社会生活を送るのに欠かせない存在へと、方言は変身を遂げつつあるのである。
 本巻ではこうした現代社会における方言の広がりを論じる。果たして方言は社会の活性化に寄与し、人々が豊かな生活を送るために役立つことができるのだろうか。社会生活のさまざまな側面へと拡大した方言活用の位置づけをあらためて確認し、その社会的な意味を検討することは実践方言学の重要な課題のひとつとなる。
 「社会の活性化と方言」と題した第1巻は、私たちの社会生活をより豊かなものとするための方言の活用法を取り扱う。


<実践方言学講座>
■小林隆 編集代表
社会の中での方言の使われ方に注目し、その効果的運用について実践的に考える学問である「実践方言学」について、その分野を網羅的に取り上げた初の講座。それぞれの課題について現状を紹介し、今後のあり方や研究の方向性を示す。全3巻。

関連情報

目次
まえがき―新たな方言学の誕生―
豊かな社会生活のために―第1巻への招待―

【現代社会と方言】
第1章
地域経済のための方言活用
渡邉潤爾

第2章
メッセージの中の方言活用
田中宣廣

第3章
キャラデザインにおける方言活用
日高水穂

第4章
IT社会の中の方言活用
中西太郎

【芸術・放送と方言】
第5章
映像メディアにおける方言活用
田中ゆかり

第6章
舞台芸術における方言活用
鳥谷善史

第7章
バラエティ番組における方言活用
松本 修

第8章
報道における方言活用
塩田雄大

第9章
博物館における方言活用
新井小枝子

【地域づくりと方言】
第10章
方言を介した大学と自治体との協働
新井小枝子

第11章
地方自治体による方言活用と地域づくり
岸江信介・柚木脇大輔・鶴田健介・清水勇吉

第12章
方言を活用した市民団体の取り組み
今村かほる

索   引
執筆者紹介
著者紹介
半沢康(はんざわ やすし)
東北大学大学院文学研究科博士課程後期3年の課程単位取得退学。修士(文学)。現在、福島大学人間発達文化学類教授。著書・論文に『ガイドブック方言調査』(共著、ひつじ書房、2007)、『はじめて学ぶ方言学―ことばの多様性をとたえる28章―』(共著、ミネルヴァ書房、2016)、「東北地方におけるハーの伝播と変化」(『方言の研究』4、2018)などがある。

新井小枝子(あらい さえこ)
東北大学大学院文学研究科博士後期課程修了。博士(文学)。現在、群馬県立女子大学文学部教授。著書・論文に『絹のことば』(上毛新聞社、2012)、『養蚕語彙の文化言語学的研究』(ひつじ書房、2009)、「生活・生業と方言語彙」(共著、『方言の語彙』朝倉書店、2019)、「群馬県方言における粉食に関する語彙―粉食語彙の記述的研究から粉食文化の解明へ―」(『方言の研究』1、2015)などがある。