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社会言語学の枠組み

井上史雄/田邊和子[編著]

定価
2,420円(2,200円+税)
ISBN
978-4-87424-919-2 C3081
発売日
2022/11/25
判型
A5
ページ数
224頁
ジャンル
言語学・英語学 ― 社会言語学入門
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社会言語学という学問の全体が論理的にわかるよう、変異を扱う方向と談話を扱う方向を組みあわせる体系的な枠組みを採用した新しい入門書。各章に【推薦図書】と【調査の課題】があり、大学生向けテキストに最適。もちろん独習にも。

■「まえがき」より
この本は社会言語学についての入門書として企画された。大部分の読者にとって、社会言語学とい・・・(全文を読む)う学問に触れるのは初めてと考え、前提の知識なしに、読めることを目指した。
従来の社会言語学の概説書の多くは、取り上げる対象や分野に偏りがあった。そこで、本書では、社会言語学という学問の全体が論理的に分かるような体系的な枠組みを採用した。この枠組みでは、変異を扱う方向と談話を扱う方向を組み合わせ、かつ地表上に広がる面積の大きさによって配列したので、個々の現象を一定の研究分野に位置づけることができる。本書全体として大から小へ向かうという流れ、ストーリー性がある。世界全体を見渡す大きな視点から話が始まり、一言語の中の方言差や性差、集団差、敬語、文字のように、個人の使い分けの話になり、個人のことばの並べ方に移っていく。従来の社会言語学概説書と違うところは、言語相対論を冒頭におき、文字についての独立の章を設けたこと、談話についてしかるべき位置を与えたことである。

関連情報

目次
第1章 社会言語学の枠組み:動向と展望 井上史雄
0 社会言語学とは
1 第1分野 社会と言語の関係(第2章)
2 第2分野 言語の変異(第3章~第8章)
3 第3分野 談話の規則(第9章)
4 第4分野 談話と変異(第10章)
5 社会言語学の研究動向
6 まとめ 社会言語学の位置

第2章 言語と社会の規定関係 堀江 薫
1 言語と社会・文化
2 言語相対性・言語類型論の観点
3 社会言語類型論の観点
4 日本語と社会の規定関係(日韓の相違)
5 まとめ

第3章 言語間の格差 渋谷勝己
1 言語の捉え方
2 世界の言語の社会的格差
3 多言語国家における言語間格差
4 変種間格差
5 社会的上位のことばへの対抗
6 言語間格差への対応
7 まとめ

第4章 標準語と方言 塩田雄大
1 「言語」「標準語」「共通語」「方言」
2 ガ行鼻音
3 「ら抜きことば」
4 言語運用の地域差
5 方言の変容・位置づけの変化:ネオ方言と新方言
6 ヴァーチャル方言・方言コスプレ
7 まとめ 方言の社会的地位の変化

第5章 ことばの性差 山下早代子
1 ことばと性
2 実際のことばの中に見る性差
3 性差のあることばの背景にあるもの
4 データで見ることばの性差
5 まとめ 性差のあることばのこれから

第6章 集団語 井上史雄・田邊和子
1 集団語の基本性格
2 集団語の位置付け
3 年齢集団の違い:年齢言語学
4 集団語の理論的展開
5 新しい「集団語」の時代
6 まとめ

第7章 敬語と社会 井上史雄
1 本章の位置付け
2 言語相対性と敬語(第2章)
3 諸言語の敬語(第3章)
4 方言敬語と日本語史(第4章)
5 敬語の性差(第5章)
6 集団差と敬語(第6章)
7 敬語の歴史的発展(第7章1)
8 敬語の作り方(第7章2)
9 敬語の3分類と5分類(第7章3)
10 敬語の変化と場面差(第7章4)
11 敬語の誤用・受容・教養(第7章5)
12 敬語変化の傾向(第7章6)
13 敬語と文字(第8章)
14 談話の敬語(第9章)
15 談話と変異(第10章)

第8章 日本語の文字:変異・政策・景観 笹原宏之
1 文字と社会
2 日本語の文字の要素と用法の多様性
3 日本語の文字を使用する場面による多様性
4 社会集団による多様性
5 まとめ

第9章 談話の規則性 小野寺典子
1 談話モデルと、談話の規則性を司る大・小ルール
2 談話の立体的構造
3 ポライトネス
4 グライスによる協調の原則・会話の公理
5 談話構造に見られる規則性
6 まとめ

第10章 談話と言語のバリエーション:その規則性と創造性 泉子・K・メイナード
1 談話と言語
2 談話の分析と規則性
3 言語のバリエーションと創造性
4 間テクスト性・間ジャンル性
5 まとめ 談話とバリエーションの社会言語学

索引
著者紹介
井上史雄(いのうえ・ふみお)
東京外国語大学・明海大学名誉教授

田邊和子(たなべ・かずこ)
日本女子大学文学部教授

堀江 薫(ほりえ・かおる)
名古屋大学文学部・大学院人文学研究科教授

渋谷勝己(しぶや・かつみ)
大阪大学大学院人文学研究科教授

塩田雄大(しおだ・たけひろ)
NHK放送文化研究所主任研究員

山下早代子(やました・さよこ)
東京医科歯科大学・明海大学・実践女子大学元教授

笹原宏之(ささはら・ひろゆき)
早稲田大学社会科学総合学術院教授

小野寺典子(おのでら・のりこ)
青山学院大学文学部教授

泉子・K・メイナード(せんこ・K・めいなーど)
ニュージャージー州立ラトガース大学栄誉教授