新刊
かいのきツリーバンクを利用したコーパス日本語学入門
吉本啓/アラステア・バトラー[著]
- 定価
- 3,850円(3,500円+税)
- ISBN
- 978-4-8011-1008-3 C3081
- 発売日
- 2025/3/25
- 判型
- A5
- ページ数
- 240頁
- ジャンル
- 日本語学 ― 日本語学入門
【第1章1.1より】
この本は、高度な文法解析情報付き日本語コーパスである「かいのきツリーバンク」を日本語の研究や教育・学習に利用することを希望する人々のために、そのアノテーション(構文解析情報)および例文検索用のオンライン・ツールの解説書として書かれた。かいのきツリーバンクのアノテーションは日本語の構文すべてをカバーするので・・・(全文を読む)詳細であり、また検索パターンも初めて目にする人には手ごわく感じられるかもしれない。しかし、本書では、文解析の原理から説き起こし、アノテーションについても検索ツールについても、実例を交えてできるだけ平易な説明を心掛けた。
関連情報
- 目次
- 第1章 イントロダクション1
1.1 ツリーバンクの意義
1.2 ツリーバンクの特徴
1.3 日本語ツリーバンク・グループ
1.4 この本の構成
第2章 アノテーションの概要
2.1 統語情報の表記
2.2 セグメンテーション
2.3 品詞
2.4 句構造のスキーマ
2.5 節の構造
2.6 主要文法役割
2.7 任意文法役割
2.8 インデクスを使用しない空要素
2.9 インデクスを使用する空要素
2.10 照応関係
第3章 単純な構文
3.1 助詞
3.1.1 はじめに
3.1.2 格助詞(P-ROLE)
3.1.3 接続助詞(P-CONN)
3.1.4 補文助詞(P-COMP)
3.1.5 終助詞(P-FINAL)
3.1.6 間投助詞(P-INTJ)
3.1.7 とりたて助詞(P-OPTR)
3.2 句
3.2.1 名詞句(NP)
3.2.2 量化名詞句
3.2.3 副詞句(ADVP)
3.2.4 副詞節以外の構成素の並列構造
3.3 述語
3.3.1 はじめに
3.3.2 動詞(VB)
3.3.3 軽動詞(VB0)
3.3.4 イ形容詞(ADJI)
3.3.5 ナ形容詞(ADJN)
3.3.6 句や節が述語となる場合(-PRD)
3.3.7 コピュラ(AX)
3.3.8 テンス標識(AXD)
3.3.9 否定辞(NEG)
3.3.10 助動詞(AX)
3.3.11 モーダル要素(MD,ADJI-MD,ADJN-MD)
3.3.12 形式名詞(FN)
3.3.13 補助動詞(VB2)
3.3.14 受動補助動詞(PASS,PASS2)
3.4 曖昧な語形(1)「に」「と」「の」「で」
3.4.1 に
3.4.2 と
3.4.3 の
3.4.4 で
第4章 複雑な構文
4.1 節
4.1.1 はじめに
4.1.2 主節(IP-MAT)と準主節(IP-SUB)
4.1.3 関係節(IP-REL)
4.1.4 空所なし名詞修飾節(IP-EMB)
4.1.5 名詞化節(IP-NMZ)
4.1.6 小節(IP-SMC)
4.1.7 副詞節(IP-ADV)
4.1.8 終助詞節(CP-FINAL)
4.1.9 命令節(CP-IMP)
4.1.10 感嘆節(CP-EXL)
4.1.11 疑問節(CP-QUE)
4.1.12 補部節(CP-THT)
4.1.13 コントロール
4.1.14 等位節とATB 抽出
4.2 様々な構文
4.2.1 はじめに
4.2.2 二重主語文
4.2.3 受動文
4.2.4 使役文
4.2.5 テアル構文
4.2.6 テアゲル/テクレル構文
4.2.7 目的語繰り上げ構文
4.2.8 主語繰り上げ構文
4.2.9 N-bar 削除
4.2.10 右方節点繰り上げ
4.2.11 動詞なしの付帯状況構文
4.2.12 移動の目的を表す節
4.2.13 カッコ挿入句(PRN)
4.2.14 主要部内在型関係節
4.2.15 代名詞残留型関係節
4.3 話し言葉特有の表現
4.3.1 はじめに
4.3.2 間投詞(INTJ)および間投詞句(INTJP)
4.3.3 言い誤り(FS)
4.3.4 縮約
4.4 曖昧な語形(2)「れる/られる」
4.4.1 直接受動
4.4.2 間接受動
4.4.3 自発
4.4.4 可能
4.4.5 尊敬
4.5 曖昧な語形(3)「よう」
4.5.1 様態
4.5.2 直喩
第5章 検索の方法
5.1 文字列検索
5.2 ツリー検索
5.2.1 ツリー検索画面
5.2.2 検索対象ファイルの指定
5.2.3 検索結果の表示
5.2.4 検索結果のダウンロード
5.3 検索パターン
5.3.1 ノードの表現
5.3.2 正規表現の記述
5.3.3 ノード間の関係
第6章 検索の実例
6.1 語順
6.2 主語と主題
6.3 「(人)に会う」と「(人)と会う」
6.4 受動文
6.5 テアル構文
6.6 疑問文
6.7 名詞句
6.8 名詞節
6.9 関係節
6.10 副詞節
付録 逸脱的な「のが」文の成立要因三好伸芳201
1.1 はじめに
1.2 先行研究
1.3 調査方法
1.4 調査結果と分析
1.5 おわりに
- 著者紹介
- 吉本 啓 (よしもと けい)
和歌山県生まれ。東京大学大学院人文科学研究科修士課程修了(言語学専攻)。シュトゥットガルト大学人文学部 Ph D。NTT 基礎研究所、ATR 自動翻訳電話研究所、東北大学高度教養教育・学生支援機構・同大学大学院国際文化研究科教授などを経て、現在、東北大学名誉教授。主著に『現代意味論入門』(共著、くろしお出版 2016)。
アラステア・バトラー (Alastair Butler)
英国生まれ。ヨーク大学大学院言語学研究科修士課程修了(言語学専攻)。 ヨーク大学言語学科 Ph D。アムステルダム大学、シンガポール国立大学、国立国語研究所研究員などを経て、現在、弘前大学人文社会科学部准教授。主著に Linguistic Expressions and Semantic Processing: A Practical Approach (Springer 2015)など。
[寄稿]
三好伸芳(みよし のぶよし)
神奈川県生まれ。武蔵野大学文学部日本文学文化学科専任講師。主著に『述語と名詞句の相互関係から見た日本語連体修飾構造』(ひつじ書房 2021)。
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