三者面接調査におけるコミュニケーション

三者面接調査におけるコミュニケーション

相互行為と参加の枠組み

熊谷智子/木谷直之[著]

定価
2,750円(2,500円+税)
ISBN
978-4-87424-469-2 C3081
発売日
2010/3/10
判型
A5
ページ数
176頁
ジャンル
言語学・英語学 ― 社会言語学専門
オンライン書店
amazon.co.jp 楽天ブックス
リアル書店在庫
紀伊國屋書店 丸善・ジュンク堂書店・文教堂

三者面接調査(調査者1名・回答者2名)の談話をデータとしたコミュニケーション行動研究。一対一の調査では見られない、回答者間に起こる各種の相互行為から、調査者も含めた三者間の相互行為へと視点を広げ、その談話行動を分析。

関連情報

目次
■第1章 分析対象としての三者面接調査談話
 1.はじめに
 2.三者面接調査という活動
 3.制度的談話としての面接調査と参加の枠組み
 4.三者間における面接調査
 5.分析における着眼点
 6.本書の構成と概要
 
■第2章 分析データについて
 1.分析データの概要
 2.話題と質問項目
 3.調査者と回答者
 4.データ収集の時期
 【質問案一覧】
 
■第3章 回答者間の相互行為(1)
 1.面接調査における回答者同士の相互行為
 2.回答者間の相互行為のバリエーション
  2.1 もう一人の回答者の回答発話への反応
  2.2 もう一人の回答者の回答に対するコメントとそれへの応答
  2.3 回答内容に関する質問とそれに対する答え
  2.4 同意要求・情報確認とそれに対する応答
  2.5 回答をふまえた回答
  2.6 掛け合いによる共同構築的な回答
  2.7 メタ的発話
 3.回答における参与のパターン
  3.1 パターンⅠ 調査者と各回答者間での相互行為
  3.2 パターンⅡ 「脇の聞き手」としての反応
  3.3 パターンⅢ 回答中の回答者ともう一人の回答者の直接的な相互行為
  3.4 パターンⅣ 回答者が同じ立場にいる状態での相互行為
 4.回答者間の関わり合いの変化―探索的考察―
 
■第4章 回答者間の相互行為(2)
 1.回答者間の相互行為が実現していること
 2.回答行動としての位置づけ
 3.回答者間相互行為に見られる回答行動のサブタイプ
  3.1 一人の回答者の発話をきっかけにもう一人の回答が引き出される
  3.2 もう一人の回答への相づちや反応が間接的な回答になり得る
  3.3 共同構築的な発話によって双方から回答が積み上げられていく
  3.4 合いの手を含む「おしゃべり」的なやりとりの中で回答がなされる
 4.回答者間相互行為に見られる談話行動のサブタイプ
  4.1 質問-回答のやりとりにおける談話行動のサブタイプ
   4.1.1 話題を操作する
   4.1.2 調査質問にコメントする
   4.1.3 聞き手側として調査者と連携する
   4.1.4 もう一人の回答について解説する
  4.2 調査への参加行動の調整における談話行動のサブタイプ
   4.2.1 脱線の軌道修正をする
   4.2.2 発言の順番を相談する
 5.初対面コミュニケーションにおける適応と関係構築
  5.1 相手への関心の表明
  5.2 協調,共感・連帯感の構築
  5.3 差異への注目
 
 6.考察:回答者間相互行為がもたらす行動の多様化
 
■第5章 参加者による語りの重ね合い
 1.人の語りに重ねていくこと
 2.掛け合いから同期へ
 3.経験談による回答の連鎖
 4.「役割」を一歩出て語ること
 5.共通経験を語ることと質問に回答すること
 6.面接調査において語りを重ねること―そのさまざまな形
 
■第6章 調査者に直接返されない<回答>
 1.はじめに
 2.面接調査談話における発話連鎖パターン
 3.<回答>における回答者間のやりとりと連鎖交渉
 4.参加者たちの談話行動
  4.1 回答者Hの直接的<回答>を避ける行動
  4.2 回答者Gの調整的行動
  4.3 調査者Iによる<回答>としての位置づけ
  4.4 回答者Hの「回答者的」行動
   4.4.1 主導役としての調査者に対する認識の表明
   4.4.2 <質問>に対する積極的な反応
   4.4.3 <受領>に続く位置の発話
 5.考察:直接返されない<回答>をめぐる相互行為
 
■第7章 考察:相互行為における枠組みと指向性
 1.さまざまな相互行為の基底にあるもの
 2.回答者間の相互行為はなぜ起こるのか
 3.共感表出と「共-成員性」の表示に関わる指向性
 4.直接の<回答>の回避をめぐる相互行為と参加の枠組み
 5.制度的談話におけるリソースとしての参加の枠組み
 
 あとがき
 参考文献
著者紹介
熊谷 智子(くまがい・ともこ)

東京都生まれ。東京外国語大学大学院修士課程(日本語学)修了。元国立国語研究所研究開発部門言語生活グループ主任研究員。研究分野は,談話分析・言語行動研究。主な著書に『対人行動の日韓対照研究:言語行動の基底にあるもの』(共著,尾崎喜光編,ひつじ書房,2008年),『国立国語研究所報告123 言語行動における「配慮」の諸相』(共著,くろしお出版,2006年),『Hidden and Open Conflict in Japanese Conversational Interaction』(共著,Polly Szatrowski編,くろしお出版,2004年)。



木谷 直之(きたに・なおゆき)

岐阜県生まれ。京都大学大学院文学研究科修士課程修了,ロンドン大学Birkbeck College M.A.(応用言語学)修了。国際交流基金日本語国際センター専任講師,国際交流基金ロンドン日本語センター主任講師を経て,2007年より国際交流基金ジャカルタ日本文化センター主任講師。研究分野は,日本語教育,教師教育。主な著書に『国際交流基金日本語教授法シリーズ7 読むことを教える』(共著,ひつじ書房,2006年)。