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実例が語る前置詞

平沢慎也[著]

定価
2,750円(2,500円+税)
ISBN
978-4-87424-887-4 C1082
発売日
2021/12/29
判型
A5
ページ数
356頁
ジャンル
英語教育・英語学習 ― 英語学習
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amazon.co.jp 楽天ブックス
リアル書店在庫
紀伊國屋書店 丸善・ジュンク堂書店・文教堂

気鋭の認知言語学者が贈る、英語学習者のためのまったく新しい前置詞解説本。
「使いこなす」ために必要な学習姿勢をはじめ、各前置詞の解説、および横断的な着眼点も示す。

◼︎本書の紹介
なんとなく意味はわかる… なんとなく訳せる…
でも、話したり書いたりすることはできない…
インプットの際にわかった気になれることと、自分でアウト・・・(全文を読む)プットできることの間には、実は大きな壁があります。

本書は、この「壁」を乗り越えることを目指す方へ贈る、英語前置詞にまつわる類のない17章です。
映画・ドラマ・小説・学術文書からレシピやミュージシャンのライブMCまで、400を超える多彩な例が前置詞の世界へと誘います。
「本質」だけの追求や従来のイメージ重視の学習法では辿り着けない、「使いこなす」への長い長い階段を一緒にのぼってみませんか。

対象読者
●中~上級レベルの英語学習者
●文章をじっくり読む習慣のある方

内容例
●out thereは一体どこを指し、何を表しているのか?(→第1章)
●日英差を理解して「経路」情報は前置詞に込めよう(→第4章)
●使えると便利! 「すぐ行くよ」を「will be right +1語」で(→第5章)
●by doing ... の実例と哲学から探る(→第9章)
●Let’s all look for it {in / as} a group はみんなで探す? バラバラで探す?(→第11章)
●What chapter are you on? は自然なのに What book are you on? は言いにくい? 言える場面とは?(→第13章)
●travel through Naganoはあちこちまわる? まっすぐ移動?(→第15章)
●What have you done with XとWhat have you done to Xの違いとは?(→第17章)

関連情報
【書評・紹介】
本書についての著者へのインタビュー記事が「週間英和新聞Asahi Weekly」(2022年6/12号)に掲載されました。書籍内容のみならず、著者の英語学習エピソードも。「具体性を重視して「使える英語」に導く」
https://www.fujisan.co.jp/product/1281683380/new/

野中大輔氏(工学院大学)のnoteに書評が掲載されました。
(「その1」より)「前置詞というのはあくまで「取っ掛かり」であって、この本は「前置詞の本」というより「英語の本」だと言ったほうがいいのではないかと感じるぐらいです。」
https://note.com/dnonaka/n/nb8eedfa49c0c

(「その2」より)「とにかく実例を楽しむ。結果的に言い回しのレパートリーが増える。『実例が語る前置詞』は、そうやって英語を学んできた著者の軌跡を追体験できるような本だと言えます。」
https://note.com/dnonaka/n/n931f8b2fbe96

堂本秋次氏(翻訳家)の「翻訳家の舞台裏」you tube動画にて紹介されました。
「【翻訳家絶賛】前置詞を使いこなすための思考を学ぶ本、紹介します」
https://www.youtube.com/watch?v=bYqqoYog7uE
目次
はじめに
 1. 本書の内容
 2. 対象読者
 3. 本書の例文
 4. 本書の「つまみ食い」的な性質について
 5. 構成と読み方

本書が推奨する学習姿勢
 1. 学習姿勢の全体像
 2. 抽象知識と具体知識の両方の重視
 3. アウトプットにおける具体知識優先の原則―「本質」主義からの脱却―
 4. 熟語を覚えようと言っているのではない
 5. まとめ

Part I
第1章 位置の2段階指定
 1. 位置の2段階指定とは
 2. 日本語ではどうか
 3. 学習者がつまずきがちなbackパターン
 4. out thereの熟語性
 5. まとめ

第2章 hit him on the head型の表現
 1. 部位構文とは
 2. 書き換えはいつでも可能か? 失われる意味はないか?
 3. 位置の2段階指定の一種としての部位構文
 4. {in / on / by}のうちinのみがOKになる部位構文
 5. {in / on / by}のうちonのみがOKになる部位構文
 6. {in / on / by}のうちinもonもOKになる部位構文
 7. {in / on / by}のうちbyのみがOKになる部位構文
 8. 定冠詞theの謎を解く
 9. {in / on / by}以外の前置詞と部位構文
 10. まとめ

第3章 「たら」「とき」「あいだ」が潜む前置詞
 1. 「たら」「とき」「あいだ」が潜む副詞要素
 2. with
 3. on
 4. in
 5. まとめ

第4章 経路にまつわるあれこれ
 1. 経路を俯瞰してみよう
 2. 情報の割り振り方の日英差
 3. way構文
 4. 経路とその終点
 5. まとめ

第5章 will be P構文
 1. will be P構文とは
 2. will be P構文の周辺
 3. be動詞で変化を表すパターンは他にも
 4. まとめ

第6章 差分スロット
 1. 差分の大きさを語ろう
 2. 差分表現+along ...
 3. 差分表現+down ...
 4. 差分表現+through ...
 5. 差分表現+in(to) ...
 6. 差分表現+away from ...
 7. 差分表現+ahead(of ...)
 8. 差分表現+out(of ...)
 9. まとめ

コラム 関連付けの自由

Part II
第7章 as
 1. 前置詞のasは「…として」か
 2. なりきりのパターン―変装・仮装・モノマネ―
 3. 理由を表すパターン
 4. まとめ

第8章 away
 1. ハグ離れ?
 2. 外界から切り離される[動詞1語+away]構文
 3. [動詞1語+away]構文のよくあるパターン
 4. まとめ

第9章 by
 1. by doing ...の探求
 2. 日本語の「…することによって」
 3. by doing ...は硬くない
 4. A by doing BのBは意図的行為でなくてもOK
 5. A by doing BはAを狙っていなくてもOK
 6. A by doing BはAとBが同じ時間幅を占めていてもOK
 7. まとめ

第10章 for
 1. チャンスがあれば痛い目に遭わせてやる
 2. have it in for sbの仕組み
 3. 相対的未来における経験主体を導くfor
 4. 「相対的未来」はここにも
 5. まとめ

第11章 in
 1. in an {effort / attempt} to do ...
 2. 同一の行為の捉え直しのin
 3. 実は「形状のin」も…
 4. まとめ

第12章 of
 1. 摂取から数分以内に死ぬのか,摂取により数分以内に死ぬのか
 2. within X of Yの時間用法
 3. within X of Yの空間用法
 4. of ...に「…から」の意味があると指摘することにどれほどの意義があるのか
 5. まとめ

第13章 on
 1. What chapter are you on? の謎
 2. 実例が教えてくれる具体的な使用パターン
 3. タイミングの一致
 4. 機器のモード選択
 5. 選択肢の中から吟味して決める
 6. リストという線に乗って
 7. 線の代表選手「道」登場
 8. onと移動式イベント
 9. まとめ

コラム 未分類ファイルのすゝめ

第14章 through (1)
 1. smile through tears
 2. 発話への抵抗
 3. 聞き取りへの抵抗
 4. 接触への抵抗
 5. throughを含んだ(比喩的)移動表現
 6. まとめ

第15章 through (2)
 1. 通り抜けないthrough
 2. 中を進んでいく,ただそれだけ。
 3. 辞書記述の見直し
 4. 「あちこち」への調整が働かない実例―inとの対比―
 5. 「あちこち」への調整が働く実例
 6. まとめ

第16章 to
 1. there is X to Y構文
 2. Xが「側面」「構成要素」
 3. Xが「規則(性)」
 4. Xが「限度,限界」
 5. Xが「真実性」
 6. Xが「やるべき特別なこと」
 7. Xがmore
 8. 他の用法との関係
 9. まとめ

第17章 with
 1. do X with Y型表現
 2. 「…と一緒にいるときにその~に対して」
 3. 「Yを{状態変化/位置変化}させるような行為としてXをする」
 4. do X with Yとdo X to Yの比較
 5. まとめ

コラム 語を知っていることと人を知っていること

本書で引用した文献
あとがき
謝辞
著者紹介
平沢 慎也(ひらさわ しんや)
1986年生まれ。2016年東京大学にて博士(文学)の学位を取得。現在、慶應義塾大学専任講師、東京大学非常勤講師。専門は、英語学、認知言語学。
主要業績:“Why is the wdydwyd construction used in the way it is used?”(English Linguistics 33(2)、2017年)、『前置詞byの意味を知っているとは何を知っていることなのか』(くろしお出版、2019年)、“Native speakers are creative and conservative”(西村義樹氏との共著、English Linguistics 38(1)、2021年)、「実例から眺める「豊かな文法」の世界」(野中大輔氏との共著、月刊誌『英語教育』の通年連載、2021年~2022年)。
そのほか、https://researchmap.jp/shiraresearch/で論文を公開。