日英比較話しことばの文法

品切

日英比較話しことばの文法

水谷信子[著]

価格
3,200円+税
ISBN
978-4-87424-007-6 C3081
発売日
1985/9/30
判型
A5
ページ数
248頁
ジャンル
日本語教育 ― 日本語教師参考書
オンライン書店
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相手や場面に即して使われる「話しことば」を英語話者の豊富な誤用例を通して考える。主語の立てかた、時間の捉え方、受動態、否定、接続、待遇表現にわけて比較。「非用」と「誤用」などユニークな枠組みで分析。

関連情報

目次
はじめに



序章 日本語と英語の話しことばの文法の比較



比較の目的/話しことばの文法/日本語と英語の話しことば/比較の方法と資料/誤用と非用



第I章 文の構造と主語



第1節 主語の立てかた

1. 「文」と「主語」

「文」と「主語」の定義/「文」/「主語」

2. 自然な発話の中の主語

ダレカガワタシノ財布ヲトッタ/Someone took my wallet./My wallet's gone./My wallet was stolen./Someone stepped on my foot./Someone以外の主語

3. 文づくりの傾向と主語

SVOとSOV/財布ガトラレタ/名画が盗まれた/Passive of experience/事実と立場

第2節 事実志向と立場志向

1. 立場志向と“give”

型の切り替え/“give”にあたる単語/I'll give it to him./He gave it to me./Are you going to give it to her?/自己の立場と動作の方向/Will you teach me Japanese?/「くれる」の非用

2. 立場志向と方向性

主体に対する動作を示す「くる」/「~てくる」の非用/「~てくる」と音声/There was a telephone call./もうひとつの「~てくる」/聞き手の反応

第3節 主語の顕示と暗示

1. 暗示される主語

「わたし」の暗示/暗示と顕示

2. 感情の主体

感情形容詞の主語―「うれしい」=I'm happy./他者の感情/「うれしいのだ」

3. 欲求の主体

I want to go と「行きたい」―欲求の表現/Would you like~?

4. 意志・判断の主体

I think I will go.―意志の表現/アノ人ハイイト思イマス―判断の表現/「思う」と「思っている」/「思う」以外の心理動詞

5. その他の主語の暗示

つもり/はず,ほうがいい/よう,らしい,そう/待遇表現

6. 「主語」の再考

I think I will be late./思考主語と行為主語

第4節 実際の発話における文の形

1. 実際の発話の分析

数量的分析/英語の発話資料/日本語の発話資料

2. 英文の形

complete sentences, incomplete sentences/英文の長さ

3. 英文の型と主語

Sentence patterns/英文の主語/英文の文末

4. 日本語発話の文と主語

文の長さ/代名詞/日本語の文末

5. 話し合いの形

文と話し合い/英語の話し合いの例/英語例の特徴/日本語の話し合いの例/日本語例の特徴/あいづち/discourseの中の文

設問



第II章 時に関する比較



第1節 過去と完了

1. 「帰る時」と「帰った時」

ウチヘ帰ルトキ,着物ニ着カエマス/Tenseの一致/「うちへ帰る時」とwhen they return home

2. Tense と Aspect

「行った時」とTense/Tense と Aspect/伝達される内容のアスペクト/名詞修飾に使われる動詞のアスペクト

3. 「~た」の性格

「~た」の用法/「~た」の表わす「過去」と「完了」/Past と「~た」

第2節 Present perfect tense と「~た」

1. Present perfect tense

2. 継続を表わす現在完了

継続を表わす現在完了の誤用/動詞句の重ね使用

3. 経験を表わす現在完了

~たことがある/「……コトガアル」の乱用

4. 完了を表わす現在完了

マダ……マセンデシタ/「~てしまう」の乱用

第3節 Progressive form と「~ている」

1. Progressive form の性格

イマ洗濯ヲシテイルト思イマス/Progressive form の主な用法/進行中の動作・状態

2. 動作・状態の一時性と「~ている」

習慣的な動作と「~ている」/日本語における一時的動作の叙述

3. 「進行形」・「~ている」と動詞の性格

英語の進行形につく動詞/日本語の動詞と「~ている」/動詞の性格からくる誤用

第4節 Progressive form とImmediate future

1. 近接未来を表わす進行形

Immediate future/往来発着動詞の近接未来/その他の動詞

2. 日英の未来表現

英語の未来表現/日本語の未来表現

3. Progressive form と「~ている」の対応

設問



第III章 受動態に関する比較



第1節 受動態の用法

1. Passive voice と「受身」

定義/受動態に共通の性格

2. Passive voice の性格

P.v.の形態/P. v.の用法/P. v.の用法(a)/P.v.の用法(b)/P.v.の用法(c)/P.v.の用法(d)/P.v.の頻度

3. 日本語の受身の性格

2種の受身/非人称主語の受身/人称主語の受身/自動詞の受身

4. Activo-passive

Activo-passive/Activo-passiveと日本語の動詞

第2節 受動態の諸問題

1. 受動態と動詞の性格

紹介サレタイ/「受身+たい」になる動詞/‘ask' と「たのまれる」/call,teach,help など

2. Passive と Causative

Passive of experience の使用頻度/Causative との関係

3. Statal passive

Actional passive と Statal passive/Actional, Statal passive と日本語

4. 形容詞の態

Participial adjective/コマラセラレタ

5. 受動態の待遇性

設問



第IV章 否定に関する比較



第1節 部分否定の方式

1. not...all...と「全部は…ない」

I didn't understand all of it./not...all と not...at all/...not...all と Not all...

2. 否定方式の比較

二段否定方式/一語否定/一回否定方式からくる誤用/「…のではない」/特殊文末否定の機能

第2節 理由・目的の否定

1. 目的の否定

I didn't come to have a good time./Nexal negation/Nexal negation の影響

2. 理由の否定

……から……ない/「から」と「からといって」/Nexal negation と because

第3節 否定疑問に対する答え

1. 事実による答え

Yes, No の使いわけ/文の機能/事実志向と立場志向

2. discourse における Yes, No, はい, いいえ

Yes, No と導かれる clause/「はい」「いいえ」の独立性/文の形と「はい,いいえ」

設問



第V章 接続に関する比較



第1節 ‘instead of'と「かわりに」

1. ‘instead of'に対応する「かわりに」

‘instead of'/「かわりに」と‘instead of' の例/「選択」の「かわりに」

2. ‘instead of' と対応しない「かわりに」

選択の可能性/「対立」の‘instead of'/「平衡」の「かわりに」

第2節 「から」と‘because'

1. ‘because'と「から」の用法の違い

‘because'と対応しない「から」/「から」と‘because'の対訳例/自然な発話の中での‘because'の例/「から」と‘because'の違い/because の synonym/「……でいいから」と‘because'

2. 「から」と‘because' の接続の機能

接続詞の機能上の分類/Subordinate conjunction としてのbecause/「から」の接続の機能/接続のことばと discourse

設問



第VI章 待遇表現に関する比較



第1節 待遇表現の分類と比較

1. 待遇表現と敬語

「待遇表現」と「敬語」の語義/待遇表現の分類

2. 尊敬表現

尊敬表現の分類/他者の人格・所有に対する尊敬/他者の行動に対する尊敬/他者の状態に対する尊敬/尊敬の誤用

3. 謙譲

謙譲語法の分類/自己の人格・所有についての謙譲/自己の行動についての謙譲/自己の状態についての謙譲/謙譲表現についての誤用

4. 話体

話体による丁寧さの表現/対人関係と場面

第2節 遠慮表現と親愛表現

1. 遠慮と親愛

遠慮と親愛/遠慮・親愛表現の方法

2. 遠慮表現

直接表現回避(a)/直接表現回避(b)/断定回避(a)/断定回避(b)/遠慮表現の誤用(1)直接表現回避関係/遠慮表現の誤用(2)断定回避関係

3. 親愛表現

親愛表現の方法/呼称/人称,Paternal‘we'/動詞・助動詞などによる親愛表現(a)進行形/動詞・助動詞などによる親愛表現(b)補助動詞/親愛と共存/文末によるもの(a)tag question/文末によるもの(b)終助詞/その他の親愛表現―指示詞/親愛表現と音声

第3節 仮定法と例示表現

1. 仮定法と婉曲語法

仮定法の定義/仮定法と婉曲表現

2. 仮定法と日本語の対応

仮定法の文における条件の潜在/潜在条件の顕示

3. 仮定法と日本語の対応例(1)条件

would→条件/条件→would/条件の潜在と顕在

4. 仮定法と日本語の対応例(2)その他の婉曲表現

仮定法助動詞⇔例示表現/婉曲表現としての例示表現と文末/仮定法と婉曲表現/例示表現の性格と誤用/文末省略による間接表現/婉曲語法の日英対照/婉曲についての発想の日英対照

設問
著者紹介
水谷 信子(みずたに のぶこ)

1929年東京生まれ。(旧姓須藤) 東京女高師文科を経て,1952年旧制東大英文科卒。ミシガン大学大学院留学。1953年から英語国民に対する日本語教育に従事。お茶の水女子大学文教育学部教授を経て,現在,明海大学教授。著書「ファミリー米会話」「心をつかむ英会話」「英語の生態」ほか共著によるNihongo Notesなど英文出版物数種。1970~75年,文化放送ラジオ講座「百万人の英語」講師。