意味がよくわかるようになるための言語学サンプルページを見る

新刊

意味がよくわかるようになるための言語学

体系機能言語学への招待

照屋一博[編] クリスチャン・マティスン/照屋一博/ジョン・ベイトマン/奥泉香/ハイジ・バーンズ/M.A.K.ハリデー[著] 照屋一博/水澤祐美子/奥泉香[訳]

定価
4,950円(4,500円+税)
ISBN
978-4-87424-872-0 C3080
発売日
2022/6/13
判型
A5
ページ数
328頁
ジャンル
言語学・英語学 ― 言語学専門
オンライン書店
amazon.co.jp 楽天ブックス
リアル書店在庫
紀伊國屋書店 丸善・ジュンク堂書店・文教堂

最近の体系機能言語学的研究の発達と展開を射程におさめながら,これまでの翻訳書および英語を焦点とする論考がとらえなかった体系機能言語学とその応用性を書き下ろす。体系機能言語学の代表的研究者による豪華競演。

○まえがきより
 本書は,(中略),最近の体系機能言語学的研究の発達と展開を射程におさめながら,これまでの翻訳書および英語・・・(全文を読む)を焦点とする論考がとらえなかった体系機能言語学とその応用性を以下のように書きおろした。
 第1章は,クリスチャン・マティスンの論考の照屋一博による翻訳で,音声から日常のディスコースへと探究の領域を移動しながら体系機能言語理論を概観し,言語とかかわるための体系機能的なストラテジーを導入している。ストラテジーとして導入される音声ヨガやディスコース日記,ディスコース地理と意味の潜在性をとらえる理論が言語を探究するのに必要な「言語のセンス」を高め,後続する章の探究を支援している。
 第2章では,日本語の体系機能文法を意味分析のリソースとしてもちいて,日本語の意味・文法システムとそのシステムの具現化をテクスト環境に位置づけ記述している。それは,テクストの底辺にある意味をあらわにするのに体系機能的なテクスト分析が有用であり,言語の専門家でなくともテクストの意味づくりを知ることができるということの一例でもある。
 第3章は,オーストラリアにいたころから照屋がマティスンと開発をすすめているレジスター研究の概要を示したものである。英語教育,日本語教育,そして言語学教育に実践応用している枠組みでもある。意味のまとまりとしてのテクストに焦点をあて,異なるコンテクストで展開する社会意義活動を8つのフィールド(活動領域)に類型化し,あるフィールドで展開するテクスト群があるレジスター的な意味文法的素性をもちながら,テクストタイプとして具現していることを例示している。
 第4章は,ジョン・ベイトマンのマルチモダリティ理論と方法論に関する論考で,照屋と水澤祐美子が共訳した。そこでベイトマンは,意味づくりの様式である意義モードを理論・実証的に再考し,意義モードを物質と形式,そしてダイナミックなディスコース意味論が密接に相関したまとまりとして定義づけ,それが存在論的基盤となってはじめてマルチモーダルメディアとジャンルの緻密なマルチモーダル分析が可能となることを提示している。
 第5章の奥泉香の論考は,意味表現様式の異なるひとつ以上の様式,モードによって具現されたマルチモーダルテクストのなかから絵本を国語科養育の学習対象としてとりあげ,絵本のイメージと言語が相補的に,かつ独立してつくりだす意味を系統的に提示している。実際の国語科の授業のなかで示された中学生の意味づくりが,体系機能的なマルチモーダル研究とマルチモーダルリテラシーの必要性を示唆している。
 第6章は,ハイジ・バーンズの本書のための書きおろし論考の照屋一博・水澤祐美子・奥泉香の共訳で,第二言語発達を把握することに焦点をおきながら,公共一般や特殊な場面での言語使用に不自由を感じない第二言語の使用者を育成するために,指導による言語発達をどのように想定するべきなのかという疑問を言語の専門家に投げかけ,それと同時に,体系機能理論をベースにした方法論だけでなく,教育実践につなげていく枠組みを提示している。
 最後の章は,公開講座のためにハリデー先生が準備なされた未出版の原稿を照屋が翻訳したもので,先生のご生前に,本書の出版についてご相談した際,先生が本書のためにくださったご論考であり,口頭発表のために準備された原稿であるため,翻訳もその形式にしたがった。ハリデーは,言語の性質と機能についての意識を獲得することは,教育をうけた一般大衆でも可能であり,言語がもつ意味づくりの機能を理解することが21世紀への挑戦につながっていくことを,体系機能言語学的な観点から多言語を複雑な環境社会体系のなかに位置づけている。それまでの6章で展開した言語の意味づくりのしくみに体系機能的にふみこんだ言語学的な考察を,日常生活における言語と言語の一般大衆の理解と今後の展望へおしひろげてくれる。

関連情報

目次
第1章 言語理論
クリスチャン・マティスン/翻訳 照屋一博
1. はじめに―言語から言語理論へ
2. 言語への着眼
3. 音声の体系的な探求
4. ディスコース日記
5. ディスコースの地理
6. アーカイブとコーパス
7. むすび

第2章 意味づくりのリソース
照屋一博
1. はじめに
2. 行動としての日本語
3. 経験の表象と論理としての言語
4. テクストに意味をまとめあげる言語機能―テーマと修辞関係
5. 意味づくりのリソースとわれわれ

第3章 社会意義活動と意味の具現化
照屋一博,クリスチャン・マティスン
1. はじめに
2. テクストと状況のコンテクスト
3. テクスト類型とレジスター
4. テクスト類型とトポロジー
5. おわりに

第4章 マルチモダリティの方法論と理論的課題
ジョン・ベイトマン/翻訳 照屋一博 水澤祐美子
1. はじめに 方法の必要性
2. 意義モードの定義
3. 意義モードと「テクスト力学」
4. テクストとイメージのまとまりのマルチモーダル記述
5. 結論

第5章 体系機能理論を援用したマルチモーダルテクストの意味づくり
奥泉香
1. 目的と背景
2. 絵本の読みの研究に必要なマルチモーダルテクストの検討方法
3. 例示する絵本と分析の基本単位
4. 見開きにおける絵の部分の意味づくり
5. 見開きにおける絵とことばとの関係による意味づくり
6. 体系マルチ分析が国語科教育にもたらす意味づくりと学習可能性
7. おわりに

第6章 意味づくりを拡張する外国語・第二言語発達
ハイジ・バーンズ/翻訳 照屋一博 水澤祐美子 奥泉香
1. はじめに
2. 言語研究における第二言語発達の現状
3. 意味づくりの能力を伸展させる第二言語発達
4. 時の経過のなかでの言語発達の受容
5. 発達−習得−学習:領域の明確化
6. 「習得」を拒否する―何を拒否するのか? 最初の一歩
7. 社会文化理論における学習と発達の解釈
8. 三つの理論的アプローチにおける発達についての見解
9. SFLに向けての歩み
10 発達の方向性とSFLにおける中心的な仮定と理論的構築物
11. 意義作用の二つの言語形式:文字どおりの形と比喩的な形
12. SFLをさらに一歩進める ― カリキュラム構想の課題
13. SFLに触発されたカリキュラム的枠組みのベネフィットの詳述
14. おわりに

第7章 日常の言語学
M. A. K. ハリデー/翻訳 照屋一博
1. われわれと言語
2. 言語学者と言語の記述
3. 言語は恣意的ではない
4. 言語とはなにか
5. 読むことができれば文字
6. リソースとしての言語
7. 言語を認知するために
著者紹介
照屋一博(てるや かずひろ)
言語学博士。ニューサウス・ウェールズ大学 (シドニー),理化学研究所 脳科学総合研究センター 言語知能研究チーム 非常勤研究員,香港理工大学副教授Associate Professorを経て,現在,在野の言語学・日本語学研究者。専門は,体系機能言語理論・言語記述,語彙文法論,言語類型論,ディスコース分析,言語教育。オーストラリア,中国,日本,北米,南米,ヨーロッパ,中東など,世界各地で教授,講演をおこなう。編著多数。A systemic functional grammar of Japanese, Two volumes(2007, Continuum),「日本語のテクストにおける関係構造―単純な構造から複雑さへ導く日本語学習」(2019, 日本学刊), The Routledge guide to systemic functional linguistics (マティスンと共著, 近刊, Routledge)など。

Christian M.I.M. Matthiessen (クリスチャン・マティスン)
言語学博士。湖南大学,北京師範大学,およびオーストラリア国立大学特別栄誉教授
John A. Bateman (ジョン・ベイトマン)
人工知能学博士。ブレーメン大学応用言語学教授
水澤祐美子(みずさわ ゆみこ)
言語学博士。成城大学文芸学部英文学科准教授
奥泉香(おくいずみ かおり)
教育学博士。日本体育大学児童スポーツ教育学部教授
Heidi Byrnes(ハイジ・バーンズ)
言語学博士。ジョージタウン大学名誉教授
Michael A. K. Halliday (マイケル・ハリデー)
言語学博士。シドニー大学言語学科設立名誉教授