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新刊

第二言語研究の思考法

認知システムの研究には何が必要か

福田純也/矢野雅貴/田村祐[編著] 木村崇是/峰見一輝[著]

定価
2,640円(2,400円+税)
ISBN
978-4-87424-961-1 C3081
発売日
2023/11/10
判型
A5
ページ数
180頁
ジャンル
言語習得 ― 言語習得入門
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第二言語(L2)の理解・産出を司る言語システム、およびその習得・処理のメカニズムの解明を目的とした研究に焦点をあて、根本的な問題とその解決法を示したうえ、なぜそれらの研究が必要なのかについて述べていく。新進気鋭の著者らによる熱き提言。

関連情報

目次
第1章 第二言語研究は何を目指すのか(福田純也・矢野雅貴・田村祐)
1. はじめに
2. 教育実践志向と認知的メカニズム解明志向
3. なぜ認知メカニズムの研究が必要なのか
4. 認知科学としての第二言語研究をどう進めていくか

第2章 第二言語研究の抱える根本的問題(田村祐・福田純也) 
1. はじめに 
2. 第二言語研究における「認知メカニズム」の扱い 
3. 代表的な研究例 
 3.1 言語知識 
 3.2 言語産出 
4. これまでのL2研究方略とその問題点 
 4.1 アリストテレス的研究方略とガリレオ的研究方略 
 4.2 傾性概念と理論的概念 
 4.3 概念と観察可能な反応の乖離 
 4.4 概念の無限生成と終わらない「効果」の記述 
5. おわりに 

第3章 第二言語研究の抱える問題点の解決法(福田純也・矢野雅貴) 
1. はじめに 
2. 認知システムの認識論的考察 
 2.1 Bhaskarの超越論的実在論と複雑系の科学 
 2.2 アブダクション 
3. 探究の論理学に基づくL2研究の振り返りとさらなる注意点 
4. 認知科学的L2研究における言語理論の役割 
5. おわりに 

第4章 生成文法に基づく第二言語文法研究(木村崇是) 
1. はじめに 
2. 生成文法の基本的な考え方 
 2.1 生成文法とUG 
 2.2 文法の構造と文の派生 
3. 生成アプローチの説明範囲と目標 
4. 生成文法に基づく第二言語メカニズム研究 
 4.1 UGによる制約 
 4.2 詳細な文法知識の記述と予測 
 4.3 中間言語とGenSLA 
 4.4 GenSLAにおける諸仮説と反証可能性問題 
5. まとめと今後の展望 

第5章 生成文法に基づく言語処理メカニズム研究(峰見一輝・矢野雅貴) 
1. はじめに 
2. 言語処理研究の説明対象と目標 
 2.1 言語処理(language processing)とは? 
 2.2 Marrの3つのレベル 
 2.3 言語学における3つのレベル 
3. 生成文法に基づく言語処理研究 
 3.1 1960年代:派生による複雑度の理論 
 3.2 1970年代:知覚の方略 
 3.3 1980年代:透明性の仮説 
 3.4 2000年代:「十分よい」文解析 
 3.5 2010年代:手がかりに基づく想起モデル 
 3.6 3節のまとめ 
4. 第一・第二言語における言語処理研究 
 4.1 前提となる文解析器の処理メカニズム 
 4.2 前提となる文法規則 
 4.3 第一言語の文解析における「島の制約」 
 4.4 第二言語の文解析における「島の制約」 
 4.5 まとめと今後の展望 

終章 認知システムの解明に向けて(福田純也・矢野雅貴・田村祐)
著者紹介
木村 崇是(きむら たかゆき)
宇都宮大学助教。2021年、Boston University Conference on Language DevelopmentにてPaula Menyuk Award受賞。専門は第二言語習得、統語論。

田村 祐(たむら ゆう)
関西大学准教授。

福田 純也(ふくた じゅんや)
中央大学准教授。2015年、外国語教育メディア学会新人奨励賞受賞。専門は応用言語学、とりわけ言語知識の無意識的学習や、言語と認識のインターフェイスについて。

峰見 一輝(みねみ いつき)
立命館大学講師。専門は心理言語学。2016年・2020年日本言語学会大会発表賞、2018年一高記念賞を受賞。

矢野 雅貴(やの まさたか)
東京都立大学准教授。専門は心理言語学、言語認知神経科学。眼球運動や脳波の計測を通して言語知識と言語理解・産出の関係性を研究している。2016年日本言語学会論文賞、2017年同学会発表賞を受賞。