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第二言語習得の普遍性と個別性

学習メカニズム・個人差から教授法へ

小柳かおる/向山陽子[著]

定価
4,070円(3,700円+税)
ISBN
978-4-87424-762-4 C3081
発売日
2018/4/12
判型
A5
ページ数
296頁
ジャンル
言語習得 ― 言語習得専門
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本書は,第二言語習得(Second Language Acquisition, 以下SLA)の概論程度の知識がすでにある方を対象に,拙著(小柳かおる・峯布由紀『認知的アプローチから見た第二言語習得:日本語の文法習得と教室指導の効果』)の続編を意図して執筆したものである。前著では,主として,教室指導のSLAに対するインパクトや,・・・(全文を読む)その背後にある学習者の普遍的な認知のメカニズムに関する先行研究を概観した。本書では,そこで扱うことができなかった学習者の個人差の問題を中心に扱っている。認知的なメカニズムは明らかにされつつあるが,そこには学習者の年齢,知性,言語適性,動機づけ,言語不安,性格などさまざまな個人差が絡み合っている。日本語学習者は高校や大学など臨界期/敏感期を過ぎた年齢で学習を始めることが多いが,そのような大人のSLAで特に重要とされるのが言語適性と動機づけである。これらの個人差要因を中心に先行研究の理論や研究成果を検討している。(まえがきから)

関連情報

目次
第1章 第二言語習得(SLA)の普遍性
1. 言語発達を支える認知的基盤 
2. 再検討:明示的学習 vs. 暗示的学習 

第2章 個人差要因:言語適性
1. SLAの個別性 
2. 言語適性研究の始まり
3. 言語適性の再概念化への動き 
4. 言語処理から見た言語適性 
5. 言語適性研究のさらなる広がり

第3章 言語適性と教室指導
1. 言語適性と教室指導の相互作用
2. 言語適性と第二言語習得過程の相互作用
3. まとめ

第4章 個人差要因:動機づけ
1. L2学習における動機づけ 
2. 社会心理学的アプローチ 
3. 教育心理学的アプローチ 
4. プロセス志向のアプローチ 
5. 自己調整システムとしての動機づけ 
6. 動機づけと言語適性,L2熟達度 
7. 情意と認知の接点 

第5章 SLA研究とタスク・ベースの教授法(TBLT)
1. SLA研究と外国語教授法 
2. 教授法に関わるSLA研究の歴史的背景 
3. SLAにおけるタスク研究の理論的枠組み 
4. TBLTに関わるSLAのさらなる研究課題 
5. 今後の課題 
著者紹介
小柳かおる(こやなぎ かおる)
福岡県出身。ジョージタウン大学にて博士号(言語学)取得。(社)国際日本語普及協会(AJALT),アメリカ国際経営大学院,ジョージタウン大学等の日本語講師,上智大学助教授などを経て,現在,上智大学言語教育センター/大学院言語科学研究科教授。著書に,『日本語教師のための新しい言語習得概論』(単著,スリーエーネットワーク,2004),『認知的アプローチから見た第二言語習得』(峯布由紀氏との共著,くろしお出版,2016),など。

向山陽子(むこうやま ようこ)
東京都出身。お茶の水女子大学大学院人間文化研究科にて博士号(人文科学)取得。上智大学講師,お茶の水女子大学講師などを経て,現在,武蔵野大学グローバル学部教授。著書に,『第二言語における言語適性の役割』(単著,ココ出版,2013),『ロールプレイで学ぶビジネス日本語』(村野節子・山辺真理子氏との共著,スリーエーネットワーク,2012),『日本語教育に役立つ心理学入門』(小林明子・福田倫子・鈴木伸子氏との共著,くろしお出版,2018)など。