認知的アプローチから見た第二言語習得

認知的アプローチから見た第二言語習得

日本語の文法習得と教室指導の効果

小柳かおる/峯布由紀[著]

定価
4,070円(3,700円+税)
ISBN
978-4-87424-683-2 C3081
発売日
2016/1/12
判型
A5
ページ数
306頁
ジャンル
言語習得 ― 言語習得専門
オンライン書店
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第二言語習得研究は,さまざまな理論が展開され,扱う分野も広範である。第二言語習得の研究者と言えども,もはや全ての研究に精通していることは不可能なほど,扱われる研究課題は多岐にわたっている。また,それぞれの分野で研究方法も理論も洗練され,独自性を強めている。そんな中で,本書は,認知的アプローチによる教室における第二言語習得(Cl・・・(全文を読む)assroom/Instructed Second Language Acquisition)の研究の成果に焦点を当てたものである。この分野の研究では,教室指導の効果を探る研究が盛んである。ただし,大雑把なマクロレベルで教授法同士を比較してもあまり違いが見られないため,もっとミクロレベルの教育的介入の効果を探っている。そして,なぜ,あるタイプの教室指導が有効なのかを説明するには,その背景に学習者の頭の中で何が起きているか,つまり認知的なメカニズムを考える必要がある。教育的介入が,そのメカニズムに合致しているのか,あるいは,そのメカニズムを効率よく活性化するものなのかを理論的に考察するのである。(まえがきより)

関連情報
【誤植・修正】
●第1刷→第2刷(2023年9月発行にて修正)

・90ページ脚注7
(誤)自他両方の動詞を「両方動詞」と呼ぶ
(正)自他両用の動詞を「両用動詞」と呼ぶ

(誤)文法的ヴォイス、語彙的ヴォイス
(正)文法的「態」(ヴォイス)、語彙的「態」(ヴォイス)

・114ページ表3-6文献
(誤)西・白石 2001
(正)西・白井 2001

・137ページ脚注40
(誤)比較級の目的語のこと。例.the man in John is taller than the man.
(正)例えば, ‘John is taller than the man.’の‘the man’がそれに当たる。

・p.142 13行目
(誤)必要とは限らない
(正)必要なものとは限らない
目次
目次
第1章 SLA研究における理論構築の流れ
1. 脳科学と教育
2. 認知的アプローチのSLAと日本語習得研究 
3. 本書の構成 

第2章 SLAの認知過程
1. SLAに関わる心理的特性 
2. 言語処理
3. 言語スキルの自動化 
4. 明示的学習vs. 暗示的学習  

第3章 日本語に関する第二言語習得研究
1. 文法発達と処理可能性理論 
2. 日本語の文構造の発達過程
3. 日本語の発達段階

第4章 教室指導の効果に関するSLA研究 
1. Focus on Formの概念化  
2. 教室における指導技術とその効果に関する実証研究 

第5章 日本語に関する教室習得研究
1. 初期のインターアクション研究  
2. 社会文化理論からのアプローチ 
3. インプット処理―競合モデル 
4. 教室指導の効果 
著者紹介
小柳かおる(こやなぎ かおる)
福岡県出身。ジョージタウン大学にて修士号・博士号(言語学)取得。(社)国際日本語普及協会(AJALT),アメリカ国際経営大学院,ジョージタウン大学等の日本語講師,上智大学助教授などを経て,現在,上智大学言語教育研究センター/大学院外国語学研究科教授。著書に,『日本語教師のための新しい言語習得概論』(単著,スリーエーネットワーク,2004),『研究社日本語教育辞典』(「3 第二言語習得」単著,研究社,2012)など。

峯布由紀(みね ふゆき)
長崎県出身。筑波大学大学院にて修士号,お茶の水女子大学大学院にて博士号(人文科学)取得。国際交流基金日本語教育派遣専門家,早稲田大学・お茶の水女子大学・日本大学非常勤講師,東洋学園大学人文学部准教授などを経て,現在,上智大学言語教育研究センター/大学院外国語学研究科准教授。著書に,『第二言語としての日本語の発達過程―言語と思考のProcessability』(単著,ココ出版,2015),など。