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日本語と世界の言語のとりたて表現

野田尚史[編]

定価
4,950円(4,500円+税)
ISBN
978-4-87424-812-6 C3080
発売日
2019/11/6
判型
A5
ページ数
368頁
ジャンル
日本語学 ― 日本語学専門
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「だけ」「さえ」「も」といったとりたて表現が世界の言語ではどのように表されているか、日本語との共通点や相違点を通して明らかにする。これまでの研究動向や古代日本語、また日本語学習者の誤用なども含め幅広く検討する。

■「この本の目的と構成」より
この本は、「だけ」「さえ」「も」のようなとりたて表現について、日本語と世界のさまざま・・・(全文を読む)な言語の共通点と相違点を明らかにするために、22名の研究者が共同研究を行った成果である。
古代日本語では係り結びという文法現象があったため、係り結びに関係する係助詞と関係しない副助詞を区別していた。係り結びがなくなった現代日本語では係助詞と副助詞を区別する必然性がなくなり、係助詞と副助詞をとりたて助詞としてまとめて扱うことが多くなってきた。
とりたて助詞の研究は30年ほど前から少しずつ盛んになり、現在では「とりたて」は現代日本語で重要な文法概念になってきている。
日本語以外の世界のさまざまな言語でも、「だけ」「さえ」「も」のような意味を表す表現が見られる。しかし、それぞれの言語の文法では、とりたてを表す表現は副詞などを分類するときに触れられるだけで、重要な文法的概念とは考えられていないことが多い。
そのような状況を打ち破るために、私たちは日本語だけでなく、世界のさまざまな言語のとりたて表現の研究を大きく進展させるための共同研究を行った。
日本語については、現代日本語のとりたて表現の研究をもとにして、古代日本語や、日本語を母語としない学習者の日本語などを取り上げた。日本語以外の言語については、日本語のとりたて表現の研究をもとにして、さまざまな言語のとりたて表現について特に特色のある現象を中心に分析した。
日本語以外の言語についてはこれまであまり研究が行われてこなかったテーマであるため、研究には苦労が多かったが、日本語との共通点と相違点が浮かびあがり、とりたて表現の研究のおもしろさを示せる成果が得られたと考えている。

関連情報

目次
第1部 とりたて表現の研究方法と研究動向

とりたて表現の対照研究の方法
野田 尚史

とりたて表現の研究動向
茂木 俊伸

第2部 日本の言語のとりたて表現

日本語のとりたて表現の歴史
小柳 智一

日本語学習者のとりたて表現
中西 久実子

琉球語のとりたて表現
狩俣 繁久

第3部 東アジア・東南アジアの言語のとりたて表現

韓国語のとりたて表現
鄭 相哲

中国語のとりたて表現
井上 優

タイ語のとりたて表現
峰岸 真琴

インドネシア語のとりたて表現
原 真由子

第4部 南アジア・西アジア・アフリカの言語のとりたて表現

ヒンディー語のとりたて表現
今村 泰也,プラシャント・パルデシ

ネワール語のとりたて表現
桐生 和幸

シンハラ語のとりたて表現
岸本 秀樹

トルコ語のとりたて表現
林 徹

ヘレロ語のとりたて表現
米田 信子

第5部 ヨーロッパの言語のとりたて表現

英語のとりたて表現
大澤 舞

ドイツ語のとりたて表現
筒井 友弥

フランス語のとりたて表現
デロワ 中村 弥生

チェコ語のとりたて表現
ユラ・マテラ
著者紹介
野田 尚史(のだ ひさし)
【生まれ】 金沢市
【学 歴】 大阪外国語大学イスパニア語学科卒業,大阪外国語大学大学院外国語学研究科修士課程日本語学専攻修了,大阪大学大学院文学研究科博士課程日本学専攻中退,博士(言語学)
【職 歴】 大阪外国語大学助手,筑波大学講師,大阪府立大学助教授・教授,国立国語研究所教授
【著 書】 『日本語の配慮表現の多様性―歴史的変化と地理的・社会的変異―』(共編,くろしお出版,2014),『日本語のとりたて―現代語と歴史的変化・地理的変異―』(共編,くろしお出版,2003)など