現代日本語における否定的評価を表すとりたて詞の研究

近刊

現代日本語における否定的評価を表すとりたて詞の研究

井戸美里[著]

定価
3,960円(3,600円+税)
ISBN
978-4-87424-927-7 C3081
発売日
2023/2/24
判型
A5
ページ数
176頁
ジャンル
日本語学 ― 日本語学専門
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現代日本語の否定的評価を表すとりたて詞(など・なんか)を中心に、その形態・統語的特徴と意味的特徴を記述的に一般化する。先行文脈との意味的な関係性の違いが、その文法的振る舞いに本質的な影響を与えていることを主張する。

■序章より
本書の目的は、現代日本語のとりたて詞、とりわけ否定的評価を表すとりたて詞を中心に、その形態・統語的・・・(全文を読む)特徴と意味的特徴を記述的に一般化することにある。本書で扱う否定的評価を表すとりたて詞とは、(1)や(2)のナンカのようなとりたて詞である。

(1)どうやら花子は、研究者ナンカに憧れて、一生懸命勉強しているらしい。
(2)砂糖入りの緑茶ナンカ絶対おいしくないよ。

 否定的評価を表すとりたて詞が示す現象を改めて観察してみると、日本語のとりたて詞全体の体系に関わる重要な観点だけでなく、ことばの「含み」と認識主体(多くの場合は話者)の態度という、ときに構造的に扱うことが困難となる部分について、新たな分析の観点が提供できる。これらの観点に基づいてとりたて詞の現象を記述的に一般化することは、日本語の記述的研究はもちろんのこと、さまざまな理論的枠組みに基づいて行われる研究にとっても重要な分析の土台を提供することにつながると考えられる。

関連情報

目次
第1章 序章
1. 本書の背景と目的
2. 対象となる現象
3. 本書の構成
第2章 「とりたて詞」とはどのような語群か
1. はじめに
2. とりたて詞の意味的特徴とモダリティ
3. とりたて詞の形態・統語的特徴とモダリティ
4. 「とりたて詞」というカテゴリーが持つ問題点
第3章 とりたて詞の階層構造と意味
1. はじめに
2. 前提となる枠組み
3. 文の階層構造ととりたて詞の述語制約
4. 文の階層構造ととりたて詞の意味
5. 問題の所在と本書の立場
第4章 否定的評価を表すとりたて詞の2種
1. はじめに
2. 先行研究
3. 否定的評価を表すナド・ナンカの二種
4. 2つのタイプの否定的評価を表すナド・ナンカの形態・統語的違い
5. ナンテ、ナンゾ(ナンザ)、マデにおける態度表示タイプと語彙付加タイプ
6. とりたて詞の語彙性と含みの違い
7. まとめ
第5章 否定的評価を表すとりたて詞の統語的位置と意味
1. はじめに
2. 否定的評価を表すとりたて詞が呼応する述部
3. 否定的評価を表すとりたて詞における評価主の切り替え
4. 間投助詞や名詞接辞における埋め込みと評価主の切り替え
5. 否定的評価を表すとりたて詞の形態・統語的性質と評価主の切り替え
6. まとめ
第6章 否定的評価を表すとりたて詞に後接するハと否定のスコープ
1. はじめに
2. 態度表示タイプのとりたて詞と否定のスコープ
3. とりたて詞に後接するハと語彙付加タイプと態度表示タイプの切り替え
4. ハと否定のスコープ
5. 否定のスコープを用いないメリット
6. まとめと課題
第7章 とりたて詞における否定辞との呼応と前提集合の有無
1. はじめに
2. ダケとシカの対立における前提集合
3. 「誰モガ」と「誰モ〜ない」の対立における前提集合
4. まとめと課題
第8章 結論
1. 本書のまとめ
2. 本書の意義と展望
著者紹介
井戸美里(いど みさと)
筑波大学大学院人文社会科学研究科一貫制博士課程修了。博士(言語学)。現在、国立国語研究所 非常勤研究員ほか。
主要論文に、The Hidden Side of Exclusive Focus Particles: An Analysis of dake and sika in Japanese, Gengo Kenkyu 160: 183–213 (with Yusuke Kubota, 2021/2022年度言語学会論文賞)、「否定的な評価を表す二種類のとりたて詞ナド」『日本語文法』13(1): 68–83(2013)など。