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五感で楽しむ食の日本語

ポリー・ザトラウスキー[編]

定価
4,950円(4,500円+税)
ISBN
978-4-87424-874-4 C3081
発売日
2021/12/31
判型
A5
ページ数
320頁
ジャンル
日本語学 ― 日本語学専門
オンライン書店
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近年欧米で研究が盛んな食と言語の関係について、日本語学、会話分析、日本語教育、文学、食品科学等の様々な分野から食に関する日本語の豊かな言語表現(オノマトペや会話中の食の描写、介護における食の語彙等)を考察する。



■「『五感で楽しむ食の日本語』の紹介と展望」より
日本では世界中の食べ物に対する関心が高い。そして食べることだ・・・(全文を読む)けではなく、グルメレポート、ドラマ、旅行、クイズのTV番組、新聞、雑誌、書籍、ブログ、日常会話等で食べている物の描写、評価、特定(食べている物は何であるか)で実に様々で豊かな表現が用いられている。また、食べ物についての話では、アイデンティティーや価値観、信念が示され、互いにモニターしながら、変わっていく生活世界を構築し、絆を強化している。
欧米では、21世紀に入って言語と食べ物に関する本が数多く出版されている(Counihan 2004, Lavric and Konzett 2009, Newman 2009, Pinnavaia 2010, Gerhardt, Frobenius and Ley 2013, Jurafski 2014, Szatrowski 2014c, Diederich 2015)。しかし、日本では「食のことば」(柴田・石毛編1983)、「美味しい表現」「味ことば」の意味と比喩に関する研究(瀬戸他2003, 2005)、食品の購入のための「「おいしい」言葉」「シズルワード」に関する調査研究(大橋+シズル研究会2010、B・M・FTことばラボ2016, 2018)、食品科学に関する「食品テクスチャー研究」(山野2011)以外言語と食に関する本が少ない。
本書は食にまつわることと日本語との関係を様々な観点から考察する。ここで言う「食」は食べること自体はもちろん、食べる前後の、食べることと関係あるものも含む。例えば、調理については料理本やインターネットで検索できるレシピ、テレビの料理番組、過去と未来に食べた/食べるかもしれない食べ物、食材、食べる場所等に対する評価、文学作品や雑誌等の中で描かれたり、語ったりされる食べ物や食べるシーンである。

関連情報

目次
『五感で楽しむ食の日本語』の紹介と展望
ポリー・ザトラウスキー

桜鯛、虹鱒、松風、時雨、杉盛り―食文化と比喩・象徴をめぐる随感―
中村明

第1部 食を創る

レシピのオノマトペ―調理の手法を伝える表現―
水藤新子

食感を表すオノマトペ―クックパッドのレシピに見るおいしさ表現―
福留奈美、伊尾木将之

第2部 食を評価する

「生クリーム、大好き。」―食べ物の嗜好は語りを通してどのように共有されるか?―
唐津麻理子

会話における食の評価と言語行動―評価は食前から始まる―
小池千里

テレビの料理番組での視聴者が食べたくなる食べ物の評価
ポリー・ザトラウスキー

第3部 食を教える

おいしさのカタカナ語の類義分析―「スイートな」「ヘルシーな」「フレッシュな」があらわす意味―
武藤彩加

トレンドスイーツをめぐるオノマトペのひろがり―チョコレートの味・香り・食感をどのように伝えるか―
星野祐子

外国人介護士が悩む食事介助の相互作用フレーム―「ごっくん」から「嚥下」へ―
石原洋子

第4部 食を語る

「インド人もびっくり」から「だんご3兄弟」まで―食生活の引用による弁論パフォーマンス上の第3空間的駆け引き―
野田眞理

大正期の『少女の友』の食のことば
石井久美子

どう描かれる? 漱石・鷗外の“食べる”
髙﨑みどり

事項索引
飲食物索引
人名索引
著者紹介
ポリー・ザトラウスキー(Polly Szatrowski)
コーネル大学大学院博士課程修了。言語学博士。筑波大学大学院博士課程文芸言語研究科修了。文学博士。現在、ミネソタ大学言語学研究所教授。主な著書・編著書に『日本語の談話の構造分析―勧誘のストラテジーの考察―』(くろしお出版、1993)、Hidden and open conflict in Japanese conversational interaction(くろしお出版、2004)、Storytelling across Japanese conversational genre (John Benjamins, 2010)、Language and food: Verbal and nonverbal experiences (John Benjamins, 2014)などがある。