抄物の言語と資料

近刊

抄物の言語と資料

中世室町期の形容詞派生と文法変化

山本佐和子[著]

定価
7,480円(6,800円+税)
ISBN
978-4-87424-932-1 C3081
発売日
2023/3/10
判型
A5
ページ数
472頁
ジャンル
日本語学 ― 日本語学専門
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紀伊國屋書店 丸善・ジュンク堂書店・文教堂

室町期の口語資料「抄物」から語史や文法変化、特徴的な文体・表現を見出し、日本語の史的変遷研究に寄与すると共に、文献学的な価値をも考究する。

関連情報

目次
序文
木田章義

序 章―抄物のことば・抄物という書物
はじめに
一 抄物の概要
二 抄物の研究概況
三 言語研究と資料研究を併行する意義

I 新シク型形容詞の派生
第一章 「きぶい(酷)」の語誌
一 問題の所在
二 「きぶい」の意味用法
三 「きびしい」との関わり
四 抄物以後の「きぶい」
まとめ

第二章 「いかめい」の語誌
―「いかめしい」「いかい」との関わり―
一 問題の所在
二 「いかめしい」の意味用法
三 「いかめい」の意味用法
四 「いかい」の意味用法
五 「いかめい」と「いかめしい」「いかい」の関わり
まとめ

第三章 新シク型形容詞の派生について
―中世室町期におけるク活用形容詞からの派生を中心に― 
一 問題の所在
二 ク活用形容詞からの派生
三 他の品詞からの派生
まとめ

第四章 形容詞の活用型と意味分類―付「対象語」「形容詞文」 
はじめに
一 「ク活用―属性」「シク活用―感情」説の変遷
二 「主観的な感情」「客観的な属性」説の系譜
三 形容詞の意味分類と「形容詞文」
四 「形容詞文」とモダリティ
今後の課題

II 語の変化と文法変化との交渉
第五章 「ツベイ」と「ツベシイ」
―助動詞「ベシ」のシク活用化について―
はじめに
一 「ツベシ」の成立と展開
二 シク活用「ツベシイ」の形成
おわりに

第六章 モダリティ形式「ラシイ」の成立
一 問題の所在
二 形容詞派生接辞「ラシイ」の特性
三 前接部分の形態的変化
四 初期の「活用語+ラシイ」の特性
五 「名詞節+ラシイ」の影響
おわりに

第七章 中世室町期における「ゲナ」の意味・用法
―モダリティ形式「ゲナ」の成立再考―
一 問題の所在
二 モダリティ「本体把握」「推定」
三 抄物における意味・用法
四 派生接辞の史的変化
五 まとめと今後の課題―モダリティ形式の成立再考

第八章 モダリティ形式「サウナ>ソウダ」再考
―名詞に後接する用法をめぐって―
はじめに
一 「サウナ」に関する先行研究
二 名詞に後接する用法の変遷
三 「サウナ」の史的変化―変化における「名詞+サウナ」の位置づけ
まとめと今後の課題

第九章 中世室町期における「ねまる」の意味・用法
一 問題の所在
二 本動詞「ねまる」
三 補助動詞用法「テネマル」
四 「ねまる〈存在〉」と「テネマル」の広がり
五 補助動詞用法成立の要因
おわりに

III 抄物の史的展開
第一〇章 建仁寺両足院蔵「杜詩抄」の成立をめぐって
―抄物と室町期の文化試論― 
はじめに
一 両足院蔵「杜詩抄」の概要
二 内容、言語上の特徴
三 「杜詩抄」の作成者
四 仮名抄と室町期の文化
おわりに

第一一章 「杜詩抄」の文末表現「~ヂャ」について
はじめに
一 文末表現「~ヂャ」の分布と「杜詩抄」の先行抄
二 文末「~ヂャ」に関する先行研究
三 「杜詩抄」における文末表現「~ヂャ」
四 文末表現「~ヂャ」が用いられる理由
おわりに

第一二章 五山・博士家系抄物における濁音形〈●〉について
はじめに
一 問題の所在
二 濁音形の認定
三 「杜詩抄」における「ゾウ」の使用状況
四 五山・博士家系抄物における〈候〉〈●〉
五 濁音形〈●〉の史的変遷
おわりに
※●は「候」+濁点

第一三章 中世室町期の注釈書における「~トナリ」の用法
はじめに
一 問題の所在
二 「~トナリ」に関する問題と先行研究
三 和書の注釈書における「~トナリ」
四 注釈書における定型表現「~トナリ」の機能
おわりに

IV 抄物研究の可能性
第一四章 「彭叔守仙抄古文真宝抄」の諸本について
―大名高家が求めた仮名抄― 
はじめに
一 「古文真宝」とその抄物
二 「彭叔守仙抄」の成立について
三 作成に関わった人々―彭叔守仙と畠山義総
四 「彭叔守仙抄」の内容と文体の特徴
五 「彭叔守仙抄」の受容について
六 「古文真宝後集」と「古文真宝抄」の版行をめぐって
まとめと今後の課題

第一五章 大阪府立中之島図書館蔵『〈増刊校正王状元集注分類〉東坡先生詩』の書誌的考察・翻刻
―東坡詩の抄物の受容と展開の一例― 
一 書誌的考察
二 翻刻

第一六章 京都大学文学研究科図書館寿岳文庫蔵「古則聞書零本」解題・翻刻
一 解題
二 翻刻

終章 「私抄」と称する抄物について

使用したテキスト
参考文献

〔付録〕抄物の利用法
―抄物による言語研究の継承と展開―
はじめに―深刻な「抄物アレルギー」の実態
一 日本語史資料としての「抄物の取扱説明書」
二 口語資料としての研究史
三 抄物を資料とした言語研究の事例

索引
著者紹介
山本 佐和子(やまもと さわこ)
京都府立大学文学部文学科国文学・中国文学専攻卒業。同大学大学院文学研究科国文学・中国文学専攻修士課程、同博士後期課程修了。博士(文学)。大阪教育大学教育学部教養学科日本・アジア言語文化講座講師、同志社大学文学部国文学科助教を経て、現在、同准教授。
〈主な業績〉「「ツベイ」と「ツベシイ」―助動詞「ベシ」のシク活用化について―」(『日本語の研究』8―1、二〇一二年)、「モダリティ形式「ラシイ」の成立」(『日本語文法史研究』1、二〇一二年)、『広辞苑(第七版)』(岩波書店、二〇一八年、古語新加項目執筆)など。