第二言語理解の認知メカニズム

第二言語理解の認知メカニズム

英語の書きことばの処理と音韻の役割

門田修平[著]

価格
3,400円+税
ISBN
978-4-87424-340-4 C3081
発売日
2006/3/20
判型
A5
ページ数
246頁
ジャンル
言語習得 ― 言語習得専門
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「聞く・話す」ことが、「読む」ことの基盤になるという研究成果を総括した上で、第二言語の語彙処理やリーディングがどんな認知メカニズムを持ち、音声言語理解のプロセスと結びついているかを、学際的に理論づけ実証的に検討。

関連情報

目次
■第1章 序論:ワーキングメモリの心理・神経機構

 1.1 人の記憶システム
  1.1.1 情報の符号化
  1.1.2 感覚記憶・短期記憶・長期記憶
  1.1.3 ワーキングメモリモデル:情報の保持と処理の管理システム

 1.2 ワーキングメモリについての脳神経科学研究の展開
  1.2.1 ワーキングメモリモデルの改訂:エピソードバッファ
  1.2.2 音韻ループの神経機構
  1.2.3 視空間スケッチパッドの神経機構
  1.2.4 中央実行系の神経機構
  1.2.5 ワーキングメモリの脳内モデル

 1.3 本章のまとめ

■第2章 読みのディコーディング過程と音韻符号化:先行研究の総括

 2.1 メンタルレキシコンとは何か

 2.2 メンタルレキシコン内の語彙知識の表象

 2.3 メンタルレキシコンの脳内機構

 2.4 語彙アクセスを左右する要因

 2.5 メンタルレキシコン内の語彙へのアクセスモデル
  2.5.1 探索モデル(search model)
  2.5.2 ロゴジェンモデル(logogen model)
  2.5.3 相互活性化モデル(interactive activation model)

 2.6 視覚提示語のアクセスと音韻
  2.6.1 言語の書記体系と音韻符号化
  2.6.2 語彙ルートと非語彙ルート:語の音韻表象への二重経路モデル
  2.6.3 音韻ルートと非音韻ルート:語の意味への二重アクセスモデル
  2.6.4 音韻介在説の根拠
  2.6.5 視覚的アクセス説の根拠
  2.6.6 二重アクセス説の根拠

 2.7 英単語の処理と音韻: 近年の研究成果
  2.7.1 意味範疇判断における同音異義語の干渉: Van Orden(1987)
  2.7.2 音声的プライミングが語の音読に与える影響:Lesch and Pollatsek(1993)
  2.7.3 音声的プライミングが意味判断に与える影響:Lesch and Pollatsek(1998)

 2.8 日本語漢字単語の処理と音韻: 英単語との対照
  2.8.1 漢字表記語の音韻処理の自動化についての研究:水野(1997)
  2.8.2 日本語漢字の部首・音韻の情報がその処理に与える影響:齋藤・川上・d’Arcais(1993)
  2.8.3 形態的類似語・非類似語の意味アクセスにおける同音異義語の影響:Sakuma, Sasanuma, Tatsumi and Masaki(1998)

 2.9 バイリンガルレキシコンモデル

 2.10 本章のまとめ

■第3章 読みのコンプリヘンション過程と音韻符号化:先行研究の総括

 3.1 リーディングモデルの変遷: ボトムアップ、トップダウン、相互作用を経てネオボトムアップモデルまで
  3.1.1 ボトムアップ処理理論(bottom-up processing theory)
  3.1.2 トップダウン処理理論(top-down processing theory)
  3.1.3 相互作用モデル(interactive model)
  3.1.4 ネオボトムアップ相互作用モデル(neo-bottom-up interactive processing model)
  3.1.5 語彙仮説モデル(lexical hypothesis model)

 3.2 リーディングの処理理論:まとめ

 3.3 リスニングからリーディングへの転移

 3.4 文・談話の読みと音韻:書かれた文の理解における音韻情報の関与

 3.5 本章のまとめ

■第4章 第二言語メンタルレキシコン:日本人英語学習者に対する実証研究

 4.1 語彙連想課題とメンタルレキシコン

 4.2 語彙連想を手掛かりとした実証研究1: メンタルレキシコン内の意味・音韻ネットワークの比較
  4.2.1 研究方法
  4.2.2 結果と考察

 4.3 語彙連想を手掛かりとした実証研究2: L2レキシコンとL1レキシコンの関係
  4.3.1 研究の目的
  4.3.2 研究方法
  4.3.3 結果と考察
  4.3.4 総合的考察: シンタグマティックからパラディグマティックな語彙ネットワークへ

 4.4 日本人英語学習者の語彙アクセスにおける語の頻度レベル・長さの影響
  4.4.1 研究方法
  4.4.2 結果と考察

 4.5 本章のまとめ

■第5章 読みと形式スキーマ・チャンキング:日本人英語学習者に対する実証研究

 5.1 形式スキーマと読み:クローズテストを用いた実証研究
  5.1.1 形式スキーマとクローズ法の妥当性:研究1
  5.1.2 形式スキーマとクローズ法の妥当性:研究2
  5.1.3 総合的考察

 5.2 チャンキングのメカニズム:リーディングにおける処理単位
  5.2.1 処理単位のサイズ:研究1
  5.2.2 コンピュータ制御提示による英語および日本語の比較研究:研究2
  5.2.3 読みの時間と理解度を指標とした研究:研究3
  5.2.4 読みにおけるチャンキング:今後の展望

 5.3 本章のまとめ

■第6章 視覚提示語の意味アクセスにおける音韻符号化:日本人大学生に対する実証研究

 6.1 第二言語としての英語の語彙処理と音韻:日本人英語学習者に対する研究
  6.1.1 各種語彙情報へのアクセス:研究1
  6.1.2 英単語の意味表象へのアクセスにおける音韻抑制課題の影響:研究2
  6.1.3 英単語の意味表象へのアクセスにおける音韻抑制課題の影響:研究3
  6.1.4 語の意味・音韻アクセスにおける同音異義語ペアの影響:研究4
  6.1.5 語の意味アクセスにおける同音異義語の干渉:研究5

 6.2 総合的考察:英単語

 6.3 母語としての日本語漢字の処理と音韻:日本人大学生に対する研究
  6.3.1 日本語漢字単語の意味表象へのアクセスにおける音韻抑制課題の影響:研究1
  6.3.2 日本語漢字単語の意味・音韻アクセスにおける同音異義語ペアの影響:研究2
  6.3.3 語の意味アクセスにおける同音異義語の干渉:研究3

 6.4 総合的考察:漢字単語

 6.5 まとめと今後の展望

 6.6 本章のまとめ

■第7章 文・談話の読みにおける音韻符号化:日本人大学生に対する実証研究

 7.1 英語および日本語の読解における音韻符号化
  7.1.1 外国語としての英語の読解における音韻符号化:研究1
  7.1.2 日本語読解における音韻符号化:研究2

 7.2 構音抑制課題が英文のリスニングおよびリーディングに与える影響

 7.3 読解における音韻および韻律情報の活性化と処理単位の形成

 7.4 読みのチャンキングと音韻・韻律情報:日本人英語学習者に対する実証研究
  7.4.1 読解単位の形成におよぼす構音抑制課題の影響:研究1
  7.4.2 等時・不規則リズムが英文の読みに与える影響:研究2
  7.4.3 不規則リズムが英文の読解の際のチャンキングに与える影響:研究3
  7.4.4 等時・不規則リズムが日本文のリーディングに与える影響:研究4

 7.5 チャンキング過程のモデル化と音韻情報

 7.6 読みにおける全体的・自動的イメージ処理ルート

 7.7 非言語的・全体的イメージ処理機構

 7.8 読解の二重処理機構についての試案的モデル

 7.9 本章のまとめ

■第8章 結論と今後の課題

 8.1 読みにおける音韻処理機構:まとめ
  8.1.1 語彙アクセス前音韻と語彙アクセス後音韻
  8.1.2 集積型音韻と割り当て型音韻
  8.1.3 内的運動音韻(subvocal articulation)と音韻的心象(phonological image)

 8.2 本書の結論

 8.3 今後の検討課題

 8.4 本章のまとめ
著者紹介
関西学院大学法学部および大学院言語コミュニケーション文化研究科・教授。

専門は、心理言語学、応用言語学(L2メンタルレキシコン、L2読解の心理言語学的プロセスなど)。1985年度日本カトリック短大学術研究奨励賞、2002年度大学英語教育学会賞学術賞受賞。