多言語主義社会に向けて
平高史也/木村護郎クリストフ[編]
- 定価
- 2,420円(2,200円+税)
- ISBN
- 978-4-87424-740-2 C1087
- 発売日
- 2017/10/30
- 判型
- A5
- ページ数
- 240頁
- ジャンル
- 言語政策 ― 言語政策入門
外に向けては英語、内に向けては日本語ばかりが話題になりがちな日本社会でも、英語、日本語以外の言語を用いたさまざまな営みや教育が行われています。言語の多様性への気付きを促すそのような動きは、異なる言語や文化の背景を持つ人たちとの交流や相互理解に対して開かれた社会、すなわち相互に密接に関連し合っている世界の現状と未来によりよく対応・・・(全文を読む)できる社会の形成や人間(単なる「人材」ではなく)の育成に貢献する可能性を持っているのです。一方でその実態はまだ十分に知られているとは言えませんし、その意義が必ずしも広く共有されているわけでもありません。
そこで、そのような実践や状況に光をあてて、日本社会にとって「多言語」とは何か、「多言語」がいかに日本社会を変えていく可能性を秘めているか、また、より広く多言語使用や多言語主義にはどのような意味があるのかを探るのが、本書の目的です。(「はじめに」より)
- 関連情報
- 【書評・紹介】
『日本語学』2018年5月特大号(明治書院)に書評が掲載されました。
評者は相澤正夫氏(国立国語研究所)「多言語使用という現実ばかりでなく背後にある「多言語主義の理念」を十分に検証することから、将来の社会構築に着手しようではないか」
https://www.meijishoin.co.jp/book/b331583.html
『英語教育』2018年3月号(大修館書店)に書評が掲載されました。
評者は西山教行氏(京都大学)「日本の言語生活は豊かに、また複雑になっている」
https://www.taishukan.co.jp/book/b352269.html
『週刊読書人』(2018年2月16日発行)に書評が掲載されました。
評者は小田眞幸氏(玉川大学教授)「多文化・多言語は「あたりまえ」であることに気付かせてくれる本」
仙台国際センター「交流だより」2018年2月号に、書評が掲載されました。
https://int.sentia-sendai.jp/upload/publication/107/201802.pdf
『ドイツ文学』158号に書評が掲載されました。
評者は山川智子氏(文教大学)「本書を読んだ若い読者が、国内の多くの言語と文化に対して開かれた姿勢を持つようになってくれるのではないかと期待する」
- 目次
- はじめに
序章 多言語主義社会を考えるために(木村護郎クリストフ・平高史也)
第1部 日本における多言語教育の実態と展望
第1章
小学校における多言語活動の可能性(吉村雅仁)
第2章
高等学校における多言語の学びに向けて(山下 誠)
第3章
大学で多言語を学ぶ意義(國枝孝弘)
第4章
多言語教育における放送メディアの役割(鎌倉千秋・平高史也)
第5章
複言語・多言語教育推進への道
―日本外国語教育推進機構JACTFLの設立―(山崎吉朗)
Column 1
多言語教育の挑戦とその変遷―慶應義塾志木高等学校の場合―(岡田吉央)
Column2
つながるためのことばの学び―国際文化フォーラムの事業―(水口景子)
第2部 日本における/海外在住日本人の多言語管理の実態と展望
第6章
沖縄県の言語事情と「しまくとぅば」普及推進計画(中本 謙)
第7章
移民の言語使用と母語継承(庄司博史)
第8章
移民の母語教育の現状と課題(庄司博史)
第9章
在日コリアンの言語使用の実態とその背景(生越直樹)
第10章
観光における多言語事情(山川和彦・藤井久美子)
第11章
海外在住日本人の言語生活
―カタルーニャと上海の場合―(福田牧子・福田えり)
Column 3
多言語なくして「多文化共生」の実現なし!(菊池哲佳)
Column 4
外国語習得とダイエット(新行内和広)
Column 5
ときに諦め、ときに諦めない(佐藤悠花子)
第3部 ヨーロッパにおける多言語教育・使用の事例
第12章
危機に瀕するアルザス語
―バイリンガル教育によってもたらされるもの―(境一三・治山純子・小川敦)
第13章 多言語社会ルクセンブルク
―移民社会の到来と言語能力維持のための課題―(小川敦)
第14章
つながり方を探るドイツ・ポーランド国境地域
―異言語間コミュニケーションの諸方略―(木村護郎クリストフ)
第15章 チェコの多国籍企業の言語使用と言語管理
―言語の機能の観点から―(イジー・ネクヴァピル)
索引
言語名索引
執筆者一覧
- 著者紹介
- 平高 史也(ひらたか ふみや)
慶應義塾大学総合政策学部教授。東海大学、ベルリン・フンボルト大学を経て現職。文学博士。専門は、社会言語学、言語教育(特にドイツ語、日本語)、言語政策。主な共著書に『[改訂版]日本語中級J301―中級前期 英語版』(スリーエーネットワーク)、共編著に『日本語教育史』(アルク)、『外国語教育のリ・デザイン―慶應SFCの現場から』(慶應義塾大学出版会)、『多言語社会と外国人の学習支援』(慶應義塾大学出版会)、『教科書を作る(日本語教育叢書「つくる」)』(スリーエーネットワーク)などがある。
木村 護郎クリストフ(きむら ごろうくりすとふ)
上智大学外国語学部教授。博士(学術)。ヴィアドリナ・ヨーロッパ大学客員研究員、北海道大学客員教授なども務める。専門は、言語社会学、言語教育学。主な著書に『節英のすすめ―脱英語依存こそ国際化・グローバル化対応のカギ!』(萬書房)、『言語にとって「人為性」とはなにか―言語構築と言語イデオロギー』(三元社)、共著書に『多言語主義再考―多言語状況の比較研究』(三元社)、『言語的近代を超えて―〈多言語状況〉を生きるために』(明石書店)、共編著に『媒介言語論を学ぶ人のために』(世界思想社)などがある。
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