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新刊

刑事手続きと通訳

その日本語、通訳を介して伝わりますか?

水野真木子[著]

定価
3,300円(3,000円+税)
ISBN
978-4-87424-967-3 C2032
発売日
2024/3/25
判型
A5
ページ数
240頁
ジャンル
言語政策 ― 言語政策入門
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紀伊國屋書店 丸善・ジュンク堂書店・文教堂

通訳を介した法廷での質問・尋問、警察の取り調べ、弁護士の接見時における問題点を、実例に基づき、言語使用の観点から分析。実際の現場でも活用可能な、法廷で用いられる訳出困難な一般用語、法律用語のリスト付。

■「はじめに」より
著者は法律実務家や現役通訳者、通訳研究者の協力を得て、インタビューやディスカッション、アンケート調査を通・・・(全文を読む)し、通訳を介した法廷での質問・尋問、警察の取り調べ、弁護士の接見時における問題点を言語使用の観点から分析した。また、司法面接にも研究の範囲を広げ、特に司法の現場での典型的な弱者になりうる子どもを対象とした司法面接の通訳に関わる問題も調査、分析した。それらの分析結果を踏まえ、実際の現場で法律家と通訳者が注目すべき言語使用上の注意点について本書第1部にまとめた。日本語ー英語間の通訳を中心に取り上げているが、公判の通訳に関わる部分は、英語、中国語、スペイン語の通訳者の協力を得て分析を行ったため、英語だけでなく中国語とスペイン語の問題についても触れている。

本書の第2部では、法廷での日本語証言の場面を取り上げ、質問者である法律家と証人や被告人双方によってよく使用されるが通訳するのが難しい表現を選び、英語の参考訳とともに解説する。さらに、訳すのが難しい日本語の法律用語についても、用語解説と英語の参考訳を提供している。通訳を必要とする司法手続きの各現場で、日本語を解さない被告人や証人、被疑者、そして被面接者とコミュニケーションする際に、本書が法律家や通訳人にとって、少しでも役に立てば幸いである。

関連情報

目次
第1部 実際の現場での言語使用と通訳

第1章 司法手続きの各段階における法律家の質問
1.証拠収集手段としての質問
2.手続きの各段階での質問の目的と通訳
3.弁護人接見
4.司法面接

第2章 公判での質問・尋問と通訳の問題
1.主尋問でよく使用される言語表現
2.反対尋問でよく使用される言語表現
3.‌主尋問か反対尋問かを問わず問題が生じる可能性のある言語表現

第3章 取り調べでの通訳の問題
1.訳しにくい構文や言い回し
2.訳出が困難な特殊表現

第4章 弁護人接見時の通訳の問題
1.覚せい剤取締法違反事件を例に
2.器物損壊事件を例に
3.強盗致傷事件を例に

第5章 司法面接時の通訳の問題
1.子どもの司法面接での質問形式
2.通訳者にとって訳しにくい表現
3.理解されにくい定型表現

第2部 日本語の用語・表現と英語対訳

第1章 訳出困難な一般用語
対訳集作成方法
対訳集
擬音語・擬態語
慣用表現
様子・心情
動作
せりふ
その他

第2章 訳出困難な法律用語
対訳集
著者紹介
水野真木子 (みずの まきこ)
京都府立大学文学部卒業。立命館大学国際関係研究科修士課程修了。法と言語学会会長。日本通訳翻訳学会評議員。会議通訳、法廷通訳の仕事を経て、現在、金城学院大学文学部英語英米文化学科教授として、主にコミュニティ通訳、司法通訳の研究、および通訳翻訳教育に携わる。また、検察庁での通訳人研修、各地の地方自治体によるコミュニティ通訳者研修、手話通訳士現任研修など、さまざまな場面で講師を務める。『コミュニティ通訳』(共著、みすず書房)『法廷通訳人の倫理』(共著、松柏社)『コミュニティー通訳入門』(単著、大阪教育図書)『聴覚障害者と裁判員裁判』(共著、松柏社)橋内武・堀田秀吾共編著『法と言語』(共著、くろしお出版)佐藤=ロスベアグ・ナナ編『トランスレーション・スタディーズ』(共著、みすず書房)ほか著書や論文多数。