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『象は鼻が長い』入門

日本語学の父 三上章

庵功雄[著]

定価
1,760円(1,600円+税)
ISBN
978-4-87424-278-0 C3081
発売日
2003/4/1
判型
B6
ページ数
184頁
ジャンル
日本語学 ― 日本語学専門
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三上の生前の作品の主張をわかりやすく解説。著名な文法家の引用をまじえながら、若い世代の視点から三上作品を評した。またエピローグでは、三上が掲げた問題点から現状で何をすべきかを論じた。

関連情報

目次
プロローグ―三上を知らない世代による三上文法理解の試み―



§1 三上文法の理念と構成

 1. 三上文法の理念

 2. 三上文法の構成

  2_1. 各論としての『続・序説』『論理』『構文』

  2_2. 啓蒙書としての『象』『革新』

  2_3. 遺言書としての『小論集』

 3. 『序説』をめぐって

  3_1. 『序説』の構成

  3_2. 『序説』の価値

 4. 『新説』をめぐって

  4_1. 『新説』の構成

  4_2. 『新説』の価値



§2 主語廃止論をめぐって―日本語から日本語を見る―

 1. 主語とは何か

  1_1. 主語をめぐる様々な考え方

  1_2. 主題=主語説とその問題点

  1_3. 主体=主語説とその問題点

  1_4. 主格=主語説と主語廃止論

 2. 『象は鼻が長い』と構文論

  2_1. 『象』における構文論

  2_2. 「ハ」の兼務

   2_2_1. 無題化と日本語の構造

   2_2_2. 「Xガ」

   2_2_3. 「Xヲ」

   2_2_4. 「Xニ」

   2_2_5. 「Xノ」

  2_3. 「ハ」の本務

  2_4. 「ハ」の周囲

  2_5. 『象』の価値

 3. 主語廃止論に対する反論

  3_1. 生成文法、類型論による主語存続論

  3_2. 人称制限に基づく主語存続論

  3_3. 主語廃止論と主語存続論

 4. 本セクションのまとめ



§3 三上文法各論―日本語学の土台としての三上―

 1. 陳述度(ムウ度)

  1_1. 主語廃止論と陳述度

  1_2. 単式、軟式、硬式

  1_3. 3式の構文的意味

 2. 「象は鼻が長い」構文

 2_1. 「象は鼻が長い」構文とその類似構文

  2_1_1. 「かき料理は広島が本場だ」構文

  2_1_2. 「辞書は新しいのがいい」構文

  2_1_3. 「花が咲くのは7月ごろだ」構文

 2_2. 「象は鼻が長い」構文をめぐって

  2_2_1. 「象は鼻が長い」構文の分析とその批判

  2_2_2. 「象は鼻が長い」構文の分析私案

 3. アスペクト、テンス、「ノデアル」

  3_1. アスペクト

  3_2. テンス

  3_3. ノデアル(のだ)

   3_3_1. 「のだ」の基本的な性格

   3_3_2. 「のだ」の形態論的ステータスとテキスト的機能

   3_3_3. 「のだった」の性質

   3_3_4. 「のだ」の研究における三上の新しい位置づけ

 4. ピリオド越え

  4_1. ピリオド越えとは

  4_2. ピリオド越えとテキストの結束性

  4_3. ピリオド越えに関わる問題

 5. 指示詞と承前詞



エピローグ _不振と不信は払拭されたか―

 1. 不振と不信

 2. 三上と実用文法

  2_1. 三上文法の特徴と実用文法

  2_2. なぜこのままではいけないか―三上の学校文法批判―

  2_3. 文法教育の中のごまかし

  2_4. 文法教育革新へのプログラム

 3. 今何をなすべきか

  3_1. 日本語教育のための文法

  3_2. 国語教育のための文法

   3_2_1. 英文法との協力―三上のバランス感覚―

 4. むすび



あとがき



著者紹介
庵 功雄(いおり いさお)

一橋大学留学生センター准教授。博士(文学)。



研究の対象:指示詞、名詞などに焦点を当てたテキストの研究や、日本語学の研究と日本語教育の現場をつなぐ教育文法の研究などを行っている。

主な著書、論文:『新しい日本語学入門』(単著 スリーエーネットワーク)、『初級を教える人のための日本語文法ハンドブック』『中上級を教える人のための日本語文法ハンドブック』(共に共著 スリーエーネットワーク)、『上級日本語文法演習 時間を表す表現』(共著 スリーエーネットワーク)、「日本語のテキストの結束性の諸相」(博士学位取得論文 大阪大学文学研究科)、「「は」と「が」の使い分けに関わる一要因」(『国語学』188)