「もの」の意味、「時間」の意味

「もの」の意味、「時間」の意味

記号化に頼らない形式意味論の話

荻原俊幸[著]

定価
2,420円(2,200円+税)
ISBN
978-4-87424-680-1 C1081
発売日
2016/1/12
判型
A5
ページ数
208頁
ジャンル
言語学・英語学 ― 言語学入門
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本書は「もの」と「時間」の比較を通じて自然言語の形式意味論の論点や方法論を学ぶというねらいを持っています。本質的な問題点や概念を、分かりやすく読者に伝えることを心して執筆しました。具体的には、厳密な形式化は可能な限り避け、構成性(compositionality)の問題を強調せずに、文全体としての意味を中心に議論をすすめていま・・・(全文を読む)す。もちろん、間接的には、各々の表現、形態素などがどんな意味的な貢献をしているのかを考えるわけですが、これに関してはインフォーマルな議論にとどめました。(まえがきより)

関連情報
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目次
第1章 はじめに―形式意味論の世界にようこそ!
1.1 本書の目標
1.2 意味論を学びやすくする二つの工夫
1.3 本書の構成

第2章 指示・量化・前提
2.1 固有名詞とその意味
2.2 「言語表現」と「指示対象」の違い
2.3 代名詞、あるいは変項
2.4 普通名詞、確定記述、不確定記述、裸名詞、裸複数形名詞
2.5 述語
2.6 選択的量化子
2.7 量化子の定義域の限定
2.8 量化副詞 と非選択的量化子
2.9 every を使った「ロバ文」と代名詞
2.10 E-type 代名詞分析
2.11 前提

第3章 文脈依存と直示性
3.1 文脈依存性・直示性とは何か
3.2 時間に関する表現で、文脈依存的・直示的なもの
3.3 主節(単文)の時制形態素:直示的か否か
3.4 埋め込み文の時制形態素:直示的か否か
3.5 時制形態素に関するParteeの議論

第4章 可能世界について―外延と内包
4.1 内包とは何か
4.2 様相助動詞の例
4.3 補文を取る動詞
4.4 de se (デ・セ) 態度
4.5  de re (デ・レ)態度
4.6 述語論理言語とその「仲間たち」(まとめと紹介)

第5章 時制形態素
5.1 代名詞の意味
5.2 存在量化子と束縛代名詞
5.3 時制形態素:代名詞か、それとも存在量化子か
5.4 時制形態素と de se 態度
5.5 時制形態素とde re 態度

第6章 アスペクト(相)
6.1 可算名詞と不可算名詞の意味
6.2 動詞の相の分類と「決まったサイズを持っているか否か」 の問題
6.3 「~ている」進行形と結果残存
6.4 進行形とその意味解釈
6.5 場所の「~の中」という表現
6.6 進行形と「~中(ちゅう)」
6.7 英語の現在完了形とその意味

第7章 時間副詞
7.1 場所の副詞
7.2 時間の副詞句
7.3 「もの」の量化子
7.4 「時間」の量化子と副詞的用法
7.5 頻度の副詞、数量副詞、非選択量化子

各章末に練習問題付
著者紹介
荻原 俊幸(おぎはら としゆき)
1957年埼玉県大宮市出身。上智大学大学院、言語研究科にて修士号取得、テキサス大学オースチン校にて言語学 PhD. 取得。その後ドイツ、シュツットガルト大学、自然言語処理研究所研究員、東京学芸大学専任講師を経て現在、米国、ワシントン大学(シアトル)言語学科准教授。
主著に、『Tense, Attitudes, and Scope』(1996年 Kluwer Academic Publishers)