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フランス語の発想

日本語の発想との比較を通して

春木仁孝/岩男考哲[著]

定価
2,420円(2,200円+税)
ISBN
978-4-87424-876-8 C1085
発売日
2021/12/9
判型
A5
ページ数
192頁
ジャンル
言語学・英語学 ― 言語学入門
オンライン書店
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フランス語のbaguetteはパンだけじゃなく杖も指揮棒も表す!? フランス語の「ものの捉え方」「言い表し方」「単語や文法のしくみ」等を日本語と比較しながら具体的に紹介。イラストも豊富で楽しくフランス語の特徴が掴める。

■「まえがき」より
この本はフランス語を柱にして、日本語とも比較対照しながら言葉の面白さを知ってもらいたい・・・(全文を読む)という思いで書いた本です。ですからフランス語についての本であると同時に、フランス語を一例とした言葉についての本でもあります。
世界には数千もの言葉が存在しています。しかしどのような言葉であれ人間が使っている言葉なので、それぞれの言葉の様々な姿の底にあるものは人間共通のものだと言うことができます。ただ可能なしくみのどの範囲を使っているのか、またどのような組み合わせで使っているのか、さらにはどのしくみを重要視しているのかなどがそれぞれの言葉によって異なっているのです。さらにはそれらを形として表わす場合にもいくつかの可能性があり、どのような表わし方を採用しているのかというところから、言葉の多様性というものが結果として存在しているわけです。以上のような違いから出てくるそれぞれの言葉の特徴を、それぞれの言葉の発想法というように呼びたいと思います。
この本ではフランス語の発想法を日本語の発想法とも比較しながら、言葉のしくみのありようを考えていきます。この本を読むことで、フランス語はこういう発想法を持っている言葉であり、世界には日本語とは違ってこういう特徴を持っている言葉もあるのだと知っていただきたいのです。フランス語は英語とは親類関係にありますので、語順や単語の形、文法のしくみなどに英語と似ているところもいろいろとありますが、英語にはない特徴もたくさん持っています。また一方で、表現のしくみこそ違え、日本語の発想法に近い発想法もフランス語には存在しているのです。

関連情報

目次
第 1 部 単語編ーフランス語の単語の様々な顔

第1章 フランスパンとお箸−意味の抽象性と多義性
コラム1 フランスパン バゲット 棒パン
日本語からのふりかえり1

第2章 スイーツや童話の主人公の名前−ものの名前と比喩(1)
コラム2 フランスのお菓子、日本のお菓子

第3章 道具と動物の名前−ものの名前と比喩(2)
コラム3 蛇口は羊口、芋虫は犬顔、千鳥模様は雄鶏の足模様
日本語からのふりかえり2

第4章 自転車はvélo? bicyclette?−一つのものに複数の名前
コラム4 麦の国におけるお金の話

第5章 先生はprof、警官はkeuf−省略語、逆さ言葉
日本語からのふりかえり3

第6章 フランス語の語彙の学習について−言葉は生きている

第 2 部 文編ーフランス語の解きほぐし方

第7章 君のことはよく分かっている−フランス語はコンパクト
日本語からのふりかえり4

第8章 働きかけとその結果−フランス語は他動詞が好き
コラム5 プロトタイプ

第9章 自分に働きかける?−再帰構文のしくみ
コラム6 フランス語の受動用法と受動態
日本語からのふりかえり5

第10章 事故はやってくる?−何でも動きで表わすフランス語
コラム7 日本語の「来る」は過去を表せるのか?!

第11章 çaとon−主語は主語でも
日本語からのふりかえり6

第12章 Paul-Marieは男? 女?−右に展開するフランス語
コラム8 フランス人の名前

まとめ

フランス語の知識を深めましょう
著者紹介
春木仁孝(はるき よしたか)
大阪大学名誉教授。大阪大学文学研究科博士課程中途退学、ストラスブール第2大学DEA修了、 パリ第4大学博士課程修了。第3課程博士(フランス言語学)。専門:言語学・フランス語学。
主要編著書:『ロワイヤル仏和中辞典』(共編、旺文社)、『プチ・ロワイヤル仏和辞典』(共編、旺文社)、『フランス語とはどういう言語か』(1993年、共著、駿河台出社)、『フランス語学研究の現在』(2005年、共著、白水社)、『フランス語学の最前線1~4』(2012~2016年、共著、ひつじ書房)、『フランス語へのかけ橋』(1994年、白水社)、『フランス文法 かたちとしくみ』(2009年、白水社)

岩男考哲(いわお たかのり)
大阪大学大学院言語文化研究科博士後期課程修了。博士(言語文化学)。現在、神戸市外国語大学准教授。専門:言語学・日本語学。
主要著書:『引用形式を含む文の諸相』(2019年、単著、くろしお出版)、『名詞研究のこれまでとこれから』(2021年、共著、くろしお出版)
主要論文:「引用形式由来の提題標識の働き」(『名詞類の文法』くろしお出版)、「複合辞「というと」の接続表現的用法について」(『日本語文法』16-1)、「「ときたら」構文の意味と主題」(『日本語文法』14-2)