構文の意味と拡がり

構文の意味と拡がり

天野みどり/早瀬尚子[編]

定価
4,070円(3,700円+税)
ISBN
978-4-87424-744-0 C3080
発売日
2017/11/14
判型
A5
ページ数
256頁
ジャンル
日本語学 ― 日本語学専門
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言語分析の重要な課題は、複数の要素で組み立てられた言語構成体がどのような意味と結びつくかを解き明かすことであると言えよう。特定の意味との結びつきを有する言語構成体を「構文」と呼ぶなら、この課題は構文とそれに結びつく意味の関係を解明するということになる。構文と意味の結びつきの有り様は多くの場合、一対一の対応ではなく極めて複雑な様・・・(全文を読む)相を呈する。また、構文と結びつく意味のなかには、構文の構成のあり方に直接対応するものばかりでなく、言語外知識などを含む文脈に依存するものも見られるであろう。本書の「構文の意味と拡がり」という標題には、文法論から語用論に跨るこのような研究課題の意義が込められている。(「まえがき」より)

関連情報

目次
第1部 構文研究の流れ

第1章
総 論―構文論の最近の展開と今後の展望―
早瀬尚子

第2章
総 論―日本語研究分野における構文研究―
天野みどり

第2部 記号論の視点からの拡がり

第3章
逸脱表現とアブダクション―日本語と俳句とハイクとコンクリート・ポエトリー―
有馬道子

第3部 構文の成立と拡がり

第4章
分詞表現の談話標識化とその条件―懸垂分詞からの構文化例―
早瀬尚子

第5章
日本語の発見構文
三宅知宏

第6章
日本語恩恵構文の意味の拡がりと構文の関係性
益岡隆志

第7章
受益構文の意味拡張―《恩恵》から《行為要求》へ―
天野みどり

第8章
構文推意の成立と拡張―日本語の助動詞構文を主な例にして―
加藤重広

第4部 規範からの逸脱と拡がり

第9章
逸脱的構文から見る中核的現象と周辺的現象との相関
大澤 舞

第10章
イ落ち構文における主語の有無
今野弘章

第11章
構文としての日本語連体修飾構造―縮約節構造を中心に―
本多 啓

第12章
アメリカ英語における破格構文―節の周辺部に注目して―
柴﨑礼士郎

第13章
フランス語および西ロマンス諸語における「行く」型移動動詞の文法化
渡邊淳也
著者紹介
天野みどり(あまの みどり)
大妻女子大学文学部教授。主な業績として『文の理解と意味の創造』(笠間書院、2002)、『日本語構文の意味と類推拡張』(笠間書院、2011)などがある。

早瀬尚子(はやせ なおこ)
大阪大学大学院言語文化研究科准教授。主な業績として「懸垂分詞構文を動機づける「内」の視点」(『「内」と「外」の言語学』、開拓社、2009) , “The motivation for using English suspended dangling participles: A usage-based development of (inter)subjectivity,” (Usage-based approaches to language change, John Benjamins, 2014)などがある。