一般言語学から見た日本語のプロソディー

近刊

一般言語学から見た日本語のプロソディー

鹿児島方言を中心に

窪薗晴夫[著]

価格
5,400円+税
ISBN
978-4-87424-854-6 C3081
発売日
2021/3/25
判型
A5
ページ数
380頁
ジャンル
日本語学 ― 日本語学専門
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紀伊國屋書店 丸善・ジュンク堂書店・文教堂

日本語のアクセントとイントネーションについて、筆者の母方言である鹿児島方言、およびその近隣方言や東京方言などの調査研究をもとに一般言語学・言語類型論の視点から分析する。筆者のこれまでの研究の集大成となる一冊。

■「序章 本書の概要」より
本書は日本語のアクセントとイントネーションを、鹿児島方言およびその近隣方言と東京方言の調・・・(全文を読む)査研究をもとに、一般言語学と対照言語学の視点から分析したものである。アクセントとイントネーションはともに音の高さ(ピッチ)が作り出す音声現象であるが、語の特性(アクセント)か、句や文の特性(イントネーション)かという違いを持つ。本書は計4つの章からなり、最初の3つの章では主にアクセントを、最後の第4章ではイントネーションを考察する。
いずれの章も過去20余年間に日本語で書いた論考、英語で書いた論考、そして今回新たに書き下ろした原稿の3つがもとになっている(前2者については文献欄を参照されたい)。日本語や英語で発表していた論考についても、今回データと分析を再検討し、また最近の研究動向を踏まえて少なからず改稿を行った。またopen data scienceの一歩として今後の検証が可能になるように、調査に用いた語彙・例文を章末の補遺に記載し公開することにした。

関連情報

目次
序 章 本書の概要

第1章 類型論的観点から見た日本語のプロソディー
1.1 アクセントの型
1.2 アクセントの実現領域
1.3 音節とモーラ
1.3.1 測る単位と担う単位
1.3.2 シラビーム方言
1.4 計算の方向性
1.5 複合語のアクセント規則
1.6 アクセントの弁別的特徴
1.7 単起伏と重起伏
1.8 疑問のイントネーション
1.9 まとめ

補遺1 甑島方言

第2章 アクセントと音節構造
2.1 鹿児島方言のアクセントと音節構造
2.1.1 アクセントの恣意性
2.1.2 語種とアクセント
2.1.3 アルファベットのアクセント
2.1.3.1 単独発音
2.1.3.2 アルファベット頭文字語のアクセント
2.1.3.3 アルファベット複合語句のアクセント
2.1.3.4 アルファベットと外来語
2.1.4 考察
2.1.4.1 アルファベットのB型アクセント
2.1.4.2 語種間の干渉
2.1.5 まとめ
2.2 アルファベット頭文字語のアクセントと音節構造
2.2.1 東京方言
2.2.2 大阪方言
2.2.3 甑島方言
2.2.4 長崎方言
2.2.5 方言の比較と一般化
2.3 アクセントと二重母音
2.3.1 二重母音の定義
2.3.2 鹿児島方言
2.3.3 小林方言
2.3.4 甑島平良方言
2.3.5 甑島手打方言
2.3.6 甑島桑之浦方言
2.3.7 東京方言
2.3.8 まとめ
2.4 鹿児島方言のモーラ性
2.4.1 鹿児島方言の音節性
2.4.1.1 アクセント規則
2.4.1.2 母音融合
2.4.2 外来語アクセント
2.4.3 「の」の縮約
2.4.3.1 3つの方策
2.4.3.2 東京方言との比較
2.4.4 疑問と呼びかけのイントネーション
2.4.5 まとめ
2.5 シラビーム体系の発達
2.5.1 甑島方言の音節性
2.5.2 甑島方言の重起伏と音節性の強化
2.5.3 モーラ方言から音節方言へ

補遺1 調査1で用いたアルファベット頭文字語
補遺2 東京方言調査で用いたア頭文字語
補遺3 二重母音調査の語彙
補遺4 属格助詞「の」の縮約調査語彙

第3章 アクセントの変化
3.1 初期調査
3.1.1 鹿児島方言のアクセント体系
3.1.2 調査方法
3.1.3 調査結果
3.1.4 分析
3.2 複合法則の崩壊
3.2.1 調査の概要
3.2.2 予想と着眼点
3.2.3 調査結果と分析
3.2.3.1 中高年層
3.2.3.2 若年層
3.2.4 まとめ
3.3 他のアクセント変化現象
3.3.1 「お+名詞」のアクセント
3.3.2 平板式の外来語
3.3.3 人名のアクセント
3.3.4 「X太郎」「X次郎」のアクセント
3.3.5 他のアクセント規則
3.3.6 まとめ
3.4 他の方言―アクセント変化の一般性―
3.4.1 長崎方言
3.4.2 倉吉方言
3.4.3 大阪方言
3.4.4 まとめ
3.5 アクセント変化の基底原理
3.6 母方言への含意
3.7 結びと今後の展望

補遺1 初期調査の調査語彙
補遺2 人名「...子、...男、...也」の前部要素
補遺3 「お+名詞」
補遺4 「お+名詞」
補遺5 4モーラ外来語
補遺6 動詞・形容(動)詞から派生した人名
補遺7 「X太郎」と「X次郎」
補遺8 1音節名詞
補遺9 「-ia」の地名・国名
補遺10 「-in」の薬品名
補遺11 「-ing」の名詞
補遺12 2モーラ+2モーラの複合語短縮形
補遺13 「X一」「X二」「X三」の名前

第4章 文のプロソディー
4.1 語のプロソディーと文のプロソディー
4.2 アクセント句の拡張
4.2.1 助詞の振る舞い
4.2.2 助詞の併合
4.2.3 アクセント句の融合
4.3 疑問のプロソディー
4.3.1 基本型
4.3.2 5種類の疑問文
4.3.3 不定詞のアクセント変化
4.3.4 終助詞の脱落とアクセントの中和
4.4 強調のプロソディー
4.4.1 強調疑問文
4.4.2 他の強調構文
4.4.3 アクセント句拡張の一般性
4.5 呼びかけのプロソディー
4.5.1 呼びかけ文の諸相
4.5.2 鹿児島方言の呼びかけイントネーション
4.5.3 他の方言の呼びかけイントネーション
4.5.3.1 小林方言
4.5.3.2 甑島方言
4.5.3.3 東京方言
4.5.4 一般言語学への含意

補遺1 疑問文調査例文
補遺2 呼びかけ調査語彙例

結び

参照文献
索引
英文要旨
著者紹介
窪薗晴夫(くぼぞの・はるお)
1957年3月、鹿児島県(薩摩)川内市生まれ。県立川内高等学校卒業後、大阪外国語大学で英語を、名古屋大学大学院で英語学を、イギリス・エジンバラ大学で言語学・音声学を学ぶ。専門は音韻論(言語学)。他の言語との対照により日本語の仕組みを研究している。南山大学外国語学部、大阪外国語大学、神戸大学文学部で教鞭を執った後、2010年より大学共同利用機関法人人間文化研究機構・国立国語研究所で研究に従事。現在、同研究所教授・副所長。また2015年より3年間、日本言語学会会長を務める。主な単著に『語形成と音韻構造』、『音声学・音韻論』(くろしお出版)、『日本語の音声』『新語はこうして作られる』『数字とことばの不思議な話』(岩波書店)、『通じない日本語』(平凡社)、主な編著書にHandbook of Japanese Phonetics and Phonology(De Gruyter Mouton)、The Phonetics and Phonology of Geminate Consonants(Oxford University Press)など。