名詞類の文法

名詞類の文法

福田嘉一郎/建石始[編]

定価
4,070円(3,700円+税)
ISBN
978-4-87424-717-4 C3081
発売日
2016/11/10
判型
A5
ページ数
248頁
ジャンル
日本語学 ― 日本語学専門
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日本語文法の研究は,特に1970年代以降,長足の進歩を遂げた。さまざまな文法カテゴリが発見され,それぞれについて多くのテーマが設定されてきた。しかしながら,名詞類の文法に関しては,未開拓の領域が大きく残されているように思われる。これは,日本語の名詞類に性,数,定/不定といった,他の諸言語に見られるような形態的あるいは統語的な特・・・(全文を読む)徴が乏しいことにもよるが,研究の観点や方法を新しくするなら,豊かな成果が期待できるともいえる。名詞類はアリストテレスの時代から,言語で世界を描き取るための最も基本的な語類ととらえられていた。本書は,日本語文法の解明に長く携わってきた研究者と,将来性に富む中堅・若手の研究者とが集い,名詞類の文法について,多様な側面から,新鮮な議論を展開するという趣旨で編まれたものである。
(「序」より)

関連情報

目次
第Ⅰ部 名詞句の構造
第1章
近代語から現代語における名詞修飾に関わる言語変化についての一考察
―1項名詞に前接する限定詞を例に―
庵 功雄

第2章
日本語同格名詞句についての一考察
―固有名詞が含まれる場合―
眞野美穂

第3章
[一つ+の+NP]と[NP+の+一つ]
―名詞文の述語名詞句での用法に関する考察―
坂本智香

第4章
指示詞的用法を持つ名詞修飾表現研究
―コーパスを使った「問題の」・「例の」・「あの」の分析―
建石 始

第Ⅱ部 名詞類の特殊相
第5章
直接引用しか許さない引用形式
―引用名詞類の日英対照研究―
山口治彦

第6章
準体句とモダリティの関係をめぐって
―中古語の実態―
高山善行

第7章
ネワール語における=gu khaː文とノダ文
松瀬育子

第8章
敬語表現と名詞指向性
―日本語と朝鮮語の対照言語学的研究―
塚本秀樹

第Ⅲ部 名詞類の統語現象
第9章
主題に現れうる名詞の指示特性と名詞述語文の解釈
福田嘉一郎

第10章
引用形式を用いた提題文の主題名詞句と叙述の類型
―「といえば,といったら,というと」を中心に―
岩男考哲

第11章
「ウナギ文」再び
―日英語の違いに着目して―
金水 敏

第12章
叙述の類型と名詞文の構造
益岡隆志
著者紹介
福田嘉一郎(ふくだ よしいちろう)
京都大学大学院文学研究科修士課程修了(1989年)。博士(文学)。現在,神戸市外国語大学外国語学部教授。主な業績として,『ガイドブック 日本語文法史』(共著,ひつじ書房,2010),『日本語文法史研究1』(共編著,ひつじ書房,2012),「叙想的テンスの出現条件」(『国語国文』第84巻第5号,2015)などがある。

建石 始(たていし はじめ)
神戸市外国語大学大学院外国語学研究科博士課程単位取得退学(2003年)。博士(文学)。現在,神戸女学院大学文学部准教授。主な業績として,「非現場指示のア系と結びつく名詞の特徴」(『日本語教育文法のための多様なアプローチ』ひつじ書房,2011),「類義表現から見た文法シラバス」(『データに基づく文法シラバス』くろしお出版,2015),「現実のコミュニケーションにおける「~ないでください」とは」(『日本語/日本語教育研究』6,2015)などがある。