日本語の地殻変動

近刊

日本語の地殻変動

ラレル・テアル・サセルの文法変化

角田太作[著]

定価
3,520円(3,200円+税)
ISBN
978-4-87424-868-3 C3081
発売日
2021/9/30
判型
A5
ページ数
282頁
ジャンル
日本語学 ― 日本語学専門
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紀伊國屋書店 丸善・ジュンク堂書店・文教堂

「熊がやむを得ず射殺されました」「魚が一生懸命運ばれています」…著者の感覚では不自然と感じる、ラレル・テアル・サセルを使った文の表面下にあるものを探り、文法面だけでなく、意味面でも変化が多数起こっていることを見る。

■「まえがき」より
本書の主な目的は現代の日本語に起こっている変化について述べることである。比喩的に言えば、そ・・・(全文を読む)して、やや大袈裟に言えば、現代の日本語に地殻変動のようなものが起こっていることについて、主に述べる。(中略)
国立国語研究所に勤務していた時のことである。2011年だったと思う。所内の集まりで、私から見て違和感を覚える受動文について話したところ、そこにいた所員のほぼ全員が、違和感が無いと言った。「どこがおかしいんですか?」という反応であった。日本語の専門家の方々がこのような反応をしたので、私は「これは大変だ。本にして書かなければ」と強く思った。その結果が本書である。

関連情報

目次
第1章 ラレル受動文(第1部):その使用の実態
1.1 受動文とは何か?
1.2 ラレル受動文の使用頻度上昇と使用範囲拡大
1.3 滑稽なラレル受動文
1.4 意味が不自然なラレル受動文
1.5 誤解を招くラレル受動文
1.6 文の流れを悪くするラレル受動文
1.7 文を分かりにくくするラレル受動文
1.8 締まりの無い文にするラレル受動文
1.9 無責任に聞こえるラレル受動文
1.10 他人事に聞こえるラレル受動文
1.11 ラレル動詞の使用そのものに違和感を感じるラレル受動文
1.12 私の日本語では自動詞を使うところでラレル動詞を使った場合
1.13 私の日本語ではラレル動詞が存在しない場合
1.14 第1章、ラレル受動文(第1部)のまとめ

第2章 ラレル受動文(第2部):なぜ、ラレル受動文を使うか?
2.1 はじめに
2.2 無標と有標
2.3 ラレル受動文の不思議な用法の例の追加
2.4 ラレル受動文の使用に規則性はあるか?
2.5 ラレル受動文は客観的か?おしゃれか?飾りかもしれない。
2.6 第2章、ラレル受動文(第2部)のまとめ

第3章 ラレル受動文(第3部):文法の変化
3.1 はじめに
3.2 日本語の連体修飾節:フィリピン海プレートに乗って南下し、フィリピンを通り過ぎて、マダガスカルに達する?
3.3 主語「が」欲しい?
3.4 ラレル受動文の中の「を」と「が」:「疑いを持たれる」と「疑いが持たれる」
3.5 「泥棒が逮捕!」:能動態と受動態が中和している?
3.6 副詞句などが修飾する範囲
3.7 ラレル動詞が自動詞の代わり
3.8 ラレル受動文の今後の予測
3.9 第3章、ラレル受動文(第3部)のまとめ

第4章 テアル受動文
4.1 はじめに
4.2 テアル文も受動文である。
4.3 テアル受動文とラレル受動文の役割分担
4.4 テアル受動文:絶滅危惧種
4.5 「られている」と「てある」の合体
4.6 ラレテイル受動文:問題
4.7 テアル受動文の背後に動作者がいる?
4.8 第4章、テアル受動文のまとめ

第5章 サセル文:使役文(第1部):作り方と意味
5.1 はじめに
5.2 子音動詞、母音動詞、不規則動詞
5.3 自動詞文と他動詞文
5.4 自動詞と他動詞の対応(その1)
5.5 サセル動詞・使役動詞の作り方
5.6 使役文の構造
5.7 使役文あるいはサセル動詞の意味と用法の分類
5.8 「漢語+する」
5.9 自動詞と他動詞の対応(その2)
5.10 第5章、サセル文:使役文(第1部)のまとめ

第6章 サセル文:使役文(第2部):変化
6.1 はじめに
6.2 「漢語+する、漢語+させる」と「英語+する、英語+させる」
6.3 「漢語+させる」の使役用法が消滅する?
6.4 元の文が無い使役文
6.5 サセル動詞ではない他動詞が消える?
6.6 第6章、サセル文:使役文(第2部)のまとめ

第7章 「楽しむ」:意味の変化の例
7.1 はじめに
7.2 人称について
7.3 日本語:動詞、形容詞と人称について
7.4 「楽しむ」の変化:その1
7.5 「楽しむ」の変化:その2
7.6 「楽しむ」の変化:その3
7.7 第7章、「楽しむ」のまとめ

第8章 本書のまとめ
参照文献
索引
著者紹介
角田太作 (つのだ たさく)

群馬県生まれ。東京大学文学部卒業。Monash University大学院修士課程卒業(MA 取得)、同博士課程卒業(PhD 取得)。言語学専攻。主な研究分野はⅰオーストラリア原住民語学、ⅱ言語類型論、ⅲ言語消滅危機と言語再活性化。Griffith University、名古屋大学、筑波大学、東京大学、国立国語研究所を経て、国立国語研究所名誉教授。
著書にThe Djaru language of Kimberley, Western Australia(Canberra: Pacific Linguistics 1981)、『世界の言語と日本語』(くろしお出版、1991/改訂版 2009)、Language endangerment and language revitalization (Berlin and New York: Mouton de Gruyter 2005)、A grammar of Warrongo (Berlin and New York: De Gruyter Mouton 2011)などがある。